イノセント・ボイス 12歳の戦場

劇場公開日:

解説

1980年代のエルサルバドルで、政府軍と反政府ゲリラ組織が繰り広げた内戦に巻き込まれていく子供の姿を追った衝撃のヒューマン・ドラマ。渡米後ドラマ『ER』などに出演した俳優オスカー・トレスが、エルサルバドル時代の実体験をもとに脚本を執筆。監督は「メッセージ・イン・ア・ボトル」のルイス・マンドー。出演は「Las tres Sofias」やスペインでのアディダスのCMに登場したカルロス・パディジャ、「テキサス・レンジャーズ」のレオノア・ヴァレラ。2005年ベルリン国際映画祭児童映画部門最優秀作品賞受賞。2005年アカデミー賞外国語映画部門メキシコ代表作品。

2004年製作/112分/メキシコ
原題:Voces Inocentes/Innocent Voices
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2006年1月21日

ストーリー

1980年、エルサルバドルでは、政府軍と、世界恐慌によって仕事を失った多くの貧しい農民を中心に結成された反政府組織FMLNとの激しい内戦下にあった。11歳のチャバ(カルロス・パディジャ)は、父がアメリカへ去って以来、母(レオノア・ヴァレラ)と姉ロシータ、弟リカルドとの4人暮らし。母からいつも家族を守るよう言われている。いつなんどき銃撃戦が始まるかわからず、近所の住人に犠牲者が次々と出る内戦下での過酷な生活。だが、家族との団欒に笑えば、家計を支える仕事もするし、新任の先生の娘クリスティナ・マリアに恋もする。母親の愛情と、今は反政府ゲリラメンバーのベト叔父さん(ホセ・マリア・ヤスビク)がくれたラジオから流れる反戦歌を頼りに強く生きるチャバ。しかし、そんな子供でいられる日々もあともうわずか。エルサルバドルでは、12歳になると政府軍に徴収されるからだ。政府軍と反政府組織との緊張は高まり、ついには学校内でも銃撃戦が展開。神父すら、もはや祈るだけでは足りないと言う。学校が無期閉鎖になった。チャバの住む家も軍とゲリラの攻防に阻まれ、一家は祖母のいる川の向こうに移住する。ほどなくしてチャバは12歳の誕生日を迎えた。政府軍が次々と少年を徴兵しに来る。家の屋根の上に寝そべって身を隠す子どもたち。久しぶりにクリスティナ・マリアを訪れたチャバは、彼女の家が崩壊し、彼女の姿もないことに衝撃を受ける。そして、チャバの運命も動いていた。政府軍か反政府ゲリラか、いずれかに身を投じなければならない。デブの友人マルコスがゲリラのところへ志願。それを聞いたチャバは、2人の親友チェレとフィトとともに、その後を追う覚悟を決める。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5戦争なんてしたくない

2019年8月1日
iPhoneアプリから投稿

人の死より自分の命
人の死を心配する余裕なんてない
それがあまりにもリアルだった

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riric

5.0文部科学省特別選定作品。教育基本法が変わったら選ばれることもなくなるかもしれない。

2019年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「愛国心を教育してやる!12歳になれば徴兵は当然だ。国を守りたくないのか?ゲリラは国を破壊しようとしてるんだぜ。奴らは虫けら同然なんだよ。こんな無駄な戦いを終わらせるためにも奴らを皆殺しにしてやるんだ。銃も撃たせてやるよ。武器なら豊富にあるんだ。なんたってアメリカが全て援助してくれてるからな。アメリカの言うことを聞いていりゃ間違いねーよ。どうだ、入隊する気になったか?よーし、ついてこい。そのかわり、ゲリラに少しでも情けをかけたら、お前等を撃ち殺すからな!」などと政府軍兵士の言葉の続きを脳内補完しながら鑑賞しました。

 世界中あちこちの地域で起こっている内戦。ほとんどの内戦にはアメリカが絡んでいる。この映画にも米軍兵士がちょっとだけ出てきましたけど、犬にエサを与えるような仕草で子どもたちにチューインガムを与えていました。「アメリカっていいな。チューインガムをいっぱい食べられるんだ。チューイングボンじゃないよ。ガムだよ。」と思ったかどうかは窺い知る余地もありませんが、少年チャバはバスの燃料まで飲んでしまってアメリカ嫌いに拍車がかかりました。

 主人公たちの住まいは政府軍とゲリラの境界に閉じ込められた小さな町。夜になると外出禁止。銃撃戦は日常茶飯事だった。そんな中でも『小さな恋のメロディ』や『リトル・ロマンス』風の淡い恋心は芽生え、“紙のホタル”で幻想的なデートを楽しむ子供たち。星だって23万個まで数えられちゃうのです。だけど、戦争はいつでもやってくる。近所の友達は銃撃戦の犠牲となり、楽しみだった学校も登校停止。一時の平穏も奪われてしまう・・・

 内戦の悲しさは、親しい仲であっても敵・味方に分かれてしまうこと。友達は徴兵され政府軍へ、ベト叔父さんはゲリラ軍。憎みあってるわけでもないのに殺しあうなんて・・・安全な地域まで逃げるしかない。人を殺すなんて嫌だ!自己防衛のために銃を構えたチャバが最後まで撃つことをためらったことに反戦への祈りがが見えました。

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kossy

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