ザ・コーポレーション

劇場公開日:

解説

カナダのマーク・アクバー、ジェニファー・アボットの共同監督により、ジョエル・ベイカンの著作『ザ・コーポレーション:わたしたちの社会は「企業」に支配されている』(早川書房)を原作として製作された長篇ドキュメンタリー。2004年サンダンス映画祭で上映され観客賞を受賞したのを始め、2005年カナダ・アカデミー賞の最優秀ドキュメンタリーを含め全世界の映画祭で25個の賞を受賞。またニューヨークでロングラン上映されたのを始め、世界各国で草の根的に上映され、多くの観客の支持を集めた。株式会社の誕生から、政治システムを超えてグローバル化している企業の正体を描き、現在の企業を一人の人格として精神分析を行うと完璧な“サイコパス”であるという診断結果のもと、すべては利益のために働く機関としての企業の、様々な症例を分析する。

2004年製作/145分/カナダ
原題:The Corporation
配給:アップリンク
劇場公開日:2005年12月10日

ストーリー

「サイコパス」とは、精神病質者の意。現在はサイコパスという言葉は無く、反社会性人格障害(APD)と変更されている。サイコパスの特徴は極端に自己中心的で、慢性的な嘘つきで後悔や罪悪感が無く、冷淡で共感が無い。加えて自分の行動に責任が取れない。他人への思いやりがない。人間関係を維持できない。他人への配慮に無関心。利益のために嘘を続ける。罪の意識がない。社会規範や法に従えない。現在の企業を一人の人格として精神分析を行うと、その診断は完璧な“サイコパス(人格障害)”となった。「ザ・コーポレーション」はすべては利益のために働く機関としての企業の、様々な症例を分析する。本作で紹介されるのは「ボリビア、コチャバンバ紛争~水道民営化を阻止した民衆運動~」「ホンジュラスにおける労働搾取工場の実態」「インターフェイス社の環境への取組み」「ロイヤル・ダッチ・シェルの公害問題」「フォックス・テレビ内部告発のてん末」「ギャップ社の不当労働疑惑」「遺伝子組み換え食品に反対するインドの環境保護活動家」etc…。総勢40名の証言者のひとり、ノーム・チョムスキーMIT教授は「民営化とは、公共機関を善良な人に譲ることではない。専制政治へそれを委ねることです。公共機関には利点もあった。損することも出来ます。別の利点があれば、損をしてもよかったのです」と語る。また、『ブランドなんか、いらない』の著者ナオミ・クラインは、「ブランドの宣伝目的は、製品ではありません。製品の代わりに彼らが作るのは、ブランドのイメージです。製品への取り組みを宣伝し、その思想をばらまくのです」と発言する。そして、「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」などでユーモアを武器に社会の矛盾を鋭く斬り込む映画監督マイケル・ムーア。彼は最後に観客に語りかける。「俺は人々がこの映画を見て立ち上がり、行動すると信じている。世界を我々の手に戻すために」。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0非常に深く考えさせられるドキュメンタリー

2018年9月29日
Androidアプリから投稿

インタビューと取材映像だけでなく、大量の過去の映画、コマーシャル、ニュース映画をモンタージュして構成されている
内容の考察については控えるが、企業は人間の組織である以上、人間が変革するしかない
その企業という怪物がどの様な姿をし恐ろしい行動をしているかを示す鏡が必要であり、本作はその鏡と言えよう
マイケルムーア監督も登場してインタビューに答えている

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あき240

3.0戦争を始めるひとと、実際に戦争をするひとは別という事実。

2008年1月4日

知的

■タイトルにひかれて鑑賞。

■企業買収の際に問われる「株式会社は誰の物か?」という議論、法令を破り連続する企業の不祥事の「原因」、そして郵便事業の「民営化の是非」、といった問題の答えを導いてくれるかもしれないし、無力感にさいなまれるだけかもしれない映画『ザ・コーポレーション』。

■カナダのマーク・アクバー、ジェニファー・アボットの共同監督により、ジョエル・ベイカンの「ザ・コーポレーション:わたしたちの社会は「企業」に支配されている」(早川書房)を原作として製作された長篇ドキュメンタリー。

■マイケル・ムーア監督、ノーム・チョムスキーMIT教授を始めとする総勢40人の証言や発言を基に構成。

■一昔前ならすごくセンセーショナルだったかもしれないけど、最近こういうの多いから、整理されて改めて見せられたなという印象。

■ マイケルムーアみたいに「煽ろう」としていないので、フェアな気がして安心して見られるぶん、エンターテインされないから2時間半という上映時間がつらい。しかも映画館がUPLINK。(注:知る人ぞ知る「ホームシアターをそのまま開放しちゃってます。てへ」映画館。狭いし見にくいし椅子は硬いし)

■内容。そうはいっても、みんな資本主義山手線に乗車しちゃってて。円を描いちゃってるから終わりがないし、逃れられないし、どの駅が最初(誰が一番悪い)ということもなくって。

■いろんなメセナとか消費者運動あるけど、列車に乗りながらどうあがこうと、結局スピードを遅くするか早くするかの違いでしかないんよね。もう覚悟を決めて下車しないと。

■ただ、円の外にいて、なんの恩恵も受けず、ひたすら外部不経済の直撃をうけまくっているひとたちがいるという事実があって。そのために僕らは何ができるのだろう、と。

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