倫敦の人狼

解説

ブロードウェイの舞台俳優ヘンリー・ハルが主演する映画で、「地獄特急」「散り行く花」のワーナー・オーランドが共演する。原作はロバート・ハリスが主演者ハルの為に書き下ろしたもので、「雨」の劇化に当たったジョン・コルトンが脚色し、「幻の合唱」「白い肉体」のスチュアート・ウォーカーが監督に当たり「水兵がんばれ」「土曜日の大観衆」のチャールズ・ステューマーが撮影したものである。助演俳優は「フランケンシュタインの花嫁」「幻の合唱」のヴァレリーホブスン、「花咲く頃」に出演した英国映画俳優レスター・マシューズ、「若草物語(1933)」のスプリング・バイントン、舞台女優として名のあるシャーロット・グランヴィル、「巌窟王(1934)」のローレンス・グラント、「流れる青空」のJ・M・ケリガン、エセル・グリフィス、ゼフィー・ティンベリー等。

1935年製作/アメリカ
原題:Werewolf of London

ストーリー

グレンドン博士は英国に於ける著名な植物学者で、特に草花培養の研究の権威者であった。彼の植物採集の中でも最も欲しいと思うものは世界の屋根といわれるチベット高原にのみ咲く奇草「狼草」である。この草は不思議にも月光に育まれて花が咲くという珍奇なもので、しかも古来世人の恐怖する「狼憑き」を治癒する唯一の奇効ある薬草なのである。ところでこの「狼憑き」とは伝わるところによると、この病気に侵される者は半人半狼となり、満月の夜になると平素とは似もつかぬ凶暴な性質と変じ、人の血を吸うのである。血を吸われずともこの「狼憑き」に噛まれると、傷口から「狼憑き」の血が進入して、噛まれた者もたちまち「狼憑き」となるのである。さて、グレンドン博士はこの奇草「狼草」を求めてはるばるチベット高原に来たり、その群生しているという幽谷へと赴いた。ところが、目的地に近づくと、雇ってきた労働者たちは魔性のものが出るという伝説に恐れをなして逃げ帰ってしまった。グレンドン博士はやむなく恐れ脅える助手のレンウィックを促しつつついに魔の谷に到着した。そこには月の光を浴びて奇草は美しい燐光を発して咲いていた。グレンドンは歓声を挙げてこの一株を採取しようとした。その途端一匹の古狼が駆け寄りざま博士の右腕に噛みついて逃げ去ったのである。グレンドン博士は痛さを耐えて採集し、数カ月後ロンドンの邸で、植物展覧会を開いた。その日席上に東洋から来たという不思議な学者が現れた。それはヨガミ博士と名乗る男であったが、彼こそはチベットの魔の谷でグレンドン博士を襲った狼--即ち「狼憑き」だったのである。そして彼はロンドンに「狼憑き」患者が居るから薬草を貰いたいと申し出た。しかし、数日後の満月の夜、グレンドンも精神異常を呈して「狼憑き」症状となり、助手の伯母クームスを襲った。博士は妻を欺いて家出し、自縛しえる様な隠れ家を求めてロンドンの貧民堀を転々していたが、満月の夜には定まって残忍な行動に移った。博士は己が実験室の「狼草」が咲くのを待つほかはなかった。咲いた筈だと思う頃博士は実験室へ赴くとヨガミが盗もうとしている所だった。博士は憤怒してたちまち狼の形相となってヨガミを殺した。しかし「狼憑き」捜査中のフォーサイス大佐の弾丸はグレンドン博士に命中した。殺された博士の狼面は、博士の魂が店へ招かれたか、やがて平素の温容へと変わって、息絶えたのである。

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