劇場公開日 1964年7月25日

633爆撃隊のレビュー・感想・評価

全1件を表示

4.0戦争映画ファンならマストの映画 スターウォーズのファンも出典を知る為には観ておくべき作品です

2019年6月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

男の子が軍用機のプラモデルを買うのはゼロ戦とかぐらいが普通
本作に出て来て大活躍するモスキートを買って作ったりしていたら、それはもう立派な軍事オタクです
それもかなりの通です

モスキートは双発爆撃機ながら快速を誇り運動性能も戦闘機に匹敵するほどの傑作機で大戦中はイギリス軍の爆撃機部隊でも特殊な作戦で大活躍しました

本作はそんな機材で編成された英空軍第633爆撃隊の活躍を描く戦争映画です
そこに少しスパイ映画とメンフィスベル的な青春物語がブレンドされたような構成です

ノルウェーのフィヨルドの谷間の稜線よりも低く、縫うようにフィヨルドの奥の奥に隠された目標に向かって侵入するモスキート
猛烈な対空砲火、上空から襲いかかる敵戦闘機
これがスターウォーズのエピソードⅣのクライマックスであるデススターのトレンチを超低空侵攻するXウイングにそのまま引用されています
精密な爆撃が求められる投下シーン
投下後の急速離昇離脱もそのまま本作から引用されています

ノルウェー海軍の大尉はもし彼が英国海軍の人ならジェームズ・ボンドその人の若き戦時中の活躍そのものです
この戦いを生き延びて戦後はMI6に出向していたら20年後に007を名乗っていたでしょう

そして彼の妹は本作に花を添えるラブロマンスの役回りですが、実は彼女こそが敵側のスパイで633爆撃隊の特殊任務の情報を流していたのではと思わせます
そうでなければ説明のつかない敵側の待ち伏せが何度も続くからです
しかしそれは臭わせるだけで全く触れません
あくまでラブロマンスで終わります
そうしないと違うテーマの映画になりますし、もう一本分の時間が必要になるからでしょう

爆撃機部隊の活躍だけを観て、本作の余韻を反芻するときに、もしかしたらやっぱり彼女が・・・と思いを巡らせる楽しみを残してくれていると思うのです

実機を使った本物の迫力は素晴らしいものです
モスキートは大部分が木製で作られておりレーダーに映り難い特性があり、今でいうステルスの元祖的な存在でもあります
その爆撃機編隊が海面すれすれの超低空で英国本土の基地からノルウェーまで渡洋侵攻するクライマックスは軍事マニアにはたまりません

戦争映画ファンならマストの映画
スターウォーズのファンも出典を知る為には観ておくべき作品です

コメントする (0件)
共感した! 0件)
あき240