山の郵便配達

劇場公開日:

解説

自然が豊かな湖南省で創作活動を続けるポン・ヂエンミンの短編小説『那山 那人 那狗(あの山、あの人、あの犬)』を映画化。大自然を背景に父と息子、妻と母の立場を通して家族の在り方を描き、1999年中国金鶏賞最優秀作品賞ほか多数の賞を受賞した。

1999年製作/93分/中国
原題:那山 那人 那狗
配給:キネマ旬報社=エフ プロモーション=東宝東和
劇場公開日:2001年4月7日

ストーリー

1980年代初頭、中国湖南省の山間地帯。郵便配達を長年勤め上げた男は、後継ぎとなる息子に引き継ぐため、初めて一緒に、最後の仕事となる“旅”に出る。重い郵便袋を背に山道を辿り、幾つもの村を尋ねる2人。父は手紙を運ぶ責任の重さと仕事の誇りを静かに息子に伝える。息子は寡黙で留守がちな父に対して心の隔たりを感じていたが、人々の信頼を集める父の姿に接し、徐々に尊敬の念と仕事への責任感を深めていく。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第25回 日本アカデミー賞(2002年)

ノミネート

外国作品賞  
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映画レビュー

0.5国家社会主義に於けるジャーナリストとは大学へ行くべきものなのかぁ?

2024年1月26日
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マサシ

4.0仲をとりもつ次男坊

2024年1月17日
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「この映画には日本の原風景が描かれている」朝日新聞の天声人語でも激賞された本作は、岩波ホールの単館上映ながら2001年の大ヒット作となり、その噂が中国本土にも知れわたったとか。3日で120kmを踏破し、中国山間部に点在する村々の郵便集配&配達を共産党中央政府から請け負った(習近平が好きそうな)配達員親子の物語である。

年をとった父に代わり息子が配達員の仕事を引き継ぐにあたり、父が同行して息子を村民に紹介していく一種のロードムービーなのだが、日本の保守的なお年寄りにはそれがすこぶる受けたようなのだ。私なんぞは、(おそらくはトリュフォーを真似たであろう)息子の心象を本人のナレーションで紹介する監督フォン・ジェンチイの演出が気になって気になってしょうがなかったのだが、皆さんはいかが思われたであろう。

どうもフォン・ジェンチイご本人が書いた複数の短編小説を一本の映画にまとめたようなのだが、よおく観察すると、この映画にはプロットつまり起承転結が見当たらない。あのコーエン兄弟は同じくプロットがない映画『インサイド・ルーウィン・デーヴィス』の中で、“猫”を使って登場人物の意識の流れを表現したらしいのだが、この映画“次男坊”が父と息子の心理的な隔たりを解消していく上で、非常に重要な役割を果たしているのである。

父親にベッタリでなかなか離れたがらなかった“次男坊”が、ラストでは長男の実力を認め付き従う成長物語にもなっている。父から息子へ。父が今まで誇りをもってこなしてきた責任ある仕事を息子に引き継がせる時に感じる、嬉しいような寂しいようななんとも言えない感情は、一部の方が指摘しているとおり、なるほど日本の小津安二郎作品にあい通じるものがあるのかもしれない。

道中二人が泊まった民家で、知り合った村の美しい娘との結婚を息子に促したり、床を並べて抱き合って眠る微笑ましいシーンなどは、まさに小津の『晩春』からの引用であろう。が、そこで邪魔くさくなるのはやっぱり息子のざーとらしいナレーションなのである。なかなか家に帰ってこなかった現役時代の父親との距離感が徐々に縮まりやがて父を追い越していく様は、付かず離れずな二人の歩き方で十分表現できたはずなのである。

現在だったらパルムドッグ賞間違いなしの“次男坊”の無言の演技?が秀逸だっただけに、親子の会話が少々多すぎて耳障りに聞こえたのかもしれない。川のせせらぎや小鳥の囀り、風が木々を揺らし雨粒が地面をたたく。折角のシチュエーションにも関わらず、自然音がほとんどいかされておらず、郵便配達の過酷さが殆どこちらに伝わって来なかったのは、片手落ちといわざるをえないであろう。

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かなり悪いオヤジ

4.0愚痴はこぼすな!道は足で歩け!

2023年8月23日
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りか

4.0父と息子

2023年3月10日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 中国山間部、水墨画の世界。朝靄につつまれる森林。森林浴のつもりで見るのも気持ちがいい。しかし、仕事をするのも大変だ。一気に配達を終わらせることもできるが、引退までずっと続けなければならないので、2泊3日という配分もきちんとやらねばならない。

 山で農業してもいいし、街に出て働いてもいい。しかし息子は父の郵便配達という職業を選んだのだ。公務員だから他の職業よりも若干給料がいいという理由だけではなさそうだ。父を理解するため?父を超えるため?

 ラジオの音楽、歌いながら歩く、バスに乗ることなど「若者の考えることは・・・」と嘆いているような表情の父親。ここでは、自分の父親とのジェネレーションギャップを思い起こしてしまう。父親の人生経験と勝気な息子との心理描写が上手く描けていました。途中で出会った人のよさそうなおじさん。盲目の老女。若いクーニャン。出会う人すべてがやさしい。そして、初めて「父さん」と呼んだ息子にうるうる・・・

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kossy
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