耳に残るは君の歌声

劇場公開日:

解説

ユダヤ人の娘が激動の時代を渡り歩いてゆく様を、多くの歌曲と共に描いた大河ドラマ。監督・脚本・音楽監修は「タンゴ・レッスン」のサリー・ポッター。撮影は、これが遺作となった「81/2の女たち」のサッシャ・ヴィエルニー。衣裳は「トゥームレイダー」のリンディ・ヘミング。出演は「スリーピー・ホロウ」のクリスティーナ・リッチ、同じく「スリーピー・ホロウ」にも主演した「ブロウ」のジョニー・デップ、「ギフト」のケイト・ブランシェット、「愛のエチュード」のジョン・タトゥーロ、「グリーン・マイル」のハリー・ディーン・スタントン、「ミュート・ウィットネス」のオレグ・ヤンコフスキーほか。

2000年製作/97分/イギリス・フランス合作
原題:The Man Who Cried
配給:アスミック・エース(アスミック・エース エンタテインメント=角川書店)
劇場公開日:2001年12月15日

ストーリー

1927年、ロシア。ユダヤ人の少女フィゲレ(クローディア・ランダー・デューク)は、村を襲った暴動から逃れ、父親(オレグ・ヤンコフスキー)とも別れて、ロンドンへ。スージーと名付けられた彼女(クレスティーナ・リッチ)は、10年後、コーラス・ガールとしてパリで働くことに。美しく野心家のロシア人ダンサー、ローラ(ケイト・ブランシェット)と知り合い、アリアの名手であるイタリア人オペラ歌手ダンテ(ジョン・タトゥーロ)の美声に惹かれるもののその人間性に失望した彼女は、やがてジプシーの青年チェーザー(ジョニー・デップ)と恋におちる。だがナチスによる第二次大戦の影が、パリにも迫ってきた。スージーはチェーザーと別れの夜を過ごし、ローラと共にニューヨーク行きの船に乗る。ところが船は、ドイツ軍の攻撃により撃沈。スージーは助かったが、ローラは死亡。ニューヨークでまたひとりぼっちとなったスージーは、父を探してハリウッドまで行く。そしてついに、瀕死の老人となっていた父と再会を果たすのであった。

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映画レビュー

2.5ユダヤ少女の人種差別と戦争の荒波に翻弄された人生航路を真面目に描いた女性ドラマ

2022年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「ファーザー」で効果的に使われたビゼーのオペラ『真珠採り』のアリア「耳に残るは君の歌声」を日本タイトルとしたイギリスとフランスの合作映画。監督は、未見だが公開当時高く評価された「オルランド」で名前を知ったサリー・ポッターという女性監督。ロシア生まれのユダヤ少女フィゲレの人種差別と戦争の荒波に運命を翻弄されながら、生き別れた父親と再会するまでの数奇な人生航路を描いた感動作で期待したが、心に響くほどの感銘には至らなかった。脚本も手掛けたポッター監督が表現しようとした困難に立ち向かうヒロインの不屈の精神も理解できるし、俳優陣も豪華、ユダヤ人迫害の歴史的な流れも勉強になる。また、ジプシー・ロマ人の生活様式も描かれていて興味深い内容なのだが、映画としては一つにまとまっていなかった。上映時間約100分では消化しきれない内容の濃さを印象に持つ。
それでも主演のクリスティーナ・リッチとケイト・ブランシェットの演技はいい。イギリス名のスージーに改名したヒロインの複雑な境遇を背負った人物をしっとりと落ち着いて演じているリッチ、対して女性の武器を使い男を利用して割り切った生き方をしながらハリウッドスターを夢見るロシア人ダンサー ローラの強かさをセクシーに表現するブランシェット。当時20歳と30歳の若さと美しさが、安定した演技力と共に魅力を放つ。ブランシェットのこの映画の役柄から、個人的にはベルイマンやヴィスコンテ作品で活躍したイングリッド・チューリンの凄みを連想してしまった。残念なのは男優陣で、白馬の王子様止まりのジョニー・デップはキャスティング時点でゲスト出演の扱いのような役柄で、演技に深みが無い。脚本の問題であると思う。イタリア人のオペラ歌手ダンテを演じたジョン・タトゥーロは、ふたりの女優との絡みはいいのだが、肝心のアリア歌唱の場面が頂けない。吹き替えの欠点がそのまま表れている。唯一、ハリー・ディーン・スタントンは役柄が合っていた。

これ一作でサリー・ポッター監督の演出を評価は出来ないが、気になるシーンがあった。それはエッフェル塔が見える夜の巴里を疾走する、ロマ人が手綱を引く馬と追い駆けるヒロインの自転車の幻想的な場面。真面目な演出の中で、ここだけ一寸息抜きになる演出のお遊びを感じた。内容から言えば、もっと製作費を掛けて背景描写を充実するべきであったと思う。上映時間も2時間半ぐらいは必要になろう。淡々と進むダイジェスト歴史秘話の長短をどう捉えるか。

最後に記録したいのは、撮影監督のサッシャ・ヴィエルニの名前。アラン・レネの「去年マリエンバートで」「ミュリエル」「戦争は終った」、ルイス・ブニュエルの「昼顔」、アンジェイ・ズラウスキーの「私生活のない女」、そしてピーター・グリナウェイの「コックと泥棒、その妻と愛人」など、個性派監督の代表作を手掛けた名カメラマンの遺作となる。この時80歳という。見所は、クリスティーナ・リッチとケイト・ブランシェットの演技に、このヴィエルニの耽美的映像美の撮影である。

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Gustav

3.0

2022年4月29日
iPhoneアプリから投稿

クリスティーナ・リッチがイマイチ。子役が可愛いかっただけに余計に。彼女の役でアダムスファミリー以上はない。歌が上手い設定だが声が小さ過ぎでよく分からなかった。他の場面が美しい歌声だっただけに残念。
ケイトブランシェットはチョー美しい、そしていい人。それだけに男に頼って生きていけない感は悲しすぎる。
ロマの人々も悲しい。

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GAB I

1.0残念

2021年4月20日
PCから投稿

せっかくのジョニーディップ、クリスティーナリッチが全く生かされていない。ロマの男がジョニーである必然性もないし、そもそもロマの男が登場する必然性もないのでは。歌手として舞台に立ったはずのスージーの歌も聞き取れないくらいのか細い声でたったの3回。唯一よかったのはイタリア人歌手の歌声。これだけは聞きものだった。NYへ行く船が爆撃されて同室のロシア娘はどうなったの?ストーリーの元ネタはいいのに掘り下げ不足。脚本家がダメなのか監督の能力不足か。残念な作品だった。

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tekonon

3.0うーん、、生煮え感

2021年2月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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yolanda
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