劇場公開日 2001年6月30日

「スパイの真実に迫った?」テイラー・オブ・パナマ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0スパイの真実に迫った?

2013年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

総合:75点
ストーリー: 80
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 65

 スパイという職業は地味で汚い騙し合い。情報を得るために困っている相手を探し金を出し弱みを握り、煽てて脅して相手を統制する。だが彼は通常の映画で描かれるような国家を救うために働くわけではない。ジェームズ・ボンドのように女王様に忠誠を誓い命懸けで派手に動き回るスパイだけがスパイではない。その権限を国家や組織のためではなく、自分のために使う陰謀の物語設定がよく出来ている。
 このような過去の経歴の悪いスパイを唯一の情報源として信じて、国家がこれだけ本格的な計画が実行するのかというのは疑問に残る。しかし複雑な情勢の絡み合いとそれを利用して悪巧みをしていく人々の様子の描き方が面白い。

 二人の登場人物の性格がきっちりと設定されているのもいい。かつてのジェームズ・ボンドだったピアース・ブロスナン演じるスパイのアンディは、頭は切れるが自分のことを最優先する快楽主義者。ジェフリー・ラッシュ演じる仕立て屋のハリーは、過去の人生の経験の結果として全てを嘘で固め、客商売上では相手の求める物語を嘘を紡いで作り出す。
 一人は自分の立場のために情報を欲しがり、もう一人は借金等のためにその相手が欲しがる情報を作り出す。その結果として話が大きくなりすぎて収集がつかなくなるが、それすら利用して国家を巻き込みながら自分のために情報を操作するスパイと、ただ借金返済のためについた嘘が手におえなくなり、必死で取り繕おうとする二人の人生。その対比も良かった。

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Cape God