ロスト・チルドレン

劇場公開日:

解説

近未来を舞台に、見せ物小屋の怪力男と気丈な少女が繰り広げる冒険を描いた異色映像絵巻。監督・脚本は「デリカテッセン」で脚光を浴びたジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロが担当。製作は「デリカテッセン」で二人をデビューさせた「アリゾナ・ドリーム」のクローディー・オサール、共同脚本はジル・アドリアン、撮影は「デリカテッセン」で注目され、「セブン」でハリウッドに進出したダリウス・コンディ、音楽はデイヴィッド・リンチ作品で知られるアンジェロ・バダラメンティ、衣裳は「キカ」、「プレタポルテ」(出演)の売れっ子デザイナー、ジャン=ポール・ゴルティエがそれぞれ担当。主演は「蜘蛛女」のアメリカ人俳優ロン・パールマンと新人ジュディット・ビッテ。共演は「デリカテッセン」のドミニク・ピノンのほか、「天使が隣で眠る夜」の名優ジャン=ルイ・トランティニャンが声だけの特別出演。

1996年製作/113分/フランス・スペイン合作
原題:La cit des enfants perdus
配給:ヘラルド・エース
劇場公開日:1996年4月6日

ストーリー

近未来の半ば朽ちかけたような港町に子供の失踪事件が続発。実は町に横行する一つ目教団が、沖合に浮かぶ奇妙な実験室に住む天才クローン人間クランク(ダニエル・エミルフォルク)に夢を見させるため、誘拐していたのだ。サーカスの怪力男ワン(ロン・パールマン)の幼い弟ダンレー(ジョゼフ・ルシアン)も誘拐される。ワンは9歳のミエット(ジュディット・ビッテ)率いる孤児の泥棒団に出会う。彼女たちは孤児院を経営するシャム双生児の姉妹の命令下にあり、ワンも腕力を買われて一味に入らされる。ミエットはワンの弟探しに同情して、二人は一つ目教団の本拠に潜入するが捕まり、処刑されることに。シャム双生児は蚤使いのマルチェロ(ジャン=クロード・ドレフュス)を使ってワンを救出するが、ミエットはそのまま海の底へ。そこで彼女は海底に住む博士(ドミニク・ピノン)に救われる。彼こそクランクや六人のクローン達(ドミニク・ピノン、七役)、それにその指導者である脳のイルヴィン(ジャン=ルイ・トランティニャン、声のみ)の創造者だが、記憶を失っていた。ミエットは再び地上に戻ってワンと再会する。一方実験室ではいよいよ狂気を増すクランクを破壊するため、イルヴィンが子供の夢に託したメッセージ・カプセルを海に流した。このカプセルの夢で博士は記憶を一部取り戻して海上実験室に向かい、ミエットも同じ夢を見て子供連続失踪の真相を悟る。二人はシャム双生児に殺されそうになるが、マルチェロに救われて実験室に向かう。実験室に潜入したミエットはクランクの脳に接続されたダンレーを発見、そこでダンレーを救うため、イルヴィンの指示に従って二人の夢のなかに入り、クランクの呪縛を破壊する。一方博士は記憶が完全に戻らないまま自分そっくりのクローンたちに命令して実験室爆破の準備をする。六人のクローンとイルヴィン、それに誘拐された子供たちを救出したミエットとワンは間一髪でボートで逃亡し、寸前に記憶を取り戻した博士は実験室とともに自爆する。

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映画レビュー

5.0絵本を広げたような

2024年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

興奮

幸せ

ン十年ぶりに再鑑賞。

1回目は、小説版「パプリカ」を読んだ頃に見ており、とてもリンクした。
夢が盗み、盗まれ、共有し、その中へ出入りする。
「デリカテッセン」で作風は心得ていたため、むしろコレコレ感にも酔いしれる。

美しく細部まで作り込まれたセット(最近では「哀れなるものたち」もこの系列)、予定調和も凛々しいヒーローも現れないヘンテコながら愛おしいキャラたち。
おとぎ話だからこそ、決して大人に庇護されることのない凛々しく活躍する子供たち。
中でも主人公の女の子はカリスマだ。
ラストの一騎打ちでのトランスフォームと倒錯は、今見ても大迫力。

冒険譚として様々な仕掛けもあり、クスリと笑う所もあり。
しかしながら楽しい夢を見られない事も、そもそも人造人間たちのどこかか弱く哀れな様が、誰を責めるでもない幕引きに何とも言えない後味を残す。
そういえばおとぎ話はいつもどこかに、不穏を忍ばせていた気がする。

またセットの一部のような、完全にデザインされたゴルチエの衣装がいい!
どのショットを切り取っても、それこそ絵本を広げたような美しさがあった。

もう時間が経ちすぎていて無理は承知も、続編があればぜひとも見たい1本である。

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N.river

4.5スター・トレックのVOGUE♥

2023年6月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.5【ジャン=ピエール・ジュネ監督が拘るレトロ・フューチャーな世界観と、”そんな人いないだろう!”と言う摩訶不思議な登場人物に魅入られた作品。】

2022年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 総製作費14億円をかけて巨大スタジオセットを建造。不器用な怪力男と孤独なストリートキッズとの触れあいを美しくも不思議な世界で描き、観る者を優しい気持ちにさせる作品。ー

◆感想

 ・荒廃した近未来の港町。大道芸人の怪力男・ワン(ロン・パールマン「薔薇の名前」のインパクト大)は、一つ目教団に幼い弟をさらわれてしまう。
 孤独な美少女・ミエットは、途方に暮れるワンと出会い、教団と戦うことを決意する。
 しかし、孤児院を経営するシャム双生児がワンの怪力に目をつけ、悪用しようとし…。

 ・カテゴリーで言えば、今作は、ダークファンタジーに入るのだろうか。
 拘りの小道具や、蚤のアップのシーンなど、魅力タップリである。

 ・今作まで共同監督をした、マルク・キャロの影響が、ダークテイストを助長しているが、ジャン=ピエール・ジュネ監督単独作の、次作からは、明るいトーンが増してくる。

<マッド・サイエンティストを演じるジャン=ピエール・ジュネ監督作品には欠かせない、ドミニク・ピノンも多数出演・・。
 面白きレトロ・フューチャーな世界観を堪能したい。>

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NOBU

4.5「アメリ」「ミックマック」の監督の作品。ダークファンタジーで独特の...

2020年5月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「アメリ」「ミックマック」の監督の作品。ダークファンタジーで独特の雰囲気がある。この監督の作品はどれも映像がレトロな雰囲気と色合いで、キャラクターも個性的で見ていてとても楽しめる。ロスト・チルドレンはダークな雰囲気な中にもファンタジー要素があり惹きつけられた。子どもたちがみんな可愛らしくて、ダークな中に笑いもあってよかった。でも、個人的にはやっぱりアメリやミックマックのようなコミカルでブラックユーモアのある作品の方が好きだなあと感じた。

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あかねちん
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