林檎の木
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解説

「ドイツ・青ざめた母」「エミリーの未来」と、ドイツ社会を女性の視点で見つめてきたヘルマ・サンダース・ブラームス監督が、旧東ドイツに住む一組の夫婦を通して、東西ドイツ統一に至ってもなお、新しい波にもまれ続ける人々の心情と生活を、深い痛みと未来への祈りを込めて描いた一編。脚本は、監督が東ドイツの国家プラント周辺に取材し、実在の人物たちをモデルにしたオリジナル。製作はアルフレッド・ウルマー、撮影はユルゲン・レンツ。音楽はマルク・ベアッコで、歌手・ギタリストとして名高いジョルジュ・ムスタキらが演奏に参加。主演は劇作家ブレヒトの血を引き、劇団“ドイツ劇場”で舞台を中心に活躍しているヨハンナ・シャル。共演は同じく“ドイツ劇場”所属のウド・クロシュヴァルト、監督の一人娘で、「ドイツ・青ざめた母」にも出演したアンナ・サンダースほか。

ストーリー

レーナ(少女時代=アンナ・サンダース)はベルリンの壁が築かれて一年後、ポツダムで生まれた“革命の子”だった。彼女は輝ける社会主義国家・東ドイツの更なる前進を担うべく、壁の歴史と共に成長した。しかし、政府がスローガンに高く掲げた理想が、日常の中で次第に色あせていくのを感じる。レーナは、大好きだった祖母の「林檎は天から贈られた人間の果実よ」という言葉にひかれて、林檎園の仕事に就く。そしてハインツ(トーマス・ビュヒェル)とささやかな恋に落ちて結婚した。だが、レーナ(ヨハンナ・シャル)に横恋慕した農業組合長のジェンケ(ウド・クロシュヴァルト)が権力を背に、しつこく彼女に言い寄る。レーナは心の隙間を突かれたかのように男の求愛を受け入れた。ハインツの嫉妬と怒りは爆発し、革命と人民をののしるハインツはジェンケの訴えで国家保安警察に連行された。だが警察はジェンケの亡命を疑っており、罪を不問にする代わりに彼を監視することを強要する。数カ月後、レーナは亡命未遂の国家反逆罪で逮捕される。ジェンケは彼女をおとりに西側へ亡命したのだ。彼女はそれ以上にハインツの密告に深く傷つく。彼女は監獄で男子を産み、2年後に釈放されたが、ハインツを許せなかった。そしてベルリンの壁の崩壊。希望を抱いた彼女は息子を連れてベルリンのジェンケを訪ねるが、居留守を使われてむなしく帰った。農場では自由経済という初めての体験に揺れていた。人々はジェンケに相談するが、彼は土地の所有権を主張して立ち退きを要求し、「こんな林檎では西側では売り物にならない。これが自由経済だ」と冷たく言い放つ。レーナとハインツはどちらともなく抱き合い、静かに泣いた。土地は売られ、人々が手塩にかけた林檎の木々は潰され、引き抜かれた。だが、レーナとハインツは祖母の残してくれた土地で、また林檎の木を植える。そこには初めて人生のパートナーとして結ばれた夫婦の姿があった。...

作品データ

原題 Apfel Baume
製作年 1992年
製作国 ドイツ
配給 ヘラルド・エース=日本ヘラルド映画

提供:株式会社キネマ旬報社

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