ランブルフィッシュ

劇場公開日:

解説

不良少女グループのリーダーである兄と、その兄を慕う弟の危うい青春の日々を描く。製作はフレッド・ルースとダグ・クレイボーン、エグゼクティヴ・プロデューサー・監督は「アウトサイダー」のフランシス・フォード・コッポラ。S・E・ヒントンの原作を基にヒントンとコッポラが脚色。撮影はスティーブン・H・ブラム、音楽はスチュワート・コープランド、編集はバリー・マルキン、プロダクション・デザイナーはディーン・タヴォラリスが担当。出演はマット・ディロン、ミッキー・ローク、ダイアン・レイン、デニス・ホッパー、ヴィンセント・スパーノ、ダイアナ・スカーウィッドなど。日本版字幕は金由文夫。テクニカラー<モノクロ=パートカラー>、ビスタサイズ。1983年作品。

1983年製作/アメリカ
原題:Rumble Fish
配給:ユニヴァーサル=CIC
劇場公開日:1984年7月21日

ストーリー

ある地方都市。高校生のラスティ・ジェームズ(マット・ディロン)は、授業をさぼり、ビリヤードにたむろする不良学生だ。彼には、バイクボーイと呼ばれる兄(ミッキー・ローク)がおり、彼は不良グループのリーダーとして君臨していた。何をやらせてもずば抜けているそんな兄に、ラスティは憧れさえ抱いていた。その兄が姿を消してから2カ月が過ぎていた。ある日、いつものようにビリヤードをやっているラスティの元に、パンク派のギャング・リーダー、ビフからの果たし合いの申し入れがあった。彼は迷うことなく受けて立つことにした。果たし合いの当日、ラスティはガールフレンドのパティ(ダイアン・レイン)をデートに誘うが、彼女を相手にたわむれていると約束の時間が過ぎていることに気がつき駆けつけた。すでに仲間のスティーヴ(ヴィンセント・スパノ)、スモーキー(ニコラス・ケイジ)、BJらが顔を揃えており、そこに、やがてビフを先頭としたパンク派の面々が現われ、果たし合いが始まった。勝負があっけなくラスティの勝利に終わろうとした時、大型バイクに乗った1人の男が現れた。「兄貴」、ラスティが叫んだ瞬間、ビフはガラスの破片でラスティを切りつけた。血まみれになるラスティー。逃げ出すビフの身体を目がけて、バイクボーイがつっ込み、ビフの身体は宙に舞った。カリフォルニアに行っていたという兄の帰宅に、父(デニス・ホッパー)も喜んだ。父は母に家出されて以来、酒びたりの毎日を送っており、生活保護を受けていた。バイクボーイは、カリフォルニアで母親に会って来たと弟に告げた。「兄は変わった」とラスティは感じた。ラスティがケンカをすれば彼は、「ケンカなどくだらない」と語り、町にあるペットショップに行き、ランブルフィッシュの水槽をじっと見つめていた。ランブルフィッシュとは、タイ産の小さな闘魚の一種で仲間同士で殺し合い、たとえ1匹だけでも鏡に映った自分の姿にさえ向ってゆくという過激な魚だ。ランブルフィッシュを見ながら兄はつぶやいた。「川へ戻せば争わなくなるだろう」…。夜になって、再びペットショップを訪れたバイクボーイは、ラスティの止めるのも聞かず、ドアを破って店内に入り水槽を抱きかかえると川へ向って歩き始めた。その瞬間1人の警官が銃口を向けた。かねてからバイクボーイを狙っていたパターソンだ。間もなく銃声が響き、バイクボーイが倒れた。そのかたわらで苦しそうに飛びはねるランブルフィッシュをひろい上げると、ラスティはそれを川の中に放すのだった。(ユニヴァーサル映画=CIC配給*一時間三六分)

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映画レビュー

5.0何年経っても

2023年7月16日
スマートフォンから投稿

楽しい

知的

幸せ

何度観ても輝きが色褪せない完璧な映画。40年以上映画を観続けてきたがベスト10に入れてもいいぐらいの歴史的傑作。昔から映画ファンが集まれば、この映画について何時間でも語り合えるぐらい深い意味を持った作品。冒頭からラストシーンまで無駄がなく、無意味なセリフも無く、全シーン観るたびに深く考えさせられる。1983年に作られたこの作品は、今となってはコッポラにとって、ゴットファーザーに次ぐ、才能が開花していた時の傑作となった。この作品に大きく影響を受けた映画、絵画、漫画、ミュージシャンは数多く、例えあげたらきりがない。この映画を、真剣に観たうえで「分からない」と本気で言う人は、自分が映画の見方が分からないお馬鹿さんであることを自覚すべき。

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ブロディー署長

5.0青春の輝きは一瞬だけのカラー

2022年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 学校をドロップアウトするような不良には、高いポテンシャルを秘めた輩が多かった。 アイツがもし本気で勉強をしたら・・・、 全力で運動に取り組めば・・・。 子供の頃は神童と呼ばれていたのに…。  相当な才能に恵まれていることは皆が知っているのだが、 家庭環境のせいか感性の鋭さが原因なのか、なぜか道を外れてしまう。

 この作品でミッキー・ロークが演じるバイクボーイは、まさにそういった「泥の中の黄金」を象徴する存在として描かれている。 切れすぎる頭脳と透徹した感性を持つが故に、無常観に侵されてしまったかのような不良グループの伝説のリーダー。 この役を演じられるのは、 カッコよさだけでなく、実はかなりの演技派であるミッキー・ロークをおいて他にはいなかっただろう。

 そして、そんな輝きを纏った兄に憧れる弟役が、当時の青春トップスター、マット・ディロン。 ディロンのチンピラ高校生が、板に付いていて実にいい。 そのほかの出演陣も、デニス・ホッパー、トム・ウェイツ、ダイアン・レインなど、豪華で個性的な面々ばかりだ。

 一番の魅力はやはり、時代錯誤のモノクロ映像。

 白黒の世界の中に兄弟を描くことで、 物語と観る者との間に距離が生まれているような気がする。 コッポラは、あえて登場人物に感情移入させず、 観客に少し引いた画で見せようとしたのかもしれない。 それとも、バイクボーイの虚無感を感じさせようとしたのだろうか。 いずれにしろ、素晴らしく魅力のある映像だ。
 鮮やかなランブルフィッシュだけがカラーで映し出される場面は、 若さ故のコントロールできない激情を象徴しているように見える。 モノクロで塗られた青春時代の輝きは、ほんの一瞬だけ強烈なカラー映像なのだ。 それが、とても美しく、せつない。

 もう一つの魅力は、ポリスのドラマー、スチュワート・コープランドの演奏。

 全編を通して流れる乾いたパーカッションの響きは、 強烈に映像を補完する。 同時に、時の流れを可視化してしまうような、不思議な効果を生み出している。 若さに縛られた二人の姿は、 コープランドの奏でる独特の音により、一層刹那的に感じられてしまう。

 コッポラらしくない実験的な映画と見る向きも多いが、 私は見事な青春映画だと思うし、 大好きな作品だ。

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Garu

3.0白黒映像の中で魚だけカラー

2021年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 “モーターサイクル・ボーイ”と呼ばれる兄貴。警官からは毛嫌いされていて、なぜ戻ってきたのだと嫌味ばかり。そんな兄貴が決闘で助けてくれた。

 圧倒的なモノトーンは兄貴(ローク)の心象風景だったんだな。最期には撃たれて死んじゃったけど、空虚な若者を代表してたのかなぁ。憧れる気持もわかる。

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kossy

5.0"The Motorcycle Boy"

2020年2月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

知的

今の歳になり冷静に鑑賞すると鳥肌が立ち身震いしてしまうマット・ディロンとミッキー・ローク、そしてデニス・ホッパーのスリーショット。

戯れ合うシーンとバーで語り合う三人が一つの画面に映る贅沢な時、「アウトサイダー」ではワンシーンのみ?なトム・ウェイツも"ビニーのビリヤード"で好演。

S・E・ヒントンの原作にはM・ディロンが演じた"ラスティ・ジェームズ"は登場せず、存在すらしていないのか?映画オリジナルキャラ?

本作を含めてM・ディロンが演じてきた不良少年は、正義感が強く皆から慕われ心優しい正統派よりも、調子が良くて軽薄な頼り甲斐もない虚勢を張るような、主役としての説得力すら欠けている、だからこそ共感出来たり身近に感じる存在感が魅力的でもある。

デニス・ホッパーがコッポラの映画に出る時は、薬中でアル中な素のまま?それを逆手に取ってコッポラが起用しているようにも思えてしまう!?

コッポラの研ぎ澄まされたセンスの良さを感じてしまう、何年経っても廃れない、今の時代だからこその斬新さ、小品ではあるが全盛期に劣らない傑作だと思っているが、久々に観てやはり間違いなく傑作だった。

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