夜の放蕩者

劇場公開日:

解説

夜のパリの暗黒面に巣くうミリュウの世界と、それに対決する警察側の活動を、ジャン・ギャバン扮する警部を中心に描いた、いわゆるフィルム・ノワール作品のひとつ。「火薬に火」のシナリオも手がけている暗黒物作家ジャック・ロベールの原作を「赤い灯をつけるな」のジル・グランジェが監督した。脚色はロベールと、「赤い灯をつけるな」のミシェル・オーディアール、グランジェの共同で、台詞はオーディアールが担当している。撮影は「ヘッドライト」のルイ・パージュ。音楽はジャン・ヤトヴ。「殺人鬼に罠をかけろ」のギャバンに、「忘れ得ぬ慕情」のダニエル・ダリュー、「出口なき犯行」のドイツ出身ナジャ・ティラーが顔を合せ、他に「赤い灯をつけるな」のポール・フランクールや、ロベール・マニュエル、ヘイゼル・スコット等が出演する。製作ポール・ジョリー。

1957年製作/フランス
原題:Le Desordre et la Nuit
配給:ユニオン=映配
劇場公開日:1958年8月30日

ストーリー

パリ目抜きのシャンゼリゼー大通りにある小さなキャバレー「ルフ(卵)」には、いろいろな連中がやってくる。このキャバレーの経営者アルベール・シモニーが、ある日ブーローニュの森で何者かに射殺された。いっしょにいたのは、歌手を志してパリにきているドイツ娘で、彼の情婦のリュキー(ナジャ・ティラー)。ジャナン署長の命令によって、バロワ警部(ジャン・ギャバン)は捜査にのりだした。情報屋マルキの口から事情を聞き、まずリュキーのホテルをたづねた警部は、彼女が麻薬常用者であることを知ったが、彼女の美しさに心をひかれ、恋のとりことなった。翌日、彼女を故郷のミュンヘンにつれもどしにきた父親のハンス老人と会って、警部の心はますます固まった。リュキーの友人の黒人女バレンタイン(ヘイゼル・スコット)のパーティに姿を見せた警部は、「ルフ」の常連ブラスコが喧嘩で負傷したことからリュキーの友人である女薬剤師テレーズ(ダニエル・ダリュー)と知合い、麻薬のルートを彼女と目ぼしをつけた。リュキーを問いただして、歌手としての自信を失った彼女が失意を麻薬にまぎらしていたことを聞き出した警部は、今は自分一人が彼女の頼りであるのを知った。その頃、殺されたシモニーの兄である有力者の圧力によって、署長は自から捜査に乗出し、リュキーを犯人として活動をはじめた。リュキーを薬剤師テレーズと対決させるため、警部は彼女を連れ出したが、車はトラックと衝突し、警部が気を失っているうちにリュキーは消えうせた。病院をたずねてきた署長に辞表をたたきつけて、警部は一人テレーズの私宅を襲った。そこには、麻薬の切れたリュキーが惨めな肢体を横たえていた。化学工場で働く夫から麻薬をかすめとって、不倫な関係を結びながら、テレーズは殺されたシモニーにこれを供給していた。それがリュキーに与えられていたのである。ところがリュキーの中毒症状が進み、シモニーはテレーズに多量の麻薬を要求するようになった。テレーズが、その量に応じられないというと、シモニーは彼女との関係を夫に告げると脅迫した。せっぱ詰ったテレーズは、シモニーをブーローニュの森に呼び出して射殺したのである。結局、リュキーは麻薬常用者であるだけで罪はなかった。バロワ警部は署長を電話で呼び出して一切を告げ、リュキーを麻薬中毒者収容治療施設に入れた。何カ月かの後、正常になったリュキーが、現職を退いたバロワの胸に抱かれる日がこよう。

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