メフィスト

劇場公開日:

解説

1920年代のドイツを舞台にナチスの庇護のもとで名優としての栄光の座を得た一人の役者の姿を描く。監督はイシュトヴァーン・サボー。実在の役者グスタフ・グリュンドゲンスをモデルとしたクラウス・マンの同名小説を基にサボーとペーター・ドバイが脚色。撮影はラヨシュ・コルタイ、音楽はゼンコ・タルナシ、編集はジュジャ・チャーカーニ、衣裳はアグネーシュ・ギャルマシが各々担当。出演はクラウス・マリア・ブランダウアー、クリスティナ・ヤンダ、イルディコ・バンシャーギィ、カーリン・ボイド、ロルフ・ホッペ、ペーター・アンドライ、クリスティーネ・ハルボルトなど。

1981年製作/西ドイツ・ハンガリー合作
原題:Mephisto
配給:大映インターナショナル
劇場公開日:1982年4月23日

ストーリー

1920年代の混乱のドイツ。ハンブルグ劇場で喝采を浴びる人気スターに燃えるような嫉妬を抱く男がいた。この劇場の役者ヘンドリック・ヘーフゲン(クラウス・マリア・ブランダウアー)だ。彼は役者としての実力を身につけると同時に名誉や地位に対しても貪欲だった。恋人である黒人ダンサー、ジュリエッタ(カーリン・ボイド)は彼を愛しながらも、彼が本気で他人を愛することのできない男だと知っている。社会は、まさにナチス第3帝国が勢力をふるっていた。この権力に抵抗するコミュニストのオットー・ウルリヒス(ペーター・アンドライ)は、ヘーフゲンの友人であるが、オットーのような確固たる態度は彼にはとれなかった。そんなころ、彼はリベラリスト、ブルックナー教授の娘バーバラ(クリスティナ・ヤンダ)と知り合い、プロポーズする。しかし、この結婚は空しいものだった。二人の生活は冷えていったが、その間に、彼は養父の力を利用して念願のベルリン国立劇場の団員になることに成功。そこで彼は着実に人気を得、ゲーテの『ファウスト』のメフィスト役では決定的な地位を掴んだ。しかしその間時代は刻々と変貌していた。ナチス政権が樹立し、バーバラはパリに亡命。左翼運動をしていたヘーフゲンは苦悩するが、州首相(ロルフ・ホッペ)の愛人ロッテ(クリスティーネ・ハルボルト)の力を利用して州首相に取りつく。コミュニストから親ナチスに変ったヘーフゲンは州首相に気に入られ国立劇場の総監督という地位を得るがバーバラとは離婚、ジュリエッタも去った。そしてヘーフゲンの命乞いも空しく、ウルリヒスは銃殺される。栄誉を得たと有頂点になっていたヘーフゲンにも疑惑が生じる。「自分に何を望んでいるのだ。私はただの役者なのに」。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第54回 アカデミー賞(1982年)

受賞

外国語映画賞  

第34回 カンヌ国際映画祭(1981年)

受賞

コンペティション部門
脚本賞 イシュトバン・サボー ペーテル・ドバイ
国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞 イシュトバン・サボー

出品

コンペティション部門
出品作品 イシュトバン・サボー
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映画レビュー

3.0ナチスドイツに利用された俳優の野望を描くも、映画と政治の二律背反に陥る

2020年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ナチスが台頭するドイツを舞台に、役者としての野望を成就しようとする男が、結局はファシズムの国家体制内に飲み込まれてしまう悲劇の人生ドラマ。暗い時代の閉塞感を映像化した力作ではあるが、同時期に日本公開された「レッズ」と同じく感心しない。俳優が主人公という題材は個人的嗜好に合致するが、政治が絡むとその分人物の掘り下げが疎かになってしまうことに不満が残る。ハンガリー出身のサボー・イシュトヴァーン監督の演出も個性的ではあるが、独自の輝きには到達していない。

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Gustav
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