ママと娼婦
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解説

無為な生活を送る男と3人の女をめぐって煮詰まっていく男女関係の修羅場を描いた長編。60年代の革命と熱狂が過ぎ去った70年代初頭のパリの空気を見事にとらえたと評され、フランス映画史上の伝説と化した一編。製作後20年を経て、日本初公開された。監督・脚本・編集(ドゥニーズ・ドゥ・カサビアンカと共同)はジャン・ユスターシュ。長編デビューに当たる本作でカンヌ国際映画祭審査員特別賞を獲得したが、81年に43歳でピストル自殺した。製作は「クレールの膝」「愛の昼下がり」などのピエール・コトレル。整音はナラ・コルリーで、全編同時録音。衣裳を担当したのはユスターシュの元恋人でこの映画のモデルでもあるカトリーヌ・ガルニエで、映画自体が彼女に捧げられている。主演は「パリ・セヴェイユ」のジャン=ピエール・レオ。共演は「二重の鍵」「私のように美しい娘」のベルナデット・ラフォン。また、ユスターシュの映画狂仲間で当時演技は素人だったフランソワーズ・ルブラン、「白夜」のイザベル・ヴェンガルテン、人類学者で“シネマ・ヴェリテ”の旗手であるジャン・ルーシュらが顔をそろえ、監督のユスターシュもイザベル・ヴェンガルテンの夫役でスーパーの場面にワンカットだけ顔を出す。使用曲として、70年代当時のポピュラー曲がほとんど使用されない代わりに、オッフェン・バックやモーツァルトのクラシック音楽、マレーネ・ディートリッヒの「嘆きの天使」の主題歌やツァラ・レアンダーの歌、それにエディット・ピアフやダミアらのシャンソンが流れる。16ミリからのブローアップ。

ストーリー

アレクサンドル(ジャン=ピエール・レオ)は定職もなく、ブティックを経営する年上のマリー(ベルナデット・ラフォン)の世話になって暮らしている。ある朝早く外出した彼は元婚約者の細菌学教師ジルベルト(イザベル・ヴェンガルテン)を学校の前で待ち伏せして愛を告白するが、彼の生き方が理解できないシルベルトは拒絶する。振られたアレクサンドルはカフェで目のあった別の女に声をかけ、ヴェロニカ(フランソワーズ・ルブラン)という名の彼女の電話番号を聞き出す。家でアレクサンドルはマリーにジルベルトにふられ、ヴェロニカに会ったことを話す。電話でヴェロニカと約束したアレクサンドルだが彼女は現れず、偶然通りかかったジルベルトに、彼のプロポーズでむしろ別の婚約者(ジャン・ユスターシュ)と結婚する決意を固めたと告げられる。すっぽかしにめげないアレクサンドルはヴェロニカを再び呼び出し、それから急速に親しくなる。彼女は病院の麻酔助手で、医者たちは行きずりの男たちと体を交えてきたが虚無を感じるだけだった。アレクサンドルはそんな彼女にとって特別な男になってきたようだ。マリーはアレクサンドルが彼女と会っていることを知っているが厭味を言う以上の干渉はしない。だが彼女がフィリップという男と会うと聞いてアレクサンドルは激しく嫉妬する。マリーはロンドンに出張するから空いた部屋はご自由にと言って家をあけ、果してアレクサンドルはヴェロニカを家に連れ込んで一夜を過ごした。マリーは嫉妬を感じているようだが、大人らしく冷静に対処し、アレクサンドルも彼女から離れられない。そんなある夜、酔っぱらったヴェロニカが二人の部屋を訪れ、裸になって二人のベッドにもぐり込んだ。これ以来ヴェロニカは二人の部屋に度々入り浸るようになり、三人の奇妙な関係が始まる。マリーがホームパーティーに例のフィリップという男を招いたと聞いてアレクサンドルは我を失って怒り、ヴェロニカが二人のあいだをとりなしたことがきっかけになって、二人の女が急に接近する。ある晩ヴェロニカはワインに酔った勢いで、自分がアレクサンドルとマリーの二人を深く愛していること、今まで多くの男と寝たことはまるで無意味だったこと、初めて愛した男がアレクサンドルであることなどを延々と語り始める。ヴェロニカの告白にアレクサンドルは圧倒されるが、マリーは急に冷淡になる。病院に帰るヴェロニカと彼女を送っていくアレクサンドルを追い出し、マリーはエディット・ピアフの「恋人たち」のレコードにじっと聞き入る。ヴェロニカはアレクサンドルを激しく拒絶し、自分が妊娠していると告げ、彼を追い払う、いったんは帰ろうとしたアレクサンドルだが踵を返し、合鍵を使って彼女の部屋に入る。ヴェロニカはベッドに横たわって笑い転げる。アレクサンドルは彼女に覆いかぶさって激しいプロポーズの言葉を叩きつける。ヴェロニカは笑いながら結婚を承知すると、吐き気がするから洗面器を寄越せと命じる。洗面器を渡したアレクサンドルは、力尽きたように床に座り込む。...

作品データ

原題 La Maman et la putain
製作年 1973年
製作国 フランス
配給 ユーロスペース
上映時間 220分

提供:株式会社キネマ旬報社

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