ぼくと彼女のために

劇場公開日:

解説

スターリニズム体制下のブルガリアを舞台に、ひとりの少年と、彼が憧れる美少女を通じて、当時の情勢を描く社会派映画。監督・脚本はThe Black Swans(84/未)のイヴァン・ニチェフ、撮影はゲオルギー・ニコロフ、音楽はボジダル・ペトコフが担当。89年モンテカシーノ映画祭グランプリ、同年シカゴ映画祭最優秀作品賞を受賞。

1988年製作/ブルガリア
原題:1952 Ivan and Alexandra 1952, Ivan i Alexandra
配給:ケイエスエス
劇場公開日:1992年6月27日

ストーリー

50年代、スターリニズムの高揚するブルガリア。子供たちは、共産主義的人間の育成のため組織された少年団、ピオネールに属している。イワン(クリメント・チョルバジェフ)も、首に赤いスカーフを巻いたそれらの少年の一人で、体制賛美のラジオ・ドラマに出演していた。「英雄になれなかった男」である父を恥じるイワンの夢は、いつかスターリンに認められること。彼は同級生の美少女アレクサンドラ(モニカ・ブージョノヴァ)に恋していたが、エリート階級に育った彼女は相手にしない。ところがある日、アレクサンドラの父は、政治的に失脚し政府から逮捕される。スターリニズムを盲信する担任教師は、「裏切り者の娘」として、アレクサンドラをピオネールから除名した。仲のよかった友達からも見捨てられて意気消沈するアレクサンドラを慰めようと、イワンは友達のモニと共にアレクサンドラを誘う。イワンのラジオの出演料で、レストランへ行き、遊園地で遊び、映画を見る3人。家に帰ったイワンは、彼のラジオの出演料を家賃に当てようと待っていた母親に、その金を使い果たしてしまったことを告げ、叱られる。一方、モニ一家は、イワンが何げなく教師に漏らしてしまった秘密のために粛清される。イワンは、アレクサンドラにピオネールへの復帰を勧めたが、そのために皆の前で自分の父親を糾弾しようとする彼女とイワンの前に、アレクサンドラの母が現れ、2人を止めた。そして、アレクサンドラの一家は町を去っていくのだった。

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