フリックストーリー

劇場公開日:

解説

三六件の殺人を犯し、フランス犯罪史上、最も兇悪なギャングといわれるエミール・ビュイッシュを追う敏腕刑事ロジェ・ボルニッシュの活躍を描く実話の映画化。製作はアラン・ドロンとレイモン・ダノン、監督は「ボルサリーノ2」のジャック・ドレー、実在の刑事ロジェ・ボルニッシュの手記をアルフォンス・ブーダールとドレー自身が脚本化、撮影はジャン・ジャック・タルベス、音楽はクロード・ボランが各々担当。出演はアラン・ドロン、ジャン・ルイ・トランティニャン、クローディーヌ・オージェ、レナート・サルヴァトーリ、モーリス・エバンス、アンドレ・プッスなど。

1975年製作/フランス
原題:Flic Story
配給:東宝東和
劇場公開日:1975年11月29日

ストーリー

国家警察局のロジェ・ボルニッシュ(A・ドロン)は、恋人カトリーヌ(C・オージェ)との結婚を間近かに控え、折あらば大きな手柄をモノにして、主任ポストを獲得しようと、こころ秘かに狙っていた。一九四七年、戦争が終わってからまだ間もない年の三月。敏腕刑事として同僚からも一目おかれているロジェのもとに、ある日とてつもない大きな事件がころがり込んできた。暗黒街の大物で冷酷きわまりない殺し屋エミール・ビュイッソン(J・L・トランティニャン)が脱獄したというのだ。ビュイッソンは、実兄のル・ニュス(A・プッス)、仲間のボレック(M・バリエ)、マリオ(R・サルバトーリ)の協力で首尾よく娑婆に出るとすぐ、かつて自分を密告したティボンを愛用の拳銃P38で射殺した。幼い頃からアル中の父親に盗みを強いられて育ったビュイッソンの暗い過去。その冷酷な才能と度胸は、ひたすら暗黒街の仇花である悪の栄光に接近し今ではフランス中を震えあがらせる殺人鬼として君臨しているのだ。ビュイッソン一味は、ボルニッシュの捜査活動を嘲笑するかのように第二の犯行を行った。ブルジョワの集まる高級レストランを襲い、客の身につけていた金目のものを強奪したのだ。ボルニッシュは、犬に仕立てあげたレイモンからの密告でようやく一味の隠れ家をつきとめたが、ル・ニュスとボレック兄妹を逮捕しただけで、ビュイッソンは逃がしてしまった。度重なる後手後手捜査の責を問われて、ビュイッソン事件からおろされたロジェ班は、ケチな犯罪係りに廻されてくさりきっていたが、ベルサイユ郊外の森の中で発見されたマリオの死体にめぐりあった時は狂喜した。このことから、ようやく姿を消していたビュイッソンの足どりが割れたのだ。徴税所襲撃の準備のためにラ・メール・ロワ旅館に身をよせているビュイッソンのもとに、ロジェはカトリーヌと同僚のイドワーヌ、ダロスを連れて乗り込んだ。といっても刑事としてではなく、一民間人の気さくな四人連れという恰好で、通りすがりにたまたま食事に立ち寄ったという大芝居。ビュイッソンは何者とも分らない四人組にひどく警戒の色を見せていたが、やがてカトリーヌがレストランのピアノに向い、ピアフのヒット曲を奏でると、その殺し屋の冷たいまなざしのなかに、一瞬あたたかく和むような光がキラリと浮かんだ。ほんの一瞬の油断を捉えたロジェがいきなりビュイッソンに飛びかかって、背後からはがいじめにした。三六件の殺人で起訴されたエミール・ビュイッソンは、セーヌ重罪裁判所で死刑の判決をうけ、一九五六年二月二八日に執行された。

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映画レビュー

3.5アラン・ドロンvsジャン=ルイ・トランティニャン

2023年1月1日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アラン・ドロンvsジャン=ルイ・トランティニャンのぶつかり合い、奇妙な友情らしき感覚を描いたドラマ。
具体的な日付も語られており、実際に36件の殺人を犯したフランス犯罪史上凶悪な犯人と刑事の実話らしい。

国際警察のボルニッシュ(アラン・ドロン)は恋人カトリーヌ(クローディーヌ・オージュ)との結婚を控え、ビュイッソン(ジャン=ルイ・トランティニャン)なる凶悪犯が脱獄したため、上司から逮捕を最優先するよう指示されたボルニッシュ刑事。
刑事が捕まえようとしても、自分がハメられたと思った相手を次から次へと射殺する脱獄囚なので、連続殺人しながら逃走する犯人の手がかりが次々と途絶え、更に次のチャンスを探して狙う刑事の追跡劇が様々なシチュエーションで繰り広げられる。

そうした逃走&追跡ドラマの背景で流れる音楽が印象的で美しい。

この映画を観終わってから「いったい何人が殺されたのか?」と気になるが、もう一回観る気は起こらない。
観たばかりで物語も映像も鮮明なので……(笑)

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たいちぃ

3.5地道にしつこく努力していく

2013年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 65

 刑事の仕事は地道で地味なものの積み重ねという。アラン・ドロンがその魅力を前面に押し出すのではなく、こつこつと地味な仕事もこなしつつ相手の取調べで脅したり取引したりしながら地道に情報を得て捜査を進展させていく。そういうことが下地にあるから犯人にたどり着く可能性が出てくるのだというのがわかる映画。結局犯人を追跡して取り押さえるのは最終段階に過ぎない。
 失敗しても忍耐強く努力を重ねる姿は今までのアラン・ドロンらしくないかもしれないが、こういう刑事像は実話を基にしているだけあって現実味があって玄人好みだと思う。最後に犯人との過去と関係を振り返るのも楽しめました。

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