劇場公開日 1987年2月14日

「ウディの映画は書くのが難しい」ハンナとその姉妹 あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ウディの映画は書くのが難しい

2009年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

萌える

1986年製作のアメリカ映画。108分。超マイナス思考コメディーを作るのが得意なウディ・アレンの作品でございます。自分に運がないと思う人はこれを観るといいと思います。

内容は、三人の女姉妹とその周辺でフラフラする男たちのドタバタ劇。長女のハンナはしっかりもので、なんでも自分で決めていく。それに業を煮やした夫は、次女と不倫します。その一方で、ハンナの元旦那(ウディ)は、すごいマイナス思考男で、心のより所を探して、宗教に走ったりとフラフラしている内に、一番下の妹と結ばれる。他のウディの映画にも共通している、ストーリー性があまりない映画となっています。

ストーリー性がないと、普通なら観てて集中するのがしんどくなってきますが、この人の作品の場合は描かれる人間がほんとにおかしい。男は相変わらず優柔不断で、自己矛盾の繰り返しだけど、それでもなんとかなっていく所が不思議だけど、妙に説得力がある。

物語としていつも破綻寸前の混沌とした人間模様が描かれるのだが、なぜかこの人の作品は、首の皮一枚状態を保ってそのままエンディングを向かえます。おそらく現実世界というのは、ストーリー性などなく、この人の作品のようなものなのでしょう。

それでも人生なんとかなってしまうのだから、やっぱり生きていることって笑いなのだと思います。ドラマ仕立ての作品ばかり観てると、人生は期待と失望の連続になりがちになりますが、この人の作品はそんなものは超越してて、ただただその日その瞬間を面白おかしく、そしてベストを尽くすことが大切なのだなと思わされます。

正直、観終わった直後はいまいちだと思った本作ですが、こうやってレビューを書きながら作品を掘り下げていくと、意外と深いものが心にわき上がってきました。

それにしても、ウディはいつも映画の中でよく歩きますね。

あんゆ~る