見たい度推移(赤線は公開日)


死を間近に控えた異邦人が二度と帰れぬ故郷の大地を切々と思いつつ、そのノスタルジアのくびきを超え出ていくさまが、重厚無比の詩的密度で描かれる。イタリアのとある寒村の湯治場を舞台に展開する詩人と“狂人”のエピソードが鮮烈。村人や湯治客から狂人扱いされているドメニコは、ロシアから来た詩人アンドレイに“世界の救済をかけて、ロウソクの火を消さずに湯治場の広場を横断するように”との謎めいた懇願をする。ローマの著名な騎馬像の上で、ドメニコが命懸けの演説の末、焼身自殺し火ダルマとなって落ちる時、アンドレイは吹き渡る風ですぐ消えてしまうロウソクの炎を守りながら広場を渡り切ろうとする……。タルコフスキー監督は自らもソ連からイタリアへ亡命しており、詩人アンドレイに自身の姿を投影して故郷への思いを吐露したともとれる。火と水の暗喩に富んだイメージは彼一流のもの。ラストの雪の降りしきるイメージも深い感動を呼ぶ。



