チャイナ・シンドローム

劇場公開日:

解説

テレビ局の女性キャスターが、原子力発電所を取材中に原子炉事故を目撃したことを発端とする、明日にも起こりうる悪夢を描くサスペンス・アクション映画。製作総指揮はブルース・ギルバート、製作はマイケル・ダグラス、監督は「ペーパー・チェイス」のジョームズ・プリッジズ、脚本はマイク・グレイ、T・S・クック、ジェームズ・ブリッジズ、撮影はジェームズ・クレイブ、音楽はスティーブン・ビショップ、編集はデイヴィッド・ローリンズが各々担当。出演はジェーン・フォンダ、ジャック・レモン、マイケル・ダグラス、スコット・ブラディ、ジェームズ・ハンプトン、ピーター・ドーナット、ウィルフォード・プリムリー、リチャード・ハード、ダニエル・バルデス、スタン・ボーマン、ジェームズ・カレン、ドナルド・ホットンなど。

1979年製作/アメリカ
原題:The China Syndrome
配給:コロムビア映画
劇場公開日:1979年9月15日

ストーリー

キンバリー(ジェーン・フォンダ)は、ロサンゼルスのKXUAテレビ局の人気女性キャスターで、ある日、彼女は、カメラマンのリチャード(マイケル・ダグラス)と録音係のヘクター(ダニエル・バルデス)をともなって、ベンタナ原子力発電所の取材に出かけた。厳重なチェックを受けた3人は広報担当のギブソン(ジェームズ・ハンプトン)の案内で、取材を開始した。しかし、中心部のコントロール・センターでカメラを回そうとしたリチャードが、ギブソンに禁止だからとそれを止められる。その時突然震動が起こり大騒ぎの制御室の中で技師のジャック(ジャック・レモン)が冷静に指示を与えている。やがて、放射能もれがわかり、原子炉に緊急停止の命令が出された。その様子をリチャードがカメラに収める。スタジオに帰ったキンバリーは、早速プロデューサーのジヤコビッチ(ピーター・ドーナット)に、そのことを報告した。原子炉の事故は一大スクープになるはずだ。しかし、ジャコビッチは、このニュースを流すことに反対した。調査の結果、その後の発電所に異常が認められないため、運転が再開されることになるが、ただ1人、ジャックだけは不安な予感を抱いていた。発電所の近くの酒場で、ジャックはクビを言い渡されたリチャードを探していたキンバリーと出会った。リチャードは、例のフィルムをもったまま行方をくらましているのだ。キンバリーと別れたジャックは、かすかな震動を感じ、原子炉を調べにいった。やはり、ポンプの一つにもれがあった。もう少し様子をみてから運転を再開すべきだというジャックの忠告に、しかし所長は耳をかそうともしなかった。翌日、取材に出かけたキンバリーは、偶然、リチャードに会う。彼は、例のフィルムを物理学者のローウェル博士(ドナルド・ホットン)に見せにきたのだ。フィルムを見た博士は、もう少しでチャイナ・シンドロームになるところだったと断言した。チャイナ・シンドロームというのは、原子炉の核が露出した時、溶融物が地中にのめりこんでいき、地球の裏側の中国にまで達するという最悪の事故のことだ。一方、ジャックは、発電所内の各所にあるパイプ結合部のX線写真を調べているうちに、重大なミスを発見した。それは、納入業者が製品チェックの手ぬきのために、同じ写真を何枚も焼き増ししたものなのだ。事故の原因追求に悩みぬいた末、ジャックはX線写真をキンバリーに渡し、世論に真相を訴える決意をする。しかし、その頃、何者とも知れぬ者たちが動き出し、まずX線写真をとりに行ったヘクターが車ごと崖下に突き落とされ、ジャックも彼らの追跡をうけ、命をねらわれた。そこで、ジャックは残された1つの手段を決行することにした。それは、発電所の中心部にジャックが篭城し、発電所をキンバリーに取材させ、内部の異常を世間に知らせようというもので、言うことをきかなければ、核をもらすと所長を脅した。しかし、外から中心部を操作できる発電所の人間が、発電所の動きを止めたため、ジャックは射殺され、すべて酔っぱらいのたわごととしてかたづけられることになつた。しかし、キンバリーは、追求を続け、発電所内の人間の証言をとり、ニュースで事実を発表するのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第37回 ゴールデングローブ賞(1980年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ジャック・レモン
最優秀主演女優賞(ドラマ) ジェーン・フォンダ
最優秀監督賞 ジェームズ・ブリッジス
最優秀脚本賞 ジェームズ・ブリッジス

第32回 カンヌ国際映画祭(1979年)

受賞

コンペティション部門
男優賞 ジャック・レモン

出品

コンペティション部門
出品作品 ジェームズ・ブリッジス
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映画レビュー

4.0ジャック・レモンをずっとヘンリー・フォンダだと思っていた。

2024年2月20日
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マサシ

4.0「100%安全」はないが「正確な情報発信」はできる

2022年11月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

原発の恐ろしさを40年以上も前に伝えてくれている作品で、福島原発事故を思い起こす。
正しい情報は今でもどこまで国民に伝えられているのか疑わしいと思うのは自分だけであろうか?

映画では正義感のある人々がいたから甚大な事故に繋がらなかったが1人が重傷を負い、1人は死に追いやられた。
キャスターとクルーの恋愛なんか入ってくる余地もなく本当に原発の恐ろしさを伝えたかったのがわかる。
改めて原発の恐ろしさを再認識できたし情報の大切さを思い知らされたが我が国の政治家や官僚には正しい情報発信が期待できるのだろうかと不安を感じる。

原発で働いている人がこの映画を見たらどういう風に感じられたのだろうか・・・・

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Elton Shin

5.0無音のエンドロールの意味

2021年4月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

スリーマイル島原発事故の3ヵ月前の公開、事故を予言したと有名
原子力発電所の事故隠しの内幕を描いています

利益と安全のバランス
100%の安全なんてものは世の中に存在しないことは少し考えれば当たり前のこと
経済的な合理性の範囲内で十分な安全を図ることで文明社会は成り立っています
鉄道だって飛行機だってガスコンロだって同じです
しかし原発事故は一旦起こった時の被害の甚大さと後世にまで数十年以上もしかしたら数万年に及ぶ取り返しのつかない事態を起こすところが違うのです
そこが普通の利益と安全のバランスと違うところ
そんなことは百も承知のこと
しかし事故はスリーマイル島で起き、チェルノブイリで起き、福島で起きました
大事には至らなかった小さな事故ならそれこそ無数に世界中の原発で起こってきたはず
かといって原子力を無くしてしまえというのは、もはや私たちは後戻り出来ないところに来てしまっているのも現実なのです
電気なしには暮らせませんし、いまさら二酸化炭素を盛大に排出する火力発電所に頼れません
再生可能エネルギーは所詮付け足しに過ぎないことも現実をみればあきらかなこと

私たちは知恵の実を食べてしまったアダムとイブなのです
楽園を追放されてしまったのです
イチヂクの葉で陰部を隠すように、原子力事故発生の恐怖を意識の下に押し込んで隠してしまうしかないのです

本作は同時にテレビ局の内幕を描いてもいました
マスメディアは正義の味方?
そうではない
ジャーナリストは正義の味方?
そうではない
個人が正義を貫いたかどうかなのです
フリーのカメラマン、ステップアップを目指す女性レポーターがそうであったからです

福島の悲劇
マスメディアは電力会社や政府を批判はすれど、自らの責任には自己批判をしていたのでしょうか?
マスメディアの責任の有無を検証したのでしょうか?
電力会社からの大量の広告収入に麻痺させられてきたことはなかったのでしょうか?

マスメディア自身も電力会社と同じく、利益と公衆の安全のバランスの上に成り立っていたのです
マスメディアが正義だとか、ジャーナリストが正義だなんて嘘です
あの二人が居なければマスメディア自身が事故報道を封印して、本当の原子力災害が起こっていたはずなのです

個人が正義を貫けるか?
個人の利害、所属する組織の利害を超えて、正義を貫ける信念を持っているかどうかです

それだけなのです
まるで本作で描かれたことがこの日本でも起こっていたとは言えなくはないのでしょうか?

その正義を貫くべき時が、自分にもあなたにも訪れることがあるかも知れません
その勇気を持てるかどうかなのです
家庭、将来、安定
そんなものを全て脳裏から振り捨てて、正義を貫けることができるのか?
それが本作が私たちに問われていたことなのです

でも個人が正義を貫いたとしても、果たして電力会社やマスメディアという巨大組織に通じるものなのか?

劇中の公聴会のシーンでいくら意見をしても聞く耳を持たない電力会社に反対派の人々は口を縛って無言のパフォーマンスをしていました

本作のエンドロールもまた無音でした
無言の抗議だったのです
個人の行動は無意味なのではない
やれることはあるのだ
そういうメッセージだったのです

初老の原子炉管制室の主任を演じたジャック・レモン
流石の名演技でした
コメディ風味は封印してシリアスに徹しています
しかし目の色、表情にはシリアス一辺倒だけでない様々な感情の動きが伝わる物凄いものでした
アカデミー賞初め多くの映画賞を獲得したのは当然です

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あき240

5.0重いかなって思ったけど

2020年6月28日
iPhoneアプリから投稿

原発発電に関する社会問題を扱った重い作品かと思って気が進まなかったのですが、面白いと聞いたので観てみました。実際社会問題を扱っている作品なので娯楽作品とは違いますが、娯楽作品を観ている並みに緊張感とハラハラを味わう事ができます。
企業の上層部の思考回路などがリアルで、実際こうなのかなーっと思わせるものがありました。
原発社会に生きてる者として観るべきだと思いましたが、単純に面白い作品が観たい方には本当にオススメだと思います。

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