父の祈りをのレビュー・感想・評価
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タイトル考えた方がよい
イギリスの冤罪事件の実話でした。イギリス人には有名な事件だろうから原題でいいのかもしれないけど、馴染みの薄い日本人向けにこのタイトルは意味をなさない。
ルメット選手が取り上げそうな社会派のリアルガチです。俳優も含めてイギリス映画特有の重厚さにあふれた作品です。ただ、話のテンポが少し緩いかな?
イギリス独特の裁判風景は日本人には少し戸惑います。
隠れた名作
100本ほど映画レビューを投稿し、鑑賞だけであればそれ以上見てきているのだがこの作品ほどレビュー数と評価が比例しないのは初めてかもしれない。
レビューが少なくとも、決して評価が高くなくとも心を打つ作品はあるのである。
たった1%の確率でこの作品に出会えた偶然に感謝する。
ショーシャンクやグリーンマイルが好きな人には是非見ていただきたい。
監房の中の和解
父と息子といえども、親子が同じ監房に収監されることなどあるのだろうか?と疑問に感じながら見ていたのだが、やはりこれはドラマを盛り上げるための脚色だそうだ。
監督と脚本家はこの作品を単に冤罪をはらすために闘った親子の物語としてだけでなく、同時に一組の親子の確執と和解の物語として描きたかったのだろう。
しかし、この作品にはいろいろ考えさせられる。まずは、この時代(ギルフォードのパブ爆破事件が起きたのは1974年)イギリスで制定されたテロ防止法だ。
容疑なく7日間勾留出来るというこの悪法によって勾留された四人は暴力や恫喝紛いの取り調べによってやってもいない爆破事件を自供してしまう。しかし、このテロ防止法、何処かで聞いたことがある。9.11以降アメリカ制定された法律と内容の差こそあれ、どちらもテロリズムによって人々に植え付けられた恐怖が制定させたと言っていい。
しかしこの危険な悪法は彼等四人のような犠牲者を作り出す(しかも彼等は氷山の一角だろう)。テロリズムによる恐怖は新たな恐怖を生んでしまうのだ。
事件によるショックが大きければ大きいほど、犠牲が大きければ大きいほど、大衆による司法当局に対するプレッシャーは大きくなる。そのプレッシャーがまた冤罪を招く元になる。その証拠にイギリスの司法当局はアリバイの証言を握り潰し、更に真犯人の証言さえ無視された。
“Do the right thing.”
言うのは簡単だが、まずは何が正しいことなのか?それをよく考える必要がある。
ひとりひとりが考えること、それが正しい行いへと導くのだと思う。
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