劇場公開日 1949年9月

善人サムのレビュー・感想・評価

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3.0お人好しの良し悪しを描いた映画

2021年10月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 お人好しな性格のゲイリー・クーパー。お金も含めお人好し。騙されたりはしないが奥さんは少し心配。彼はデパートの支配人をしている。厳しい社長とは真逆で、お客さんとは売り上げに関係なく「雑談」を聞いてあげるのであった。いつまで話に付き合ってんだよ...横で社長はイライラしながら仕方なく愛想笑いしてる。少しコメディぽいノリで、現代ならトム・ハンクス辺りが似合う役だと思う。話し相手はおばちゃんばかり。雑談でもあなどってはいけません!お偉い貴婦人かもしれないし、噂話のスピードはピカイチです。親切に対応しましょう...そんな印象を持った。
 中盤以降は徐々にコメディ色は減り、家に居ても甘えてくる (利用してくる) 人が続けて来て、奥さんはタメ息の連続。そして新しい家を検討していたのに、貯金を全て貸してしまう異常なお人好しに涙する。牧師さんが訪ねに来ても「子供に寄付してほしくて来たんでしょ」 --- 今までを考えればそう思いたくなりますよ。ここまでの善人を私は見たたことがありません。映画とはいえハッピーエンドで終わってほしいので、どうなるか気にしながら鑑賞してました。

展開としては、デパートなど楽しかった前半から家でのゴタゴタ話しばかりになり、場面転換に乏しく映像的には退屈に思える。後半やっと外出シーンになった。 何と後ろから女に殴られ金を取られてしまう。ただ、この場面は映像がないので「ながら観」してたら何のことか急展開に感じることでしょう。とにかく、今まで人に与えていた善行が報われず、自分が金を必要となる逆展開になった。「どうすりゃいいんだ」 --- 酔っぱらって初めてヤケクソになる主人公。これは予想できない流れだった。これが人生と思える。

 意図的ではなく、根っから「お人好し」なのが彼の人生を好転させた。

 社長やるじゃん! 「早くしろよ」て顔してたけど、ちゃんと評価してたんだね!

 実生活もこうでありたいが、残念ながら大なり小なり打算的に生きてるもんでしょう。難しいテーマですね。

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はむちん