ジーキル博士とハイド氏(1932)

解説

数年前、米国に於いてもまたドイツに於いても映画化されたことのあるロバード・ルイス・スティヴンソンの著名な小説を再び映画かしたもので、脚色には「おしゃれ牧場」「珍暗黒街」のパーチー・ヒースと「アメリカの悲劇」のサミュエル・ホッフェンシュタインの二人が当たり、「市街」「喝采」のルーベン・マムーリアンがメガフォンをとった。主役を演ずるは「夜の天使」「名門芸術」のフレドリック・マーチで「陽気な中尉さん」「二十四時間」のミリアム・ホプキンス、「リリオム」「ボルネオの東」のローズ・ホバート、「マダムX」のホームズ・ハーバート、ハリウェル・ホッブス、「西部戦線異常なし」のアーノルド・ルーシーその他が助演。撮影者は「忍びよる心」「悪魔が跳び出す」のカール・ストラッスである。

1932年製作/アメリカ
原題:Dr.Jekyll and Mr.Hyde

ストーリー

ジーキル博士は人間の凶悪な性質を薬物の力で除去し得るという学説を立て、堅い信念のもとに日夜研究に没頭している若き篤学者だった。博士はそのために許嫁マリエル嬢との晩餐の約束さえ忘れることが再々なので、嬢の父カルウ将軍は立腹してとうとう娘を自宅に連れ戻してしまった。博士は友人のランヤン博士にやがて自分の学説の正しいことを納得させ得る研究の完成が近づいたことを信じながら、相変わらず研究室に閉じ込もって熱心に実験を続けているうち偶然、彼の目的とは正反対の結果を招く薬物即ち人間の性質から「善」を取り去り、「悪」のみを残すという薬物を発見し、異常の興味に駆られてこれを服用した所、忽ち彼の端麗温厚な容貌は一変して醜怪凶悪なハイドの姿と変わった。ハイドは喜び勇んで研究室の裏口から罪悪を漁りに巷に飛び出した。数回こうして転身を繰り返すうち博士の身体に宿る「悪」の本質が次第に台頭して来た。博士は自分がハイドとして罪悪に対する欲望を禁じ得なくなったことを悟ってこれを抑制しようと努めたが彼の意志はこの大きな誘惑の前には余りに無力だった。斯くしてハイドの残忍性は益々悪化し、ついにある日かつて彼が開業医ジーキル博士として診察したことのある売笑婦アイヴィーを殺してしまった。博士は自分の秘密に悩んだ挙句、許嫁マリエルの家を訪れたが、婚約を取り消されて悄然として我家に帰る途中、彼の心中に突如ハイドの性格が台頭して来た。そこで博士はハイドに姿を変じてマリエルの家に引き返した。そして嬢の悲鳴を聞いて駆けつけた父将軍をハイドはステッキで殴りつけ、倒れたところを更に足蹴りにさえした。急を聞いて駆けつけた警官はハイドを追跡して彼が逃込んだジーキル博士の研究室を包囲した。研究室に飛び込んだハイドは還元剤を呷った。警官が踏み込んだ時にはハイドの姿はなく、ジーキル博士が笑顔で彼等を迎えた。折しもそこに来合わせたランヤン博士はジーキル博士とハイドとは同一人だと警官に告げた。その時ジーキル博士は苦悶の表情をしたかと見る間に忽ちハイドの相を現し、ナイフを閃かしてランヤン博士に飛びかかったが警官に射殺された。警官は呆気にとられて、ただそこに倒れている不可解なジーキル博士の死体を見つめているばかりだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第1回 ベネチア国際映画祭(1932年)

受賞

人気男優賞 フレデリック・マーチ
オリジナル・ストーリー賞(ファンタジー) ルーベン・マムーリアン
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映画レビュー

4.0ヘイズ・コード

2020年3月22日
Androidアプリから投稿

フレデリック・マーチが 二重人格で分裂した ふたつのタイプを演じ分けている
若い頃の彼を知らなかったので ハンサムなのに
驚き!
ただ 一筋縄でいかない様な雰囲気もあり、それが危ういジキルに ピッタリだった

これで注目されたアイヴィ役のミリアム・ホプキンス
姿かたちのとても良い女優で、魅力的
特に 首から胸にかけてのデコルテ部分とおみ足が美しい
ヘイズ・コード適用直前の作品であり
彼女のそれらを活用した表現(笑)は 問題視されたか?
ハイドも「そのモチ肌がぁ~♪ 」とか言っている

悪を体現したハイドが 猿男みたいなのが 気になるが、当時は悪=原始に近い、本能のまま、でも悪知恵は働く、近代化されていない … というイメージだったのかな
マーチは その猿男も上手く演じている

ジキルからハイドへの変貌シーンも面白い

ちょっとした ヒロイモノの映画でした

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jarinkochie
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