劇場公開日 1970年3月28日

サンタ・ビットリアの秘密のレビュー・感想・評価

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5.0父が教えてくれた映画

2020年11月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

プライドを手渡していく“リレー”ですね。
待ちに待った初DVD化です。

このお調子者、ボンボリーニ(アンソニー・クインさん)、
女房には頭が上がらないけれど、ワインを守って村人たちのプライドを衛った男なんだな。

最後は泣けてくるような、この手づからの“リレー”は、楽しい村民運動会でもあり、ファシストに抵抗する庶民たちの素朴なパルチザン闘争でもあったのでした。

今この時にも、人間の尊厳のために権力と闘っている民衆が世界各地にいる、
しかし翻弄をされながらも、命とプライドを守る人々の、なんだろう、あの不思議な明るさといったものは。

・ガンジーは塩の行進、
・公民権運動ではバスボイコット、
成田や辺野古での座り込み、
福島では希望の牧場の運動、etc.

ドイツ軍を迎える町民の無言のシーンが好き。あの顔顔顔・・。人間の顔から伝わってくる民草の命というもの。
丸木位里・俊の大作「焼津」のようだ。人間存在の輝きとその尊厳性が、人が立っているだけで言葉無しに迫ってくる、実にいいシーンだ。

ボンボリーニは、行動を起こす前に、勝利の先取りの感謝をば笑顔で神に捧げた・・
必ずいつかは勝利する we shall overcome ! と信じる民衆の、粘り勝ちの記録だ。
愚か者の勝利なのだ。

・・・・・・・・・・・・

初DVD化です♪
名優アンソニー・クインの主演でありながら、ずっとテレビサイズのVHSしか存在しなかった珠玉の作品。
横長の画面でついに復活です。

ニュースを知り、Amazonに予約をして、ようやく30年待ったDVDを手に入れました。

思えばこの僕が、ワインの工場に勤めることになった時 (30年まえ)、父がこの映画を薦めてくれたのです。
そこから更に遡ること遥かむかし、父が若い頃に映画館で観て、記憶に刻まれたのだという本作品。
ネットも携帯電話も無かった30年前に、父が映画評論家に手紙を書いてくれて、どうしても思い出せなかったという本作の「題名」を、息子=僕のために突き止めてくれた、
― そういう映画なのです。

映画好きの父の想いを、永い年月を経て、あのワインの瓶のようにこの掌に手渡ししてもらえたような気分です。
父に感謝。幸せな鑑賞後感です。

村人の勝利の美酒はCINZANOですね
ビバ!ボンボリーノ!
パパ、サルーテ!

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きりん