サンタ・ビットリアの秘密

劇場公開日:

解説

街の唯一の財産である百万本のワインを、ドイツ軍の掠奪から守ろうとするサンタ・ビットリア住民の活躍をコメディ・タッチで描いた作品。監督・製作は「招かれざる客」のスタンリー・クレイマー。ロバート・クライトンの原作を、「招かれざる客」でオスカーを手にしたウィリアム・ローズが、ベン・マドウと共同脚色。撮影は「家族日誌」のジュゼッペ・ロトゥンノ、音楽はアーネスト・ゴールド、特殊効果はダン・リーが担当。出演は「日曜日には鼠を殺せ」のアンソニー・クイン、「蛇皮の服を着た男」のアンナ・マニャーニ、「女と男と金」のヴィルナ・リージ、「ネレトバの戦い」のハーディー・クリューガー。他にバレンティナ・コルテーゼ、レナート・ラスチェル、ジャンカルロ・ジャンニーニなど。テクニカラー、パナビジョン。1968年作品。

1968年製作/アメリカ
原題:The Secret of Santa Vittoria
配給:ユナイト
劇場公開日:1970年3月28日

ストーリー

1945年はじめ、ここは北イタリアのサンタ・ビットリア。学生のファビオ(ジャンカルロ・ジャンニーニ)がもたらした「ムッソリーニ死す」のニュースに、バッバルーケ(レナート・ラスチェル)を筆頭に、街は反ファシズムの気運がもりあがっていった。市長のイタロ・ボンボリーニ(アンソニー・クイン)も、その妻ローザ(アンナ・マーニャ)も、もちろん賛成だった。しかしこんな町にも戦争の波は押し寄せてきた。ファビオは大学にもどったが、そこで、ドイツ人がこの街を占領し、人々が血肉と思っているワインを没収しようとしていることを知った。この知らせに、ボンボリーニを中心に市民たちは団結し、この街のワインを守ろうと決意した。その数百万本というワインを、人々は夜を日についで働き、ついにドイツ軍が来る1時間前に、丘の中腹に隠し終えた。ドイツ軍のキャプテン、フォン・ブルム(ハーディー・クリューガー)は、ワインを見つけだそうと必死になったが、1びんも発見できなかた。ボンボリーニもさまざまな策略を用い、未亡人で看護婦のカテリーナ(ヴィルナ・リージ)を、慰安のためにブルムに差し出したりした。カテリーナの恋人で脱走兵のトゥーファは、そんなカテリーナを黙って見守るしかできなかった。相変わらずワインを見つけだせないブルムに、親衛隊員の伝令が到着し、「36時間以内に、ワインを見つけるように」との命令を伝えていった。この伝言にあせりをつのらせたブルムは、トゥーファを逮捕し、カテリーナを詰問するなど、いろいろな方法で街の人々からワインの行方をききだそうとしたが、いずれも失敗した。36時間の期限もせまり、逆上したブルムは、ボンボリーニやローザ、さらには老人や幼児たちにも銃をむけ、ワインのありかを迫った。しかし、人々の団結は驚くほどで、ブルムたちドイツ軍はワインを諦め、街を去らねばならなかった。市民たちの宝、ワインは守られ、人々は喜びに湧いた。いままで犠牲になっていたカテリーナとトゥーファの愛も、再燃した。サンタ・ビットリアは、今幸福と喜びにあふれているようだった。(ユナイト配給*2時間19分)

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第42回 アカデミー賞(1970年)

ノミネート

編集賞 ウィリアム・A・ライオン
作曲賞(ミュージカルを除く) アーネスト・ゴールド

第27回 ゴールデングローブ賞(1970年)

受賞

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  

ノミネート

最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) アンソニー・クイン
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) アンナ・マニャーニ
最優秀監督賞 スタンリー・クレイマー
最優秀作曲賞 アーネスト・ゴールド
最優秀主題歌賞
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映画レビュー

5.0父が教えてくれた映画

2020年11月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

プライドを手渡していく“リレー”ですね。
待ちに待った初DVD化です。

このお調子者、ボンボリーニ(アンソニー・クインさん)、
女房には頭が上がらないけれど、ワインを守って村人たちのプライドを衛った男なんだな。

最後は泣けてくるような、この手づからの“リレー”は、楽しい村民運動会でもあり、ファシストに抵抗する庶民たちの素朴なパルチザン闘争でもあったのでした。

今この時にも、人間の尊厳のために権力と闘っている民衆が世界各地にいる、
しかし翻弄をされながらも、命とプライドを守る人々の、なんだろう、あの不思議な明るさといったものは。

・ガンジーは塩の行進、
・公民権運動ではバスボイコット、
成田や辺野古での座り込み、
福島では希望の牧場の運動、etc.

ドイツ軍を迎える町民の無言のシーンが好き。あの顔顔顔・・。人間の顔から伝わってくる民草の命というもの。
丸木位里・俊の大作「焼津」のようだ。人間存在の輝きとその尊厳性が、人が立っているだけで言葉無しに迫ってくる、実にいいシーンだ。

ボンボリーニは、行動を起こす前に、勝利の先取りの感謝をば笑顔で神に捧げた・・
必ずいつかは勝利する we shall overcome ! と信じる民衆の、粘り勝ちの記録だ。
愚か者の勝利なのだ。

・・・・・・・・・・・・

初DVD化です♪
名優アンソニー・クインの主演でありながら、ずっとテレビサイズのVHSしか存在しなかった珠玉の作品。
横長の画面でついに復活です。

ニュースを知り、Amazonに予約をして、ようやく30年待ったDVDを手に入れました。

思えばこの僕が、ワインの工場に勤めることになった時 (30年まえ)、父がこの映画を薦めてくれたのです。
そこから更に遡ること遥かむかし、父が若い頃に映画館で観て、記憶に刻まれたのだという本作品。
ネットも携帯電話も無かった30年前に、父が映画評論家に手紙を書いてくれて、どうしても思い出せなかったという本作の「題名」を、息子=僕のために突き止めてくれた、
― そういう映画なのです。

映画好きの父の想いを、永い年月を経て、あのワインの瓶のようにこの掌に手渡ししてもらえたような気分です。
父に感謝。幸せな鑑賞後感です。

村人の勝利の美酒はCINZANOですね
ビバ!ボンボリーノ!
パパ、サルーテ!

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きりん
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