さらば愛しき女よ

劇場公開日:

解説

謎の女を追って、気だるく澱んだロスの街を徘徊する私立探偵フィリップ・マーロウの行動を描く。製作総指揮はエリオット・カストナーとジェリー・ビック、製作はジョージ・パパスとジェリー・ブラックハイマー、監督は「ブルージーンズ ジャーニー」のディック・リチャーズ。レイモンド・チャンドラーの原作をデイビッド・Z・グッドマンが脚本化。撮影はジョン・A・アロンゾ、音楽はデイビッド・シャイアが各々担当。出演はロバート・ミッチャム、シャーロット・ランプリング、ジョン・アイアランド、シルビア・マイルズ、アンソニー・ザーブ、ハリー・ディーン・スタントン、ジャック・オハローラン、ジョー・スピネルなど。

1975年製作/アメリカ
原題:Farewell My Lovely
配給:ユナイト映画
劇場公開日:1976年6月12日

ストーリー

ロサンゼルス、1941年。ヤンキースのディマジオが56試合連続安打と記録をのばし、ヒトラーがロシアに進攻を開始、砂糖1ポンドが6セントに高騰していた頃……。今や警察に追われる身となった私立探偵フィリップ・マーロウ(ロバート・ミッチャム)は、安宿の一室から電話で、ロス市警のナルティ警部補(ジル・アイアランド)に7つもの仏がとび出した今日の事件の経過を説明していた。--ある日、雲をつくような大男ムース・マロイ(ジャック・オハローラン)から、ベルという女を捜し出すことを依頼された。マロイは7年前、恋人ベルマ・バレントと銀行強盗のヤマを踏み、たった今、刑務所から出てきたところだという。そのとき突然通りの車から2人めがけて拳銃が乱射された。しかしマロイは顔色ひとつ変えない。そんな彼に興味をひかれたマーロウは、依頼を引き受けた。その昔、ベルマが歌手としてつとめていた『フロリアンの店』を訪ねた2人は、第1の殺人に出っくわす。黒人バーテンを尋問したマロイが力あまって締め殺してしまったのだ。マーロウは情報屋のジョージーを連絡場所として、マロイを逃がした。マーロウはかつてフロリアンの店でバンドマンをやっていたトミー・レイの口から、フロリアンの持主で未亡人のジェシー(サラ・マイルズ)の家を訪ねたが何の手がかりも得られなかった。オフィスに戻ったマーロウを、遊び人風の男リンゼイ・マリオが待っていた。ある重要人物が盗まれた宝石の回収現場に立ち合ってほしいという。マーロウはキナ臭いものを感じたが、仕事がないよりはましだった。夜、取引相手を待つマーロウは突然何者かに後頭部を殴られ気絶した。気がついたとき、傍にマリオの血まみれの死体が転がっていた。宝石の線から、コレクターとして知られる市の実力者ロックリッジ・グレイルの邸宅を訪ねたマーロウは、悩ましい曲線で迫るグレイルの若妻ヘレン(シャーロット・ランプリング)と出逢い、その美しさに眼をみはる。彼女がマーロウに依頼したのは宝石のことではなく、ボーイフレンドだったマリオを殺した犯人を挙げることだった。マロイからの連絡を期待しながらオフィスへ戻ったマーロウを3人の暴漢が襲った。気がついたところは女郎屋アムサーの店だった。羽がいじめされたマーロウに、マロイの居所を白状させようと迫る怪女アムサー。監禁されたマーロウは、そこにトミー・レイの惨殺死体を見つけた。マーロウはふらつく意識をおして脱出を試みた。そのとき、アムサーが内輪のトラブルであっけなく死んだ。ジョージーの家で休息していたマーロウのところにグレイル夫人からパーティ招待の呼び出し電話がかかった。出席したマーロウに、暗黒街の顔役レアード・ブルネット(アンソニー・ザーブ)からマロイに会いたいと話が持ちかけられた。数日後、ジェシーから連絡が入った。ベルマがマロイに会いたいという。約束した場所へ乗り込んだマーロウとマロイに殺し屋たちの機関銃の乱射が浴びせられた。辛くも危機を脱した2人。それから間もなくジェシー・フロリアンも殺された。事件のカギがブルネットのトバク船にあると推理したマーロウは、マロイと乗り込むことにした。ナルティ警部補もその後を追った。激しい銃撃戦の末、ブルネットの船室に乱入した2人は、そこにヘレン・グレイルの姿をみた。「ベルマ…!」思わずつぶやくマロイ。グレイル夫人こそ、マロイが6年間も獄中で想い続けた可愛い女だった。素性の卑しい女が玉の輿に乗った。一時、愛を語らい、共に犯罪を犯した相棒が出所して自分を捜し始めたとき、女は自らの過去を知る関係者たちを次々消さなければならなかった。ヘレンと、彼女を利用して立身を計るブルネットこそ真の犯人だった。突如、グレイル夫人がマーロウを消すようにマロイをけしかけた。操られるようにマロイが近づいた時、その背後で銃弾が炸裂した。ナルティだった。マロイが倒れたせつな、マーロウの拳銃が火を吹きグレイル夫人の胸を血に染めた。

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映画レビュー

3.0フィリップ・マーロウ

2022年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ヤンキースのディマジオが打てばいいのさ、ふっ。連続試合安打は難しいんだよな・・・プレッシャーがかかるし。事件よりもディマジオの記録の方が大事なのさ。

 ムース・マロイという出所した男もよくわからない。もう、わからない人物だらけの中で新たに殺人が起こる。雰囲気と台詞だけで楽しむべきチャンドラーの世界だ。

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kossy

3.5「悪女もの」大好きな私としてはどうしても外せない一作。

2022年4月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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もーさん

3.5マーロウを味のある演技で魅せるロバート・ミッチャムのムード優先のハードボイルド

2022年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

レイモンド・チャンドラーは、ハードボイルド推理小説の代表的作家と称され長編の殆どが映画化されているという。『Farewell、My Lovely』を原作とする3度目のこのディック・リチャーズ作品は、主演のロバート・ミッチャムの魅力が溢れて、気だるさの中に独特な雰囲気を醸し出して成功していると思う。演技派でもなく、特に個性が際立つ俳優ではないが、スリーピング・アイと呼ばれる特徴を持つこのベテラン俳優のキャリアの裏打ちがあって、このフィリップ・マーロウは存在感があり良かった。ただ、監督のリチャーズの演出にはムード優先の切れ味不足があるのは否めない。人物を含めた被写体を殆ど中間距離で撮影するカメラアングルが多く、映画的な広がりも弱く、当たり障りのないカメラワークと言えるだろう。それが、過去を消し去ろうとする悲劇の悪女ヘレンを好演したシャーロット・ランプリングの魅力を全開にしていないところが、心残りだった。この女の哀れさがもっと表現されていたら、これは傑作になっていたはず。
謎の女を探す探偵マーロウが遭遇する連続殺人事件に絡んで描かれた、男の哀愁と女の非情さが、40年代のロサンゼルスを舞台にした映画の中で漂う魅力ある佳作ではあった。

  1977年 3月13日  池袋文芸坐

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Gustav

2.0ありがちで退屈な内容が延々と続くだけ

私立探偵の話。ありがちで退屈な内容が延々と続くだけ。つまらない。

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