さよなら子供たち

劇場公開日:

解説

ナチス占領下のフランスのカトリック寄宿舎で生活する少年たちの心の交流を、製作・監督・脚本を担当した「アラモ・ベイ」のルイ・マルの強い自伝的要素のもとで描いてゆく。撮影は「デジャヴュ」のレナート・ベルタが担当。音楽はシューベルトとカミーユ・サン・サーンスのクラシックを使用。出演はガスパール・マネッス、ラファエル・フェジト、フランシーヌ・ラセットほか。

1988年製作/103分/フランス・西ドイツ合作
原題:Au Revoir Les Enfants
配給:シネセゾン
劇場公開日:1988年12月17日

ストーリー

一九四四年、ナチス占領時代のフランス。パリから離れカトリックの寄宿学校で疎開している12歳のジュリアン・カンタン(ガスパール・マネッス)は、クリスマス休暇を終え駅で母(フランシーヌ・ラセット)との別れを惜しんだ後学校に戻り、そこで同級に入った転入生ジャン・ボネ(ラファエル・フェジト)と出会う。しかしジュリアンには彼の打ち解けない様子が気にかかる。というのもジャンの父は捕虜、そして母は非占領地域で3ヵ月もの間、音信不通が続いていたからである。やがて二人は、森での宝探しのハプニングで連帯感を増してゆくが、時にジュリアンのユダヤ人をからかう言動に喧嘩になってしまうこともあった。父母参観の日、ジュリアンは母や兄との食事の席にジャンを招待する。彼はユダヤ人に偏見はない、と語るジュリアンの母に好感を抱く。しかし、次第に親愛の情を深めてゆくジュリアンとジャンの幸せな日々もそう長くは続かなかった。ある日、闇屋との件がばれ学校から解雇された料理番のジョセフ(フランソワ・ネグレ)のゲシュタポへの密告により、ジャンを含む三人のユダヤ人生徒がミュラー(ペーター・フィッツ)率いる一団によって発見されたのである。学校は閉鎖され、少年たちを匿った罪で逮捕されてゆく校長のジャン神父(フィリップ・モリエ・ジェヌー)に生徒たちは口々に言葉をかける。「神父さん、さよなら」振り返ったジャン神父が応える。「さよなら子供たち、また会おう」。しかしジュリアンたちは二度と彼らの姿を目にすることはなかった。三人の少年はアウシュビッツで、ジャン神父はマウトハウゼンで死んでしまった。それから40年以上の月日が流れた。しかしジュリアンの心には、今もあの朝の出来事が息づいている。そしてそれは、生涯忘れることはないであろう。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第60回 アカデミー賞(1988年)

ノミネート

脚本賞 ルイ・マル
外国語映画賞  

第45回 ゴールデングローブ賞(1988年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  
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映画レビュー

4.5ルイ・マル畢生の”記憶映画”

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館

「死刑台のエレベーター」「鬼火」「ルシアンの青春」と共にルイ・マル映画を代表する名作。クストーの海洋記録映画「沈黙の世界」でデビューしたルイ・マルの演出スタイルは、記録映画手法の即物的な視点が勝るもので、多様性のある題材の特異さに対して、とてもオーソドックスなものです。この自伝的な作品も、劇的な演出を避けて冷静に淡々と子供時代に経験した”忘れられない記憶”を描いています。西ヨーロッパの、特にナチス・ドイツの戦争被害を受け国家的にも個人の生活としても多大な影響を体感したフランス、ベルギー、オランダの映画を僅かながら鑑賞した個人的印象は、第二次世界大戦の記憶を消して忘れない執拗さです。それは、戦後の繁栄を享受し平和に浸る日本とは違います。恋愛映画やいろんな娯楽映画で、映画を楽しみ、映画で遊ぶルイ・マルが、「ルシアンの青春」で一つ上の世代を描き、そしてここで個人的な告白をする。それまでの30年の映画監督のキャリアを通して、今伝えておきたいことを切実に。映画が表現すべきものは何か、真実を伝達する映画の使命に答えた、”映画”に映画を捧げるルイ・マルの偽りのない心象がヒシヒシと感じられます。これは劇映画の形を借りたルイ・マル畢生の”記憶映画”と云えるでしょう。

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Gustav

3.5いろんな事を考えさせられる

2015年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

知的

難しい

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みきねこ

3.5変化は突然やってきた

2013年3月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 65
演出: 70
ビジュアル: 75
音楽: 25

 淡々と寄宿学校での日常を描き続けられるが、とにかく話が前に進まない。演出には純文学的な瑞々しさはあるものの、授業や遊びといった普段の生活の風景が延々と登場したところでそれがどうしたというのか。全体としてはかなり退屈した。
 そして戦争状態とはいえど比較的平和だった田舎の学校に突然にやってくる激動。前振りはあったとはいえそれまで静であったのに、いきなりの展開であったからこそ衝撃だった。何もかもが変わってしまって、まさに主人公には一生忘れることが出来ないものになった。最初から感じていた退屈さを最後の20分で一気に吹き飛ばして、総合としてはそれなりの点数。

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Cape God
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