劇場公開日 1991年3月9日

「落日のマイケル」ゴッドファーザーPARTIII Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5落日のマイケル

2017年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合85点 ( ストーリー:80点|キャスト:90点|演出:85点|ビジュアル:75点|音楽:80点 )

 相変わらずの重厚な出来映え。マイケルは組織と家族のために冷徹に何でもする首領から、年老いてPARTIIまででは出来なかった組織の合法化を進め、調和を志向するようになった。前作までで見られたような激しさは影を潜め、家族のために比較的静かな生活をおくる。しかし過去の柵もありそれを周りが許してくれない。そんな彼の晩年の様子は前作までの凄みが弱くなったし、作品の魅力をやや削ぐ形となった。実際、相手を常に都合よく良いように理解しようとして失態を重ねる。あの厳しい姿勢はどこにいったのか。
 反面、妹コニーが感情的で自堕落な女から完全に姿を変えて、すっかりマイケルと組織を支える立派な側近になっていたことと、甥のヴィンセントは父のソニーそっくりの短気で直情的だったのに、短期間であっという間に冷静に変わったのは少し驚く。何かと批判されるメアリー役のソフィア・コッポラは最初に観たときにはあまり好きではなかったのだが、今観てみると犯罪組織と縁の薄い普通のいい娘な役割をこなしていてけっこう気に入った。

 終盤を飾る長い歌劇の場面には質の高さを感じた一方で、何が起きているのか曖昧で分り辛いうえに冗長にも感じた。また物語にバチカンの腐敗の話が入ってきて焦点がぼけたようにも思う。

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Cape God