劇場公開日 1990年8月4日

「深刻になりそうなのにお気楽な家族模様」五月のミル Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0深刻になりそうなのにお気楽な家族模様

2013年3月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

難しい

総合:55点
ストーリー:50
キャスト:65
演出:65
ビジュアル:70
音楽:70

 フランスの田舎町の御屋敷に住む母親が死んで、家族が集まって人間模様が展開される。不動産などを処分して遺産を分けたいものたちと、彼らに分け与える代わりの資産もないくせに屋敷に住み続けたがる長男ミルがいて、問題は解決しそうもない。では遺産相続が主題かというとそうでもなくて、当時起きていた政情の問題などが絡んでくるしいきなり性的な話が出てくるしみんなで食事をしたりピクニックに行ったりと、やっていることにとりとめがない。日常をひたすら描写されるけれど、何を描きたいのかいま一つわからない。この時代ならではの社会の流行や話題というものもあるのだろう。
 見終わった後に思ったことが「何それ、どうなったのかもはっきりしないまま、これでもう終わりですか」ということ。不安定な社会でちょっとどたばたした家庭の数日が描かれただけ。最後に書類に署名をしていた人たちの場面があっても、いったい何の契約が結ばれたのかもわからないまま。母親がいなくなり使用人も結婚し家族も元の生活に戻っていって、一人残されたミルはどうなるのだろうか。はっきりとした物語の流れではなくて、社会の主流から離れた世間知らずなお気楽な上流社会の人間関係の描写を軽く楽しむ作品なのかもしれない。でもそれはあまり面白いとは思わなかった。

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Cape God