劇場公開日 1955年11月22日

「衝撃」生きものの記録 えらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5衝撃

2014年10月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

黒澤作品のDVDに入ってる五分で全作品を一通り紹介する映像、あれを見て一番気になっていたのがこの作品でした。見終わった後の衝撃度は黒澤作品随一でしょう。問題作と形容するのが相応しい。

見る前は三船が科学者が何かの役なのかなどと安直な想像をしていましたが、そこはさすが。志村喬演じる家庭裁判所の調停委員(今の裁判員みたいなものなのでしょうか)を置くことで第三者のフラットな視点から問題を見ることができます。当時35歳の三船が演じた70の老人が徐々に狂っていく様がおぞましい。しかしラストシーンで我々は「おかしいのは自分たちなのでは?」と思わざるを得ない作りになっている。これは志村のキャラがなければ成り立たなかったでしょう。見た後に観客がしばらくこの映画のこと、ひいては水爆及び放射能の問題について考えさせるためにあのような印象的なラストシーンにしたのでしょう。興行面では失敗してしまったそうですが、見た人の中には必ずや残り続ける作品であると思います。3.11以前に見ていた人たちが羨ましい!

えら