クリスタル殺人事件

劇場公開日:

解説

ロンドン郊外の静かな町を舞台に起こった殺人事件をアガサ・クリスティがポアロ探偵と共に創造したミス・ジューン・マープルが解くサスペンス映画。製作はジョン・ブラボーンとリチャード・グッドウィン、監督は『007/黄金銃を持つ男』のガイ・ハミルトン。クリスティの原作(『鏡は横にひび割れて』/早川書房刊)を基にジョナサン・ホールズとバリー・サンドラーが脚色。撮影はクリストファー・チャリス、音楽はジョン・キャメロン、製作デザインはマイケル・ストリンジャー、衣装はフィリス・ダルトンが各々担当。出演はアンジェラ・ランズベリー、ジェラルディン・チャップリン、トニー・カーティス、エドワード・フォックス、ロック・ハドソン、キム・ノヴァク、エリザベス・テイラー、ウェンディ・モーガン、モーリン・ベネットなど。

1980年製作/105分/アメリカ
原題:The Mirror Crack'd
配給:東宝東和
劇場公開日:1981年7月4日

ストーリー

教会で上映されていた探偵映画がクライマックスを迎えた時、機械の故障で画面がとぎれた。この時、一人の老婦人が席を立ち、犯人はわかったからこれ以上見る必要はない、と犯人をズバリ指摘して出て行った。この老婦人ミス・ジェーン・マーブル(アンジェラ・ランズベリー)は、このロンドンの郊外の町セント・メアリー・ミードに住む推理好きで有名な人気者だ。この町では今、映画『スコットランドの女王メアリー』の撮影が行なわれており、久しくスクリーンを遠ざかっていた往年のスター、マリーナ・クレッグ(エリザベス・テイラー)が主演のため、夫で監督のジェースン・ラッド(ロック・ハドソン)と共に長期滞在を予定している。町中あげての歓迎パーティでホステスを勧めるマリーナのもとに様々な人々がやってくる。婦人会のヘザー・バブコック(モーリン・ベネット)もそんな一人だ。彼女は、昔からのマリーナのファンで以前一度会ったことがある、ということなどを、一方的にしゃべりまくった。ちょうど、そのころ、製作者マーティ(トニー・カーティス)と共に主演女優でライバルのローラ(キム・ノヴァック)が到着し、マリーナのいる二階に姿を現した。彼女を見て一瞬顔をこわばらせるマリーナ。その直後、ヘザーが死んだ。彼女の死はたちまち町中にひろがり、チェリー(ウェンディ・モーガン)の口を通じてミス・マーブルの耳にもとどいた。チェリーは、パーティの手伝いに行っていて、会場の様子を詳しく知っていたのだ。やがて事件解明のためスコットランド・ヤードの警部でマーブルの甥のクラドック(エドワード・フォックス)が派遣され、ヘザーの死がカクテルに盛られた毒物によるものであることをマーブルに知らせにくる。しかも、そのカクテルは、マリーナが飲む予定だったものだ。捜査が難行しているころ撮影現場ではマリーナとローラが火花を散らせていた。やがて秘書エラ(ジェラルディン・チャップリン)が用意したマリーナのコーヒーから再び毒物が発見された。その件で容疑が深まったエラが、常用していた鼻炎用の吸入器に仕込まれた毒で殺された。テリーが語った、マリーナの表情が、一瞬氷のように変化した、という言葉を考え続けていたマーブルは、その時ヘザーがマリーナに何を語ったのかを調べた。その内容はヘザーがマリーナの舞台を見て感激し舞台裏で彼女に思わずキスしてしまったというものだった。そしてマーブルは神父が語っていたある言葉を思い出した。ヘザーがその時風疹にかかっていたという事実だ。マリーナは、妊娠中の風疹が原因で障害児を産んでいる。その時ヘザーが移した風疹が原因だとしたら…。マーブルがマリーナの滞在している館に着いた直後のクラドックもやって来た。なぜかマリーナに会わせようとしないジェースン。マリーナを愛する彼は全てをしっていたのだ。そして事件を解いてみせるマーブルに、彼はマリーナの名誉を守るため昨夜チョコレートの中に毒を入れ彼女を永遠の眠りにつかせたと告白した。マリーナの部屋に入った3人は、しかし、そのチョコレートを飲まず、自ら毒を飲んで死んでいったマリーナの最後の姿を見出すのであった。

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映画レビュー

4.0聖母子像・・・

2023年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アガサ・クリスティ原作

「鏡は横にひび割れて」の映画化

監督は、007シリーズの
ガイ・ハミルトン

クリスティファンと言う事で
何度か観ていますが

年齢と共に
価値観の変化もあるので
今回、CS放送で
改めて鑑賞できて良かったです。

本作では、
ミス・マープルが
事件の謎を解明する。

往年の大女優役には
「クレオパトラ」
「いそしぎ」の

エリザベス・テイラー
貫禄の美しさですね。

「めまい」で有名な
キム・ノヴァクとの
女優同士のけなし合いも
凄かったけれど・・・

改めて観ると
豪華キャスト陣にびっくりです。

秘書役の
ジェラルディン・チャップリンの
存在も 今回 再発見でした。
「ドクトル・ジバゴ」他
「悲しみは星影とともに」等
悲しい作品に出演されていて

レビューしていませんが
その存在感が印象的です。

チャップリンさんの娘さんですものね。

そして、私には、
「ジェシカおばさんの事件簿」の

アンジェラ・ランズベリー
「ナイル殺人事件」にも
出演されていましたが

今回は、マープル役で登場が嬉しい。
アンジェラさんを偲びながら
鑑賞できたことにも感謝です。

マープルの甥の
警部役が、映画通というのも
面白い設定でした。

エリザベス・テイラー演じる
大女優、マリーナが
警部の質問に
映画の台詞で答えるシーンがあり
最初、警部がマリーナに
映画は観ませんと言いながら
そのセリフは、あの作品ですねと
答えると、マリーナが
大笑いするシーンが印象的。

そして、
昔、慰問先で出会ったと
ファンから話を聞くマリーナが
壁に掛けられた
ベッリーニの「聖母子像」を
凝視する目の演技も迫力ありです。

教訓、感染者は
出歩いてはいけません。

風疹は、今でも
妊婦にとって悪影響を与えるのですから

コロナ禍を体験した
この時代、大切な人を辛い目に
合わせないよう
生きてゆきたいですね。

マリーナを愛で見守る夫役の
ロック・ハドソンが贈る
一輪の「黄色いバラ」

マリーナの最期を飾るラストが
悲しすぎます。

「殺人事件は、ジグソー・パズル」

「最後のピースをはめる迄全容が見えない」

ミス・マープル

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LaLa

3.5大女優を演じる大女優

2023年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

往年の大女優を配役した映画のパーティで発生した殺人事件の謎を追う、安楽椅子探偵の活躍を描く物語。

以前一度鑑賞済みなのですが、改めて鑑賞。
改めての鑑賞理由は、大女優を演じたエリザベス・テイラーの存在感。もっと具体的に言えば、冒頭のパーティシーンで茫然自失した・・・その表情に魅せられたからです。身体から心が失われた・・・そんな能面のような表情をエリザベス・テイラーが見事に演じていて、そのシーンがとても印象に残っています。

物語としては、とても良くまとまっています。サスペンスとしても、その動機は思いもよらぬもので意外性もあります。

ただ、「安楽椅子探偵」を軸とした展開は、「簡単に事件が解決した」を見せられているようで、今一つ乗り切れなさを感じてしまいます。

私的評価は普通にしました。

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共感した! 1件)
よし

2.5初めてミス・マープルに触れる

2023年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 アガサ・クリスティと名前を聞いて、まず何を思い浮かべるでしょう?「オリエント急行殺人事件」「ナイル川に死す」「ABC殺人事件」・・・。あまりミステリー作品に触れない自分はここら辺しか思い浮かべませんが、よくよく考えれば探偵ポアロの作品ばかり。ある日テレビ欄を見てミス・マープルの名前を見つけた時、「そういやアガサ・クリスティにはマープルもいたなぁ」「でも見たことなかったなぁ」と言う感じで、これを機に触れてみた次第です。

 ただ、観ようと思ったのはそれだけではない。キャストにエリザベス・テイラーとキム・ノヴァク、主演はなんとアンジェラ・ランズベリーと大御所ばかりやないですか!この豪華さ、これは心惹かれる。しかし実際に観て素晴らしいと思ったのは、

 エドワード・フォックスの佇まいと落ち着き。

 警視総監でミス・マープルの甥にあたるダンディズムな役どころを、まさにイギリス紳士の落ち着きを纏って演じている。いつみても素敵な感じを醸す姿に感服してしまいました。3人の大御所には隠れる立ち位置でしょうが、この映画では個人的にこの男が映画を引き締めたと言って過言ではないと思います。

 さて、肝心のミス・マープルの推理とはなんぞや。と見てみると結構不思議。事件の現場にはマープルはおらず、それを見てきた人の話を聞いて推理していく手法みたいなんです。もちろん最後には現場に足を運ぶのですが、ただ人の話を聞くだけで犯人を突き止めていくなんて、このばあさん恐るべし。

 全体的には飽きることなく観れたので良かったと思います。冒頭のシーンには少しびっくりしましたが(笑)。ミステリーのジャンルながら、一味変わった作品を味わうのも、たまには悪くないですね。

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asukari-y

0.5元祖火曜サスペンス劇○!

2023年2月20日
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マサシ
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