グッバイガール

劇場公開日:

解説

ニューヨークを舞台に、男に裏切られた子持ちの元ダンサーと、俳優志願の男が反撥しながらも互いに惹かれ合いながら結ばれていく姿を描くロマンチック・コメディ。製作はレイ・スターク、共同製作はロジャー・M・ロススタイン、監督は「愛と喝采の日々」のハーバート・ロス、助監督はジャック・ロイ、脚本は「名探偵再登場」のニール・サイモン、撮影はデビッド・M・ウォルシュ、音楽はデーブ・グルーシン、編集はマーガレット・ブース、衣裳はアン・ロス、特殊効果はアルバート・グリスワールドが各々担当。出演はこの演技で77年アカデミー主演男優賞を受賞したリチャード・ドレイファス、N・サイモン夫人のマーシャ・メイソン、クイン・カミングス、ポール・ベネディクト、バーバラ・ローデス、テレサ・メリット、マリリン・ソコルなど。

1977年製作/アメリカ
原題:The Goodbye Girl
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1978年10月28日

ストーリー

ニューヨークの78番街。娘のルーシー(クイン・カミングス)と買い物から帰って来たポーラ(マーシャ・メイソン)は、愛人のトニーの置き手紙を見つける。俳優であるトニーの映画出演のために、ハリウッドに3人で行けると喜んでいた矢先のことだ。手紙に他の映画出演のためにイタリアに行くとだけ書き残し去ってしまったのだ。あまりの事態の急変に涙にくれるポーラ。ルーシーの父親も俳優だった。みんな、いい役がつくととたんにグッバイなのだ。ルーシーのためにも、また働かなくてはならなくなったポーラは再びダンサーに戻るより他はない。陰気に雨が降りしきる夜、トニーから部屋を譲り受けたというエリオット(リチャード・ドレイファス)という男が現われ、強引に部屋に入り、話し合いを要求する。形勢不利と悟ったポーラはしぶしぶエリオットの提案を受け入れ、ルーシーの部屋を明け渡す。この同居人は真夜中にギターを弾き、明け方には読経を始めるという風変わりな男で、はやくもポーラ母娘を困らせる。しかし、希望に燃えてニューヨーク生活の第一歩を踏み出したエリオットだったが、彼主演の「リチャード三世」の解釈で演出家と対立し、思うように演じることができない。一方、ポーラもコーラス・ガールのオーディションに失敗する。数日後、2人はスーパーマーケットで、バッタリ顔を合わせ、共同で買い物をすることになる。買い物を済ませた直後、ポーラは全財産をひったくりに取られてしまう。その後、3人でのはじめての食事の際、エリオットはルーシーのためだと言ってお金をおいて、席を立った。数日後、ポーラは、やっとモーター・ショーのコンパニオンの職にありつき、エリオットは「リチャード三世」の初日を迎える。しかし、芝居は酷評され、初日で打ち切られてしまう。失業したエリオットは安キャバレーの用心棒になるが、酔客になぐられクビになる始末。傷の手当てをしながら、ポーラはエリオットに惹かれていく自分に気がつく。翌日の夜、ポーラが帰ってみると、エリオットは屋上に野外レストランを作ってポーラを待っていた。そんな彼の真剣さにポーラの心のガードは崩れ、その夜、エリオットの部屋で夜を明かす。もともとエリオットが好きだったルーシーも彼を受け入れ楽しい3人の生活が始まる。だがある日、ポーラが家に帰ると、旅行支度のエリオットが、有名監督の抜擢で映画に出ることになったとポーラに告げる。必ず帰ってくるというエリオットの言葉も、ポーラにはうつろに聞こえる。激しい雨の降るその夜、ぼんやり起きていたポーラの耳に電話のベルが鳴りひびく。エリオットからの電話だ。下の電話ボックスにいるから、すぐに支度をして降りてこいというのだ。彼女の心に喜びが大きくふくらむ。彼のその気持ちだけで十分だった。ポーラにとって初めて、心から信じきれる恋だった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第2回 日本アカデミー賞(1979年)

ノミネート

外国作品賞  

第35回 ゴールデングローブ賞(1978年)

受賞

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) リチャード・ドレイファス
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) マーシャ・メイソン
最優秀脚本賞 ニール・サイモン

ノミネート

最優秀助演女優賞 クィン・カミングス
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映画レビュー

4.0ニール・サイモンの脚本が生かされた、オフ・ブロードウェイの楽しいコメディ映画

2022年1月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

久し振りに楽しいアメリカ映画を満喫した。軽快明瞭なるお話の展開と、登場人物のユニークな個性が、単純ではあるが明るく健康的に描かれていて実に好感が持てる。これは、主演のリチャード・ドレイファスとマーシャ・メイスンの役柄を考えて脚本を仕上げたニール・サイモンの手腕が大きい。また、「愛と喝采の日々」で堅実な展開を見せたハーバート・ロス監督のリラックスした演出タッチもいい。その為に、ドレイファスの演技は、真面目ながらツキが無い俳優エリオットの哀切たる心情を笑いで吹き飛ばす。これは、彼にとって最良の演技になるであろう。マーシャ・メイスンも、愛人に結局は棄てられる不運な女性ポーラを深刻ぶらず、あっさり演じ切っている。彼女の最高作「シンデレラ・リバティー」の酒場の女のリアリティーには及ばないものの、技量に裏打ちされた安定の演技力を見せてくれる。そこに娘ルーシーの存在が異色で、アメリカ社会における子供の在り方が加えられ、単に大人の男と女の関係で終わらないドラマになっているのが良かった。それが上手く描かれている場面が、二人の大人の関係を知って気がふさぐルーシーを学校まで迎えに行くシーン。唐突ながらクラシックな馬車に乗せるアイデアが面白い。このサプライズによりエリオットが家族の一員に認められる切っ掛けになる。個人主義のアメリカ社会にみる、ひとりの人間として子供も扱うところが良く表現されていると思う。
お話は、舞台劇にもなるストーリーと展開。エリオットとポーラが最初に出会うところと、二人が結ばれるところ、そして再び愛を確かめ合うところで、丁度雷が鳴って雨が降る。音と情景の変化を二人の心理と対比させる演劇的な演出が施されていた。
それにしても、ドレイファスがゲイのリチャード3世を演じるオフ・ブロードウェイの舞台裏はケッサクだった。偏執的でマザコンの演出家の解釈が笑わせる。続くエリオットがポーラの前で映画出演を断る芝居のリアクションがまた巧い。脚本家と演出家と俳優が噛み合った名人芸である。
兎に角楽しい映画だった。劇中でエリオットはポーラに、どうせ映画に出るんだったらアカデミー賞を取ってねとエールを送られるが、そう言われてドレイファスがこの作品で本当に受賞したのは、これが初めてかも知れない。上手く決着が付いたハッピーエンドのロマンティックコメディのアメリカ映画。

  1978年 11月23日  丸の内ピカデリー

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Gustav

3.5スノッブの世界

2021年8月24日
スマートフォンから投稿

こっちで言えば太一君か倉本君みたようなウルトラ脚本家の作品ですから、たたみかけるような会話の応酬です。それに応えるドレ君の演技も見ものです。娘がメチャいいです。ラストの盛り上がりは演出の手柄、泣きそうです。

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越後屋

4.0良質映画

2020年6月24日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 恋人(内縁の夫?)トニーはイタリアの映画監督ロベルト・ベニーニに見込まれて映画俳優の道へ・・・もうベニーニが活躍してたのか。

 『欲望という名の電車』はかなり浸透しているようで、その他映画のタイトルもどんどん出てくる。娘ルーシーもオタクっぽいほどよく知っている。エリオットは「リチャード三世」の主役で頑張っているのだが、実はゲイだったという監督の言いなりになって観客・批評家から総すかんを食らう。

 最初にアパートに訪れてきたときの公衆電話がラストに活かされ、脚本の良さが光る。ありきたりのラブコメディをここまで昇華できることにも驚きだ。

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kossy

2.0うーん

2013年8月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

良くも悪くも70年代のアメリカを反映した作品。
三十路で子持ちで男運が悪く、未だに女優を目指しているという子供のような主人公ポーラ(マーシャ・メイソン)のサクセスストーリーと思いきや・・・
突然転がり込んできた売れない俳優エリオット(リチャード・ドレイファス)の演技がアル・パチーノを意識してるような感じでイマイチ(作品の中でもエリオットが自らをアル・パチーノと例える場面もある)この演技でアカデミー主演男優賞が獲れたのが不思議である。

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可門 誠
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