カラーパープル(1985)

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

スティーブン・スピルバーグ監督が、ピューリッツァー賞を受賞したアリス・ウォーカーの同名小説を実写映画化し、過酷な人生を歩む黒人姉妹の深い絆を壮大なスケールで描いたヒューマンドラマ。1909年、ジョージア州の小さな町で、まだ幼さの残る少女セリーが出産する。彼女にとって、美しく賢い妹ネッティだけが心の支えだった。その後、ミスターと呼ばれる横暴な男のもとへ嫁いだセリーは、奴隷のような扱いを受けるつらい日々を過ごす。ある日、ミスターが愛人の歌手シャグを家に連れ帰る。自立の精神を持つシャグとの出会いを通し、ようやく明るい未来を予感するセリーだったが……。ウーピー・ゴールドバーグの映画デビュー作。1986年・第58回アカデミー賞で10部門にノミネートされたが無冠に終わった。

1985年製作/154分/アメリカ
原題:The Color Purple
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1986年9月13日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第10回 日本アカデミー賞(1987年)

ノミネート

外国作品賞  

第58回 アカデミー賞(1986年)

ノミネート

作品賞  
主演女優賞 ウーピー・ゴールドバーグ
助演女優賞 マーガレット・エイブリー
助演女優賞 オプラ・ウィンフリー
脚色賞 メノ・メイエス
撮影賞 アレン・ダビュー
作曲賞 クインシー・ジョーンズほか
衣装デザイン賞 アギー・ゲイラード・ロジャース
美術賞  
メイクアップ賞  
主題歌賞

第43回 ゴールデングローブ賞(1986年)

受賞

最優秀主演女優賞(ドラマ) ウーピー・ゴールドバーグ

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀助演女優賞 オプラ・ウィンフリー
最優秀監督賞 スティーブン・スピルバーグ
最優秀作曲賞 クインシー・ジョーンズ
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映画レビュー

4.5見れば観るほど味が出るスルメ映画

2024年2月13日
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たっつん P子

3.0エンターテインメントの巨匠が挑んだ至極の人間ドラマ

2024年2月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ミュージカル版の新作鑑賞に向けて復習
高校生の時に劇場で観た初公開時以来、2度目の鑑賞

予想外に古さを感じず入り込めました
特に前半はエグい内容や描写がありますが、全般としてはこのテーマにしては見易い方だと思います

スティーブン・スピルバーグ監督ならではの優しい視点やユーモア描写もあるし、悲惨や残酷な方に振りきっていない作品づくりなので、多くの人に観てもらって、遡ること17世紀頃か始まり今でも実は根強く残る黒人差別や虐待の歴史を知ってもらいたいと思います

作品自体、アクションアドベンチャーやSFファンタジーもので名を馳せた監督が撮ったと思えない完成度の高い重厚な歴史劇の風格を備えた傑作であり、堂々ハリウッド映画史に残るべき不朽の名作だと思います

「ジョーズ」や「E・T」をはじめ数々の作品をハリウッド映画史に残すスティーブン・スピルバーグ監督が当時‘’本当に撮りたいのは人間ドラマ‘’として挑戦した作品で、第58回(1986)アカデミー賞の主要11部門にノミネートされるも、こんなに素晴らしい作品なのに1部門も受賞しなかったという曰く付きの作品

ヒットメーカーが次は賞レースを取りに来たか 、絶対にとらせてなるものか、と明らかに嫉妬や妬みがはたらいた結果と囁かれたのをよく覚えてますし、その時オスカーは決して本当に良い作品が選ばれるわけではないことを学びました

本テーマについては、40年近い前の作品なのに現代でも充分通じ、むしろ今の時代の方が多くの人々に受け入れられる土壌ができているであろうという状況なので、今こそ是非多くの人々に観てもらいたい作品だと思います

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Jett

4.5【幼き頃からキツイ人生を送って来た褐色人種の姉妹の半生を描いた作品。所詮、男なんて虚勢を張っていても女性が居なければ何もできない生き物なんです・・。】

2024年2月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

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NOBU

4.5蟲毒の壺から解き放たれる優しき蝶の物語

2024年1月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

黒人差別 × 女性差別 + 未成年近親相姦レイプ + 人身売買 + 家庭内暴力 + 虐待 + 強制労働 + 醜貌侮蔑 + 貧困 + 無教養。

そんな感じでストーリーが始まりました。

「蠱毒」ってあるじゃないですか。壺の中にヘビとかヒキガエルとかムカデとか蜘蛛とか蜂とか、ありとあらゆる毒属性の生き物を詰め込んで共喰いさせて生き残った最強毒生物をおまじないに使うっていうヤツ。

あれですよ、あれ。

毒、毒、さらに毒、また毒、もっと毒。毒虫が毒虫を食い殺して生き残る世界ですよ。地獄よりおぞましい環境で、いくらでも陰鬱・凄惨に描くことが可能な状況です。

でもこの映画、お花畑で戯れる幼い姉妹のシーンから始まるんです。天国みたいなシーンですよ。

美しい色彩、朗らかな音楽、あどけない仕草、無邪気な戯れ、コミカルなアクション…ありとあらゆる手段で極力マイルドに仕上げていますが、ストーリーを客観的に受け止めると、そのエグさは尋常じゃないですよ。

この物語は要するに主人公セリーと、ヒロインポジションの妹ネティ、準主役的な歌姫シャグと女傑のソフィアが登場し、今からおよそ100年前、20世紀前半の黒人女性解放の歴史を辿っていく話だと理解しました。

さらにモチーフとして同性愛も取り扱っており、もう凄まじくエッジを効かせやすい要素のオンパレード。

それから黒人音楽の変遷も取り扱っているというか、ブルース、ジャズ、ゴスペルといったジャンルの歌曲が次々と登場する音楽映画にもなってました。

これだけ険しいテーマてんこ盛りの作品なのに、スピルバーグはおよそ2時間半の煌めき映画に仕立てたことが凄いです。

そうでないと皆が見ないでしょ。

これだけのテーマを取り扱ってもこの映画、レイティングの制約ないんですよ?

あらためてスピルバーグって凄えな…って思いましたよ。

公開当時、色々やいのやいのとイチャモンが付いて、アカデミー賞も取れなかったとかなんとか、そういう話も伝え聞きますが、誰が何と言おうと良いものは良いってタイプの名作だと思います。

この映画、4人の女性たちの美しい魂が地獄の底から解放されていくお話だと理解しています。

主人公セリーの「優しい魂」、ヒロイン ネティの「信仰の魂」、歌姫シャグの「自由奔放の魂」、女傑ソフィアの「誇り高きファイターの魂」。4つの魂が蠱毒の壺の中から解き放たれてカタルシスをもたらすんです。まさに「魂の浄化」。

ミュージカル映画としてリメイクされると聞いて、何度か繰り返し見ましたが、重ねて見るたび、理解が深まるたびに涙の量が増えてます。

レビューを書くにあたって、良い機会なので基本情報を調べてみました。

監督:スティーヴン・スピルバーグ(1946年生、公開時39歳)
脚本:メノ・メイエス(1954年生、公開時31歳)

原作:アリス・ウォーカー(1944年生、公開時41歳)
原作小説:アリス・ウォーカー『カラーパープル』1982

製作:スティーヴン・スピルバーグ
   キャスリーン・ケネディ(1953年生、公開時32歳)
   クインシー・ジョーンズ(1933年生、公開時52歳)
   フランク・マーシャル(1946年生、公開時39歳)

出演
・ウーピー・ゴールドバーグ(1955年生、公開時30歳):セリー(主人公)
・マーガレット・エイヴリー(1944年生、公開時41歳):シャグ・エブリー(歌姫)
・オプラ・ウィンフリー(1954年生、公開時31歳):ソフィア(女傑)
・アコーシア・ブシア:ネティ(妹)
・ダニー・グローバー(1946年生、公開時39歳):ミスター
・ウィラード・ピュー(1959年生、公開時26歳):ハーポ(ミスターの息子)
・レイ・ドーン・チョン(1961年生、公開時24歳):スクィーク(ハーポの新恋人)
・ダナ・アイヴィ(1941年生、公開時44歳):市長夫人

もう…凄い人ばっかり…。ため息が出ます。

プロデューサーのスピルバーグ、キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャルだけでも凄まじいヒット・メイカーのスペシャルチーム。

さらにもう1人のプロデューサー、兼音楽担当のクインシー・ジョーンズは元々ジャズのトランペッターで、その後アレンジャー、作曲家、音楽プロデューサーとして成功を重ね、一番わかりやすいところではマイケル・ジャクソンの「スリラー」をヒットさせた人であり、もうポピュラー音楽の世界では別格も別格、大御所中の大御所、伝説の音楽家ですよ。

原作者のアリス・ウォーカーという人は、もともと公民権運動の活動家で、やがて作家となり、フェミニストで、環境保護活動家でもある激しい人です。本作の原作小説でピューリッツァー賞を受賞してました。

ピューリッツァー賞というのは100年以上続くアメリカ文筆業界最高権威の賞で、コロンビア大学が主催したおり、報道・論説・批評・社説・速報写真・小説・詩・戯曲・伝記・音楽などの部門があるそうです。文芸・文学に関して、少なくともアメリカではノーベル文学賞に次ぐ格式の賞と言って良いと思います。

そしてキャストも、今となっては凄まじいメンツです。みんな若い!

主役のウーピー・ゴールドバーグは本作が映画初出演で出世作!『天使にラブソングを…』の人ですが、この人は渥美清みたいに他では絶対代えが効かない存在感がすでにありましたよ。

主人公の夫役ダニー・グローバーはこの後『リーサル・ウェポン』とか『プレデター2』で善い人になりますが、この頃はまだメチャクチャ悪役ですね〜。

日本ではほぼ無名のオプラ・ウィンフリー(女傑ソフィア役)。アメリカでは超絶有名人らしいです。役者として映画やTVドラマにも出ますが(本作ではアカデミー助演女優賞ノミネート!)、本業はTV司会者。スケールは百倍とか万倍違いますが、強引に日本で当てはめるとマツコ・デラックスみたいな人かと。要するにタレントとして大成功を収めた人なんですが、彼女の影響力は非常に大きく、昨今のLGBTへの偏見排除や環境整備みたいな動きはこの人から始まったらしいです。また政治的影響力も大きくてオバマ旋風の立役者の1人だそうです。

個人的にはレイ・ドーン・チョン(ハーポの恋人役)を見れたのが嬉しかった!この人、超絶可愛くないですか?シュワちゃん映画『コマンドー』のヒロイン役の人ですね。変わったお名前ですが、中国系の血筋があるそうです。ていうか、もちろん黒人の血も引いており、アメリカンインディアン、イギリス人、フランス人の血も引いているスーパーハイブリッドなんですよ。超絶可愛いはずです。そしてこの人、ハワイのホームレスだったクリス・プラット(ジュラシック・ワールドとかガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのシリーズで主役の人)を発掘した人でもあります。なんともドラマチックな星の下に生まれて来た人ですね。

とにかくこれだけアクの強い人たちが集まって、よくぞここまで美しい映画ができたと思いますよ。

本作が話題に上がる時しばしば、エンタメ志向のヒットメーカーだったスピルバーグが、今度はアカデミー賞を取りたくて作った作品だと噂された…とかなんとか、そんなエピソードが紹介されます。しかしこのスタッフ・出演者リスト見る限り、そんな浮ついた心持ちではこの名作を作り上げることはできなかったんじゃないかと思います。

もちろんスピルバーグにも野心があったかもしれないし、プロデューサーとしての苦労も多かったかもしれませんが、もっと強力なキーパーソンが要所要所を圧倒的なパワーやプレッシャー、人脈や手練手管を駆使して障害を捩じ伏せていたのではないかと思うんです。

この映画がブロードウェイのミュージカルとなったのが公開から20年後の2005年、舞台版ミュージカルが映画化されたのが更に18年後の2023年(米)。

何か壮大なパワーが背後にあるような気がしてきましたよ…。

本作も、リメイクされたミュージカル版も素晴らしい映画なので、制作背景を勝手に妄想するのはもうやめにします。

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ケンイチ
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