カヴァルケード

解説

「夫婦戦線」と同じくノエル・カワード作の舞台劇を映画化したものである。原作舞台劇はロンドンおよびニューヨークでロングランを打ったスペクタキュラーな作品として名高い。脚色には英国の劇作家にして政治家たるレジナルド・バークレイが当たり、「ほほえみの街」「農園のレベッカ」のソニア・レヴィーンが台本を作成し、「地獄特急」「女性に捧ぐ」のフランク・ロイドが監督に当たり、「街の狼」「悪魔の富籤」のアーネスト・パーマーが撮影した。主役は「男子戦わざる可らず」に出演している英国劇団の名女優ダイアナ・ウィンヤードで、「シャーロック・ホームズ(1929)」「上海特急」のクライヴ・ブルックが相手役を勤め、「街の狼」「チャンドウ」のハーバート・マンディン、「女性に捧ぐ」「風雲の国際連盟」のベリル・マーサー、舞台と同じ役を演ずるユーナ・オコナー、アイリーン・ブラウン、マール・トッテナムの3女優、ロンドン劇壇の花形アーシュラ・ジーンズ、フランク・ロートン、ビリー・ビーヴァン等が助演している。

1933年製作/アメリカ
原題:Cavalcade

ストーリー

英国の名門の流れをくむマリヨット家の当主ロバートは愛妻ジェーンとエドワード、ジョーの2人の息子を残して1900年に勃発した南阿戦争に出征した。マリヨット家の侍僕アリジェスも妻のエレンと娘ファニィと別れて、ロバートの従卒として南アフリカの戦地へ向かった。ロバートは各所に転戦してついに英軍をマフェキングの篭城より救し、輝かしい勲功を樹て、凱旋と同時に貴族に列せられた。それから十数年は過ぎた。マリヨット家の長男エドワードはエディス・ハリスという愛人と婚約が成り弟ジョーは陸軍中尉となっていた。ブリジェスは南阿戦争後主家を辞してロンドンで酒場を営み、豊かな生活をしていたがある時自動車事故で非業の最後を遂げてしまった。しかし彼の1人娘ファニィは英国が生んだ天才的舞踏家として名声を馳せていた。そしてジョー・マリヨット中尉と彼女はふとしたことから相愛の仲となった。それから間もなく世界大戦が起こり、ジョーは父ロバートと共にフランスの野に弾雨の巷を馳駆することとなった。長男エドワードはエディスと華燭の典を挙げて新婚旅行の途上タイタニック号沈没の厄に遭遇して海底の藻屑と化した。時はめぐって1918年11月11日幾万の生霊を犠牲にして人類が相殺戮しあった未曾有の大戦乱も終結を告げ平和の鐘は高らかに鳴り渡った。その日娘ファニィと旧主家の2男ジョー中尉との恋愛関係を知ったエレン・ブリジェスはマリヨット家を訪れて2人の結婚のことを相談した。ジェーン・マリヨットは2人が愛し合っているならば2人の心任せにしたがいいと答えたが、その折1通の電報はジョーの名誉の戦死を伝えて来た。その夜歓喜に酔うトラファルガー辻の群集の間に伍して、ジェーンは涙と微笑みの裡に世界平和のために黙祷を捧げていた。それから星移り時は流れて1932年12月31日の夜、愛人ジョーを失ったファニィ・ブリジェスはあるナイト倶楽部で「20世紀の憂鬱」という悲歌を歌っていた。満場声無く人々は涙を浮かべて聞き入っていた。二人の愛児に先立たれたマリヨット老夫婦は越年の乾盃を静かに挙げていた。彼らの心はいとも淋しかった。だが愛児が払った犠牲で今日の平和がもたらされたことを想到して、二人は満足の微笑みを洩らすのであった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第6回 アカデミー賞(1934年)

受賞

作品賞  
監督賞 フランク・ロイド
美術賞  

ノミネート

女優賞 ダイアナ・ウィンヤード
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