女の一生(1958)

解説

十九世紀自然主義文学の代表作である、モーパッサンの有名な同名原作の映画化。無台詞の中篇異色作「恋ざんげ」が公開されている三五歳のアレクサンドル・アストリュック監督が、「愛の迷路」のローラン・ローダンバックと共同で脚色し、自ら監督した。台詞はローダンバック。原作の骨格をふんだ、ある女の乙女時代から初老にいたるまでの生活が描かれる。撮影は「恋多き女」のクロード・ルノワール。ノルマンディ地方ロケーションによって、その風光や風俗などが克明にとらえられている。音楽はロマン・ヴラド、美術ポール・ベルトラン。主演するのは「カラマゾフの兄弟」のマリア・シェル、「素直な悪女」のクリスチャン・マルカン、「サレムの魔女」のパスカル・プティ、「赤と黒(1954)」のアントネルラ・ルアルディ。他に「乙女の館」のイヴァン・デニや、ルイ・アルベッシェ、マリー・エレーヌ・ダステ、ジェラール・ダリュウ、アンドレ・タンシイ等が出演する。製作アニェス・ドラエ。

1958年製作/86分/フランス
原題:Une Vie

ストーリー

北フランス、ノルマンディの海辺に近い邸に、若い乙女ジャンヌ・ダンディユウ(マリア・シェル)は父母、幼ななじみの女中ロザリイ(パスカル・プティ)とともに住んでいた。舟遊びに出た突風の日の事故を機会に、ジュリアン・ド・ラ・マール(クリスチャン・マルカン)というパリ帰りの青年が彼女に近づいてきた。男らしい彼に、彼女の心は動いた。そして結婚。しかし愛情と幸福をかけた彼女の夢は、結ばれて数ヵ月もたたぬうちに、灰色のものとなる。両親の去った広い家の中で、狩猟に出た夫を一人で待つジャンヌ。そんな彼女に、夫は眠る部屋を別々にすることでこたえた。そして冬がやってきて、女中のロザリイが、父親の知れない子を生んだ。彼女はどうしても、その子の父の名を言おうとはしなかった。しかし、それから数ヵ月の後、ジャンヌは、夫にベッドの中で抱かれているロザリイの姿を発見した。土地を与えられて、ロザリイと彼女の生んだ子は家を出た。夫は、彼女に土地を与えることをさえ、不服がった。それから六年の歳月が流れ、父が死に、母が邸にもどってきた。ジャンヌにもポールという男の子が出来ていた。ある日、夫は昔の友人フルシュヴィルの新妻で、コケティッシュな、ジルベルト(アントネルラ・ルアルディ)に知り合った。母が脳溢血で死んだ夜、夫は部屋にいなかった。ジャンヌはすぐに夫の行く先を直感した。しかし、もはや彼女は、妻であるよりも母であることに、日々の生きがいを見出そうとする女になっていた。ジルベルトの夫が、新妻とジュリアンの情事に気づく日がきた。海辺の岡で二人が逢びきする箱車を、嫉妬に狂ったフルシュヴィルの手が、海に向って押しおとした。無残に変りはてた夫と女の死体を、ジャンヌは茫然と見た。呼びよせた女中のロザリイとともに、今は息子に将来を託して、ジャンヌは懐しい海辺の邸を出た。

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