劇場公開日 1994年9月3日

「依存症の怖さを知っている人はどうぞ」男が女を愛する時 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5依存症の怖さを知っている人はどうぞ

2013年3月4日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:65点
ストーリー: 65
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 65
音楽: 60

 コメディ役が多いメグ・ライアンがアルコール依存症に苦しむ妻を、犯罪物映画に登場する印象が強いアンディ・ガルシアが愛情あふれる良き夫を演じる。真面目な家族愛の話。

 家族を大切にする有能な夫だが、それゆえに妻は自分の居場所をなくして酒に溺れるようになる。家族みんなが苦しみそれ故に感情を制御できずに爆発させながらもがいていく。それでもみんなが本当は暖かい愛情を心の底に持っていて、なんとか心のつながりを再発見しようとする。

 それはわかるのですが、私はあまりこの作品にはまれませんでした。夫が有能であるために妻の判断をないがしろにされたり仕事で留守がちで寂しいから、妻は酒に溺れたということになっている。
 でもこれよりもっとひどい家庭などいくらでもあるのに、むしろ相当に成功した幸せな家庭なのに酒にはまるというのがいい訳じみて感じる。この程度で酒に溺れるのが正当化されるのならば、世の中の人は殆どそうなるのでは。そんなわけであまり妻に同情が出来ない。本当は妻は精神的に弱くて元々酒乱気味だったのに、それを映画では綺麗に見せかけているだけなのではないか。だから妻が一方的に悪者に見えてしまった。

 アルコール依存症はそういう良い悪いではないのだろうし、依存症との闘いが重要なのだとは思う。多分私が個人的にちょっとしたささいなことで酒に逃げるような弱い人が好きではないから、この映画にはまることがなかったのだろう。そういうことに抵抗がない人や酒の怖さを知っている人にはもっとこの映画に感情移入できるのではないでしょうか。変に妻を良く見せようとせず、馬鹿で弱いから酒に溺れそれを克服するために家族の支えと共に努力したことを主題にしていれば、私としては感想はかなり違ったと思います。

コメントする
Cape God