劇場公開日 1956年10月26日

「見た目よりもずっと深い話」王様と私 星のナターシャさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0見た目よりもずっと深い話

2015年9月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

知的

王様とダンスを踊るシーンが余りにも有名になり過ぎて
単純に王様と英国女性の恋物語?と思ってる人も多いでしょうが、
実際は人種や男女差別、奴隷差別等の下敷きもあり
南北格差問題(アメリカでは無く、国際的な意味での)でもある。

欧米列強に取り込まないように近代化を推し進めながらも、
昔ながらの伝統やプライドの狭間で揺れ動くシャム王の姿は
明治維新の頃の日本や、現在の発展途上国の姿にも通じます。

英国に侮らないようにと、英国大使を招いて西洋風の晩餐会を開き、
そこで宴会の出し物として演じられる、
「アンクルトムの小屋」の一部を元にしたタイ風舞踊劇!
これが、よく出来てます!
それ以前のアンナと子供達の授業の内容や
王様とアンナが議論したモーゼに引っ掛けた、
劇のクライマックスも秀逸。

映画終盤には現王と若き王位継承者との物語も展開されて、
イヤ〜、よく出来た脚本ですわ。
小難しい話にせず、これだけのモノを詰め込んで、
楽しいミュージカルに仕上げた全ての方々に拍手!です。
沢山の方に是非見て欲しいですね。

ラスト近くに「十二国記」の元ネタはこれか!
と思わず膝を叩きたくなるセリフも有りますよ(笑)

星のナターシャ