インドへの道

劇場公開日:

解説

インドに旅した英国娘を通し、異民族文化同士の出会いと摩擦を描く。製作はジョン・ブラボーンとリチャード・グッドウィン、監督・脚色・編集は「ライアンの娘」以来14年ぶりのデイヴィッド・リーン、原作はE・M・フォースター(筑摩書房刊/この小説に基づくサンサ・ラマ・ルウ脚色の舞台もベースとなっている)、撮影はアーネスト・デイ、音楽はモーリス・ジャールがそれぞれ担当。出演はジュディ・デイヴィス、ヴィクター・バナルジ、ペギー・アシュクロフト、ジェームズ・フォックス、アレック・ギネス、ナイジェル・ヘイヴァースなど。

1984年製作/イギリス
原題:A Passage To India
配給:松竹富士
劇場公開日:1985年8月3日

ストーリー

第一次大戦後の英国の植民地インドのチャンドラボアへ、英国娘アデラ(ジュディ・デイヴィス)は婚約者ロニー(ナイジェル・ヘイヴァース)を訪ねた。彼は治安判事で、アデラの同行者ムーア夫人(ペギー・アシュクロフト)は彼の母だ。東洋の神秘に期待したアデラとムーア夫人は、英国人の優越意識と、それを憎悪するインド人の対立感情の存在を知るのだが、インド人医師アジズ(ヴィクター・バナルジ)やインド人哲学者ゴッドボール(アレック・ギネス)、英国人教授フィールディング(ジェームズ・フォックス)と知り合い、数日後、アデラらはアジズの誘いで、マラバー洞窟へ行く。小さな叫びも不気味な大反響音となる洞窟。ムーア夫人ら一行を残し、アジズとアデラはさらに山頂の別の洞窟へ向かい、一人で洞窟に入ったアデラは、はぐれてしまったアジズの声にわけの分らぬ恐怖にかられ、急に一人で走って下山した。一方、彼女を見失ったアジズは、ムーア夫人らの待つ所へ下り、後から着いたフィールディングらと急拠チャンドラボアへ戻るが、アジズは駅で逮捕される。理由はアデラに暴行したとのことで彼女を山で助けたカレンダー夫人(アン・ファーバンク)が告訴し、アデラも同意したからだ。フィールディングの抗議も空しく、裁判は始まり、インド人の反英感情は高まる。アジズに有利な証言をされてはと、息子に帰国をすすめられたムーア夫人は帰路洋上で死亡。だが、証言台で、アデラはアジズの無罪を認め告訴を取り下げた。彼女の勇気に感じ入るフィールディングはいったん帰国するが、数年後、ムーア夫人の娘で新妻ステラ(サンドラ・ホッヅ)と共に、ヒマラヤ近くの田舎町で開業医となったアジズと再会する。新妻がアデラだと思っていたアジズはフィールディングへの心のしこりも消え、後日、英国にいるアデラに手紙を書いた。「正直に証言した貴女の勇気に感謝するのに、長い時間がかかった」と--。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第9回 日本アカデミー賞(1986年)

ノミネート

外国作品賞  

第57回 アカデミー賞(1985年)

ノミネート

作品賞  
監督賞 デビッド・リーン
主演女優賞 ジュディ・デイビス
脚色賞 デビッド・リーン
撮影賞 アーネスト・デイ
編集賞 デビッド・リーン
衣装デザイン賞 ジュディ・ムーアクロフト
美術賞  
音響賞  

第42回 ゴールデングローブ賞(1985年)

受賞

最優秀助演女優賞 ペギー・アシュクロフト
最優秀作曲賞 モーリス・ジャール
最優秀外国語映画賞  

ノミネート

最優秀監督賞 デビッド・リーン
最優秀脚本賞 デビッド・リーン
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映画レビュー

3.0独立の際に果たせなかった英国人とインド人の和解に重ね合わせたか…

2023年2月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1985年のロードショー以来の鑑賞だろうか、
ヒロインの特異な性的欲情が
事件を引き起こすとの点や、
支配・被支配の環境での出来事との設定は、
まるで前作の「ライアンの娘」の舞台を
インドに置き替えたような展開には
改めて驚かされた。

しかし、最後のインド人医師のヒロインへの
手紙の意味が良く分からなかった。
よもや彼の暴行が実際にあって、
ヒロインが裁判の途中で彼を救うために
翻意したことへの“許しを請う”だったと
一瞬邪推したが、
しかし、やはり、ヒロインが経験した
神秘の国での性的な興奮からの妄想事件
であって、
それ故の裁判での告訴取り下げの勇気に
対してなのだろうと思い直した。
そして、それは、
彼を理解した老婦人への想いもあって、
彼が裁判後にヒロインを
“許さなかったことへの許しの請い”
だったのだろうか。

そして、この登場人物の相関を、
デビッド・リーン監督が
インドの英国からの独立に際しての、
充分には果たせなかった両国民の和解に
重ね合わせようとしたように
思ってもみたが。

巨匠リーン監督の最後の作品ではあるが、
私には、彼特有の
完璧な映像とストーリー展開も
14年のブランクのためか、
その完璧さが影を潜めてしまったような
ぎこちなさを感じる作風で、
残念ながら前作までの
「旅情」~「ライアンの娘」の5作品を
超えるまではいかなかったように思えた。

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KENZO一級建築士事務所

4.5タイトルなし

2019年5月17日
Androidアプリから投稿

久しぶりに「映画」を見せてもらったという感動。

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もーさん

3.0長すぎ

2019年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 無駄だと思うほどに余韻の多い映像、これが登場人物の心理を読み取るのに絶妙な長さとなっている。各々の人物が英国人・インド人への感情が痛いほど良くわかる。インド人からの人望もある医師、フィールディング教授との友情、説明している訳ではないのだが、事件が全く意味不明であることと対照的であるくらいに細かい描写だ。

 法廷ものとして捉えるとチンケな内容であるし、インド独立運動への気運とも繋がりそうにない。単なる熱病やめまいによって精神状態が揺れた女性を描くのなら、映像の工夫が欲しかったところだ。これでは中盤の1時間が無駄だとしか言いようがない。まさか、イギリス人が勝手に植民地化して勝手に裁判して現地人を裁いていることの贖罪を描写したかったわけではないだろうし・・・終ってみれば厚い友情物語であった。長すぎます。

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kossy