愛は静けさの中に

劇場公開日:

解説

聾学校に赴任してきた教師が、聾唖者の女性と愛し合いながら教師として献身する姿を描く。マーク・メドフの舞台戯曲をメドフ自身とヘスパー・アンダーソンが脚色。製作はバート・サガーマンとパトリック・パーマー、監督はランダ・へインズ。撮影は「刑事ジョン・ブック 目撃者」のジョン・シール、音楽はマイケル・コンヴァーティノ、プロダクション・デザインはジーン・キャラハン。出演は、本作品でアカデミー賞にノミネートされたウィリアム・ハートと、同主演女優賞を受賞したマーリー・マトリンほか。

1986年製作/アメリカ
原題:Children of a Lesser god
配給:パラマウント=UIP
劇場公開日:1987年3月21日

ストーリー

ジェームズ・リーズ(ウィリアム・ハート)は、片田舎の聾唖者の学校に赴任して来た。11年生の7名の生徒を受け持つことになったリーズは、彼らと対面した後、食堂でサラ・ノーマン(マーリー・マトリン)という若く美しい女性を見かける。校長(フィリップ・ボスコ)の説明によると、サラは5歳の時からここで学び、昔は優秀な生徒だったが、今は学校掃除係をしているという。彼女に興味を抱いたリーズは、自分の殼に閉じこもろうとするサラを根気強く説得していく。イタリアン・レストランで食事をした際、聞こえるはずのない音楽に合わせて踊るサラの姿を見たリーズは、かたくなに心を閉ざし続ける彼女をなんとか救いたいと、遠路はるばるサラの母(パイパー・ローリー)を訪ねる。そして、サラの姉の男友達とデートをするほどだった彼女が笑い者にされるなどして、心を閉ざしてしまったことを知る。その事実をサラにぶつけたリーズは、彼女から、かつて姉の作ったリストの順番に従って男友達に求められるまま体を与えたことをうち明けられた。思いもかけぬ告白に心みだされつつも、サラを愛していることを知ったリーズは、人目をしのんで1人プールで裸で泳ぐサラのもとにいき、愛を告白、プールに飛び込んだ。そして2人は、水深き沈黙の世界で、かたく抱き合うのだった。父兄会の席で、日頃の教育の成果を披露し、生徒達と手をとって喜ぶリーズ。そんな姿に嫉妬し興奮したサラは手に5針も縫うけがをしてしまう。校長に強く叱責されたリーズは、サラと一緒に暮らすことを決意する。サラと順調な同棲生活を続けていたある日、リーズは思わず彼女に自分の名前を呼んでくれるように語ってしまう。かなわずとも遠き願いである禁句の一言を発したリーズの目の前で、心なしかサラは悲しそうだった。ある日、パーティで、経済学者で数学の天才の女性聾唖者マリアン・レッサー(リンダ・ボブ)に出会ったサラは、自分が無能力であることを痛感し、自分を哀れんで一緒に暮らしていると興奮してリーズに言い放つと、泣きながら夜の街に飛び出していった。何日たっても母の許から戻ろうとしないサラを気にかけてリーズは、大学にいく資金を貯めるため美容院で働いていた彼女を窓越しに見ると、その場を立ち去った。家に帰り、リーズが来たことを母から聞いたサラは、卒業パーティで生徒達と別れの挨拶を交わすリーズの前に現われた。愛し合いながら離れ離れになった2人は自分のいたらなさを認め合い、永遠に手をとり合って生きることを、強く、それぞれの心に誓うのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第44回 ゴールデングローブ賞(1987年)

受賞

最優秀主演女優賞(ドラマ) マーリー・マトリン

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ウィリアム・ハート
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映画レビュー

3.5「おかん」

2024年4月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 Wハート演じるジェームズのろう者の女性サラに対する大人の純愛ストーリー。
 そのサラを演じるMマトリン。ジェームズの熱い想いに対する心境の変化を彼女の表情だけから読み取るのは私には正直難しかったです。それもそのはず、彼女が言葉が話せないのは演技ではなく幼少期の障害により実際耳が聞こえないんですね。その分、大袈裟ではないリアルな表現をしていたのだと思います。
 そして彼女の美しさも目を見張るものがありました。当時の他の大女優たちにも負けないくらいです。さらに驚いたことに、この女優さん途中で解説を読むまで気付きませんでしたが、なんと私にとっての有数の名作「コーダ」で主演していた粗野で騒がしい家族のあの「おかん」なんですね。女優力とでも言うんでしょうか。一本とられました。
 こんなサプライズも映画の楽しみの一つですよね。

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おまつ

3.5人気ドラマ「サイレント」オールドアメリカンバージョン。ちょっと過激...

2024年2月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

人気ドラマ「サイレント」オールドアメリカンバージョン。ちょっと過激(笑)
女優さん超美人、唯一の欠点はやや上向き癖があるのでちょっとしゃくれに見えてしまうこと(笑)
鑑賞後、彼女が本当の聾者と知り驚きました。
ついでに主演俳優2人のその後にも驚きました。調べない方が良かったかもしれない。
「コーダ」を見直したくなりました。

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はむひろみ

4.0愛があれば、障害も乗り越えられる。

2023年12月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

マーリー・マトリンが魅力的。
愛があれば、障害も乗り越えられるよね。

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光陽

4.0原題名を超え、救いを感じる結末であって欲しいと…

2023年9月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1987年のロードショー依頼の
約36年ぶりの再鑑賞。しかし、
内容については全く忘れてしまっていた。

マーリー・マトリンという女優が
この作品でアカデミー女優賞を獲得していた
ことは微かに記憶していたが、
この少し前に観た「コーダ あいのうた」の
母親役と同一人物であることを知り、
この作品のTV放映があったタイミングで
再鑑賞した。

それにしても、
原題の“CHILDREN OF A LESSER GOD”には
考えさせられる鑑賞スタートとなった。
舞台劇での翻訳では“小さな神の子ら”と
あるようなのだが、
調べると、
“劣った神のもとで生まれた子供達”とも
訳せるようだったので。

そんなタイトルバックを見せつけられては、
なんとか救いを感じる結末であって欲しい
との願いを込めた、
あたかも初めて観るかのような事態に。

異なる身体環境を乗り越えて
結ばれた二人かと思ったが、
その違う世界感を突き付けられて
一旦は別離するも、
再び愛を取り戻す。

舞台版ではアンハッピーなエンディング
とのことだが、
私には、彼女は読唇術を学び発声にも挑み、
二人の世界感を縮めるだろうとの
救いを感じるラストシーンだった。

公開は、「グッド・モーニング・バビロン!」
「プラトーン」「スタンド・バイ・ミー」
「薔薇の名前」等の名作揃いの年で、
この映画は28位に甘んじてしまったが、
新鮮な再鑑賞となった私にとっては、
最後の復縁までの流れに
物足りなさを感じる部分はあるものの、
価値観の共有を阻害する身体的バリヤーと、
愛情との間で揺れ動く二人の
繊細な思索を丁寧に描いた作品に感じた。

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