劇場公開日 1954年11月20日

愛の泉のレビュー・感想・評価

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4.5隠れた名作!

2019年6月28日
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鑑賞方法:DVD/BD

フランク・シナトラの主題歌はいきなり冒頭から始まります
ムードのある素晴らしい曲で映画音楽大全集にも入っていたりします

愛の泉とはトレビの泉とのこと
コインを投げると願いが叶うという風習を有名した映画だそうです
トレビの泉は冒頭の主題歌のタイトルバックと序盤のコイン投げのシーン、そしてラストシーンの都合三回登場します
ローマの休日の翌年の製作ですから、その大ヒットを受けてもっとローマをカラーでお見せしましょうというような、基本イタリア観光映画なんだろうと斜に構えて侮って観てはなりません
ラストでは不覚にも泣きそうになりました

ローマで働く三人の米国人女性
結婚適齢期になったばかりの若いマリア
憧れの若きしかもハンサムな公爵との玉の輿を狙います
適齢期を過ぎようとしているアニタ
イタリア人との職場恋愛禁止のオフィスで実らない恋を諦めて結婚すると嘘をついて帰国しようとしています
気が付けば未婚のまま40歳もとっくに越えてしまったフランシス
15年も女性の最も美しい時期のほとんどすべてを、もはや老人となった有名作家への実らない恋を秘めたまま彼の秘書として仕えています

三人それぞれの恋模様が美しいローマ、ベニスの風景を背景に描かれます
カメラが美しく明るい陽光の下のイタリアを、これまた美しい構図で捉えています
風景だけロケして、あとはスタジオのセットでというような安直な作品ではありません

マリア役のマギー・マクナマラは、小柄で細くて少女のようで明らかにオードリー・ヘップバーンを本当はキャスティングしたかったんだろうと直ぐわかる配役です
髪型までローマの休日でのあのショートカットに似せてます
それなりに美人なのですが、ヘップバーンにはとても及びません
どうしても彼女がヘップバーンならと脳内で変換して観てしまいます
もしヘップバーンが出演していたなら大ヒットして名作入りしていたと思います
といってマギー・マクナマラが決して悪い役者でもなく、しっかり頑張っています

美術館で付け焼き刃の美術の知識で若き公爵の気を引こうとするのですが、適当な感想を述べて彼が感心するというその新印象派の絵画がどうみてもその作風ではなくキュビズム風で彼の趣味も実は大したことがなさそうというシーンは可笑しくて可笑しくてたまりません
彼女も一番可愛く写っているシーンです

終盤は一番年上のフランシスの恋の行方がクライマックスになります

帰国する決心をした彼女が語ります
このまま夢も希望もなく、見知らぬ土地で独身で要るよりはマシです

この本音の吐露から一気に物語が動きだし、ラストシーンにまで三人の恋は一直線に走り出します

三組のカップルのハッピーエンドで映画が終わる時、なんと楽しい映画だったんだろうととても幸せな気持ちで胸が一杯になります
隠れた名作とはこのことだと思います

やっぱりイタリアに海外旅行に行きたくなりました

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あき240