ガーダ パレスチナの詩

劇場公開日:

解説

OLから転身したジャーナリスト・古居みずえが、戦火のパレスチナで女性や子供を対象に撮影したドキュメンタリー。パレスチナの古老たちから、イスラエルの建国によって故郷を奪われたパレスチナ人の体験と暮らしを聞き書きするパレスチナ女性ガーダに焦点を当てている。

2005年製作/106分/日本
原題:Ghada Songs of Palestine
配給:バイオタイド
劇場公開日:2006年5月20日

ストーリー

パレスチナ女性ガーダは、ガザ地区難民キャンプで生まれ育った。ガザ地区南部はイスラムの古い慣習の残っている地域だ。そんな中で、自立心の強いガーダは伝統的な結婚式を拒否しようとし、今までのやり方にこだわる母親や友人、婚約者の母親とぶつかっていく。結局、ガーダは結婚式をあげず、花婿のナセルとエジプトに新婚旅行に出かける。1996年、ガーダは最初の子ガイダを出産し、女性として新しい生き方を貫いていく。しかし2000年、パレスチナでは第二次抵抗運動が始まる。親戚の男の子カラムの死を目にし、母親として気持ちを揺り動かされる。ガーダは、パレスチナ人としてのアイデンティティーに目覚める。幼い頃、祖母から聞いた故郷の話や歌がガーダの心に蘇り、1948年に追われた話を、祖母年代の女性たちから聞き始める。100歳になるハリーマは人生の終末でイスラエル軍によって家を壊され、テント暮らしになる。ガーダはハリーマから土地に根付くパレスチナ人の心意気に魅せられる。イスラエルとの国境に生きるウンム・バシームは農業や放牧を続けている。この映画は、主人公・ガーダの23歳から35歳までの、結婚、出産、そして自ら故郷への旅を歩み始める現在までが描かれる。ガーダは、古い慣習の残るパレスチナ社会で自立を探求し、さらには、イスラエルによって土地を奪われる以前の、パレスチナの人々の暮らしを求めて聞き書きの旅を始める。自然豊かなパレスチナの風景をバックに、語り継がれてきた素朴な詩歌の数々が紹介されてゆく。。ガーダというパレスチナ女性の生き様を通して、いまだに残る古い慣習を浮かび上がらせると同時に、パレスチナの原点を新しい世代につないで行こうと決心する1人の女性の成長を描く。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0報復の連鎖を断ち切りたい!と切に願います。

2019年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 一人のパレスチナ女性ガーダを中心に描いたドキュメンタリー映画。彼女が独身の頃から映像を撮り続け、結婚や出産をも映像化するほど視点がガーダになっている。パレスチナ・ガザ地区が古い慣習にしばられている町。それに反発するかのような彼女の結婚観、職業観、そしてイスラエルに対する考え方が切々と伝わってくるのです。そのガーダを人生観を変えてしまったのも監督古居みずえさんらしいのですが、舞台挨拶付きの上映を観なかったことが悔やまれます。

 一人の女性にスポットを当てただけで、彼女の親族がイスラエルの攻撃によって死んでしまう現実が浮き彫りにされたり、意味不明の乱射攻撃に晒される現場をも経験してしまうという危険な地域。近所の人はイスラエル軍の駐留に対して投石というささやかな抵抗。いつ殺されるかわからないという緊迫した状況であっても隣近所支え合って生活していかねばならないのです。

 教師という職業を選らんだこともあって、彼女は人生の目標をパレスチナ女性の苦難の歴史を本にすることに決める。1948年にお祖母さんが経験した故郷を追われた悲劇。国境に生きる農家の生き様。イスラエル建国の日からパレスチナ受難の日々が続いてきたことを書き連ねていく決心をしたのです。

 日頃、ナチスに虐待されたユダヤ人の映画ばかり観ていると、ユダヤ人によるパレスチナ人の虐待が信じられないというのが率直な感想で、認識が甘く、とても恥ずかしかった。ガーダ自身もイスラエルが憎いというよりも、「アメリカが悪い」と言っていた印象が強く残ります。また、彼女が平和を求める切なる声も字幕では「たたかう」という言葉で表現していましたが、実際にはstruggleと言っていたので安心しました。考えてみると、生きていくことは全てたたかうことなのだろうと思います。と、職業訓練と再就職でたたかってるkossyが書いてみました。

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kossy
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