劇場公開日 2005年9月10日

「追悼 大杉漣」ライフ・オン・ザ・ロングボード 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0追悼 大杉漣

2018年2月25日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

幸せ

まさか大杉漣さんがこのような形で突然逝ってしまうとは、誰が想像出来ただろうか。
ずっとずっとまだまだ、映画やTVで抜群の存在感を見せ、その一方バラエティーでは親しみ溢れるお茶目な素顔を見せ、そして行く行くは、いぶし銀の名優になると普通に思っていた。
突然、そんな漣さんがもう見られないなんて、信じられないと言うより何が何だか分からない。
最期、撮影中だったドラマ『バイプレイヤーズ』の仲間に看取られて…というのがとても胸を打った。
最期に演じたのは、“大杉漣”(このドラマでは、本人が本人を演じている)。そして気心知れた名脇役仲間たち。
こんな事言ったらあれかもしれないけど、役者として最高の最期ではなかったのだろうか。

さて、追悼として何か見たいと思ったが、とにかく困った。
何せ、出演作が多過ぎ!
300の顔を持つとまで言われた漣さん。
コワモテのヤクザから変態チックな役柄、優しいお父さん、警察キャリアに総理大臣。果ては地獄大使にひみつのアッコちゃんの変身後まで!
こんなに幅広い役演じても、どの役にもピタリとハマった。真のカメレオン俳優!
映画賞を総なめにし、キャリアが大きく羽ばたくきっかけになった『HANA-BI』や、ご贔屓『シン・ゴジラ』でも良かったんだけど、どうせなら漣さんをたっぷり見たかったので、だいぶ前に見た本作を思い出した。

2005年の珍しい主演作。
演じるは、定年退職を迎えたサラリーマン。妻も亡くし、何もする事無い日々。
そんなある日、妻との思い出であるサーフィンを思い出し、サーフィンを始める…。

一体何人が知ってる?…くらいの知名度で、作品的にもズバ抜けた傑作!秀作!…ってほどでもない。
話もありふれたB級グルメ的な邦画だが、昔見た時も普通に良かった。
何より役柄が、実直で真面目で、伝えられている漣さんの人柄そのまま。
何度失敗しても奮闘する姿に元気を貰える。まだまだ人生、波に乗っている!
また、撮影後も本当にサーフィンにハマって趣味になったとか。
なので色々含め、漣さんの出演作の中でも記憶に残る作品であった。

日本映画からTVドラマから、漣さんが居なくなった喪失は暫くの間大きいだろう。
だって、漣さんの代わりになる人は居ない。
漣さんを嫌いと言う人に会った事が無い。
素晴らしい役者、素敵なおじさま。
ありがとうございました。
安らかに。

近大