スクール・ウォーズ HERO

劇場公開日:

解説

体当たりの指導で荒廃した学園を立て直した熱血教師と、彼の信頼に応えた生徒たちの感動の実話。1984年にドラマ化もされた物語が映画化された。監督は、モデルとなった京都市立伏見工業高校のOBでもある「残侠 ZANKYO」「およう」の関本郁夫。主人公・山上を照英。その妻、悦子には和久井映見。ラグビー部の主将・小渕を「精霊流し」の内田朝陽、マネージャーをSAYAKAが演じる。

2004年製作/118分/日本
配給:松竹
劇場公開日:2004年9月11日

ストーリー

1974年、京都。校内暴力で荒廃しきった伏見第一工業高校に、一人の体育教師が赴任した。山上修治(照英)、31歳。元ラグビー全日本のスター選手だ。現役を引退した山上には有名実業団チーム監督の座が約束されていたが、職場にはあえてここを選んだ。彼の心を動かしたのは、不良たちに殴られながらも「子供たちは寂しいんや」という神林校長(里見浩太朗)の、生徒たちへの愛情だった。この言葉は、自らも寂しい少年時代を送った山上の胸に熱く響く。そして驚くべきことに、この手のつけられない不良たちこそ、伏見第一のラグビー部員だったのだ。「この学校を、ラグビーを通じて変えて見せる」という決意を胸に、教壇に立つ山上。しかし、彼が目にしたのは、想像をはるかに超えた厳しい現実。リーゼント姿のツッパリがバイクで廊下を走りぬけ、金属バットで窓ガラスを割る。学内でのタバコや麻雀は日常茶飯。気弱な国語教師の亀田(中川家剛)など、服に火をつけられるほどだ。だが、生徒たちの暴力に怯える教師たちは、みな見て見ぬ振りをしていた。中でもラグビー部はワルの巣窟だった。山上は「One for all All for one(ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために)」というラグビーの基本精神を訴えるが、不良のリーダー格の小渕(内田朝陽)は、日本代表だった山上のエリート意識をあざけり笑う。生徒にも、仲間の教師にも、山上の熱い想いは受け入れられず、苛立ちは募るばかり。そんな彼を、妻の悦子(和久井映見)は温かく支える。やがて、ラグビー部にも変化の兆しが見え始める。道代(SAYAKA)がマネージャーとなり、新入部員も増えた。初の対外試合も決まった。ところが意気揚々と試合に出かけてみると、集合場所に来たのは道代だけ。山上を嫌う3年生が、後輩たちを足止めしたのだ。「もう、俺の手に負えん」。落胆し、涙を流す山上を、悦子は「あんたの先生は、あんたを見捨てなかった」と叱咤する。心の奥底では子供たちは、本気で叱ってくれる大人を、本気で愛してくれる教師を求めているはずだ。そう信じる山上の姿勢は、亀田ら、事なかれ主義教師たちの気持ちも徐々に動かしていく。ツッパリの荒井(弓削智久)も、山上の熱意にほだされ、ラグビー部に入ってきた。だが、3年生たちはついに打ち解けぬまま、卒業を迎えてしまう。自分の無力を感じる山上だったが、卒業式後、荒れていた部室はピカピカに磨かれ、そこには3年生からの、メッセージがあった。「あとは頼むぞ、全日本野郎!」。彼らも、彼らなりにラグビーを愛していたのだ。もっと、その気持ちに気づいてやるべきだったと、涙ぐむ山上を、「教育はマラソンだ」と神林校長は励ます。1975年、春。中学時代から京都一のワルと恐れられた「弥栄の信吾(小林且弥)」が、伏見第一に入学してくる。入学早々、荒井をぶちのめし、豪傑ぶりを見せる信吾。その身体能力の高さと、心の中の寂しさを見とった山上は彼をラグビー部に誘う。大酒飲みの父、大吾(間寛平)と暮らす彼の家を何度も訪ねる山上。二人は格闘になるが、山上のタックルの勢いで鴨川に落っこちてしまう。ずぶぬれの二人を、あたたかく迎える悦子。だが、初めて接した家庭の団欒に素直になれない信吾は、そこから飛び出していく。信吾を得られぬまま、迎えた京都府大会。相手は強豪の大園高校。誇らしげに全日本のジャケットを着て会場に立つ山上。小渕も荒井も全力で戦うが、子供のようにはじけ飛ばされる。その姿を見守る観客の中に、信吾もいた。結果は112対0という、前代未聞の惨敗だった。そのとき、山上の中で何かがはじけた。がっくり肩を落とす選手に、「おつかれさん」と声をかける。罵声が飛ぶと思っていた小渕らは、意外な言葉に驚く。「悔しいか?」「悔しい!先生、俺は甘かったよ!殴ってくれ!根性をたたきなおしてくれ」―泣き崩れる小渕に続いて、次々に頬を差し出す選手たち。山上は泣きながら、彼らを殴る。そして、自らの高慢を恥じた。ついに、山上とラグビー部がひとつになった。その日以後、山上が全日本のジャケットを着ることはなかった。心機一転、猛特訓を開始するラグビー部。そこには、あの信吾の姿もあった。山上の見込みどおり、めきめきと頭角を現す信吾を、身体が弱いためマネージャーになった望月は憧れの目で見つめる。「信吾くんは全日本のメンバーになれる。僕は新聞記者になって、君の記事を書く」望月は、大きな夢を語る。1976年。昨年の大敗がウソのように府大会を勝ち進む伏見第一。だが、勝利に酔う間もなく、望月はその場で倒れてしまう。病名は白血病。彼に生きる希望を与えるべく、必死に戦うラグビー部はついに決勝に進出する。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0熱い

2023年12月31日
PCから投稿
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プライア

3.0映画「単品」として観るなら悪い作品ではない。

2023年5月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

〈映画のことば〉
俺は元全日本代表だったと言うことで、心のどこかで、あいつらを見下していた。
自分たちを見下している者に、生徒たちが信頼を寄せることなんかないんだ。

…そう思ったときに、彼らと「心のペクトル」がカチッと合ったと、山口良治さん本人がおっしゃっていたことを、評論子は覚えていました。
それが鍵になっていることは、本作でも間違いのないことと思います。

本作は、実は『スーパー30 アーナンド先生の教室』に触発されて鑑賞した作品になります。
アーナンド先生の場合は、生徒たちの中にもともと眠っていた能力(内発的な知識欲)を引き出す方法でしたけれども、本作の泣き虫先生こと山口良治先生の場合は、生徒と心のベクトルを合わせたという、そのことが、生徒たちの意欲を引き出したのだろうと思います。

テレビドラマから流れてきたレビュアー諸氏には、あまり好評ではないようですけれども。
純粋に映画作品として、それ「単品」で鑑賞した評論子にとっては、決して評価の低い作品ではなかったように思います。

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talkie

3.0照英の演技は素晴らしい。熱い作品。中盤以降から編集が粗くなり話がと...

2019年8月12日
iPhoneアプリから投稿

照英の演技は素晴らしい。熱い作品。中盤以降から編集が粗くなり話がとびとびになりダイジェスト版の感じ丸出しになるのが良くない。

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collectible

5.0不滅の名作

2016年9月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

何度観ても体が熱くなる。
涙が出てしまう。

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wakom14702
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