劇場公開日:

解説

『GO』で直木賞を受賞した金城一紀が、他者との対話を通じて自分を見つめるというモチーフで描いた短編集『対話篇』収録の同名小説『花』を映画化。突然の動脈瘤によって生きる希望を失いかけた青年と、亡き妻を弔う旅に向かう末期ガンの初老の男の交流を描く。監督は、本作がデビューとなる西谷真一。出演は、「天使の牙」の大沢たかおと「ドッペルゲンガー」の柄本明。

2002年製作/106分/日本
配給:ザナドゥー
劇場公開日:2003年11月1日

ストーリー

サラリーマンの野崎陽一郎(大沢たかお)は、動脈瘤によって突然倒れた。医師(南果歩)からは一刻も早い手術を勧められたが、その手術には命の保障が無い上、たとえ成功しても記憶が喪失する可能性を伴うものだった。会社を辞め、手術同意書は白紙のまま、野崎は現実から逃避するように日々を過ごしていた。そんな時、毎朝アパートの前で出くわす男(仲村トオル)からバイトの話が持ち込まれた。期間は1週間。仕事の内容は、依頼主を鹿児島まで連れて行く運転手。その依頼主とは、25年の歳月をかけて再審請求をし続けた冤罪事件に勝訴し、最近マスコミを大いに賑やかした弁護士・鳥越弘(柄本明)だった。出発の日。野崎が指定された待ち合わせ場所で待っていると、よれたスーツに白髪混じりの男・鳥越がやってきた。野崎が目的地までの順路を説明すると、鳥越はあえて高速を使わず、国道1号、2号、3号とただひたすら西に下って鹿児島・指宿まで行くようにと指示をした。年齢も立場も違う二人に共通の話題があるはずもなく、会話といえば鳥越が野崎の運転に文句をつけるぐらい。いくらバイトとはいえ、旅の目的も知らされず、鳥越の指示通り国道で鹿児島へ向うということが無意味なものに思えてきた野崎は、車から降りようとした。すると、今まで固く閉ざされていた鳥越の口から、この旅の目的が語られた。25年前に別れた妻が鳥越宛に遺品を残し、鹿児島・指宿のホスピスで先日亡くなった。しかし、鳥越はそんな妻の顔をすっかり忘れてしまっていた。その上、写真などの手がかりは一切残っていない。妻の顔すら思い出せない自分に、その遺品を受け取る資格があるのか…。思い悩んだ鳥越は、かつて新婚旅行で通った同じ道を同じ方法で辿ればその妻の顔を思い出すかもしれないと、この旅を決意した。そんな理由があったとは知らず、軽はずみな自分の行動に後悔する野崎。再び野崎はハンドルを握り、思い出を辿る旅が始まった。1964年、春。田舎道。赤い車。運転するのは若かりし頃の鳥越(加瀬亮)。鳥越は夢の中でぼんやりと過去を思い出し始めていた…。助手席の鳥越は薬を飲み、眠ってしまった。あまりにも静かに眠る鳥越が気になり、野崎が脇見した瞬間、トラックと衝突しそうになる。鳥越はその衝撃に目を覚ました。野崎は、鳥越が寝ている間に自分を襲った孤独感から、自分の病気のこと、手術のこと、手術して記憶がなくなったら、自分が自分でなくなるのではないかという不安感、そして恋人・千香子(西田尚美)との関係…。これまで胸に仕舞いこんでいた感情が次から次へと溢れ出した。野崎は鳥越の前で素直になっている自分を不思議に思った。 「そう簡単に死ぬもんか」鳥越はそう言って、遠慮がちに野崎の背中に手をやった。野崎が質問し、鳥越が答える。やがて鳥越は細い糸を紡ぎだすように、少しずつ記憶を取り戻し始めた。 名前は恵子(牧瀬里穂)。駆け落ち同然の結婚。ふたりとも弁護士を目指していた。転んだ恵子を鳥越がとっさに助けた、そんな些細な出来事から二人の付き合いが始まった。 しかし、鳥越は肝心の恵子の顔は思い出すことができないでいた……

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0泣いた。原作本の方もすごい良かった。 短いからいろいろ追加されてる...

2018年7月21日
iPhoneアプリから投稿

泣ける

泣いた。原作本の方もすごい良かった。
短いからいろいろ追加されてるけど、これはこれで良し。本を読めばわかるけれどイメージどおりで映像化にすごく成功している。

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