見たい度推移(赤線は公開日)


「渚のシンドバッド」に続く橋口亮輔の監督第3作。まだ付き合い始めて間もないゲイ・カップルの間に、割り込んできた一人の女。彼女は“結婚しなくてもいいから子供が欲しい”と懇願。二人の男は戸惑いながらも事態を受け入れていく。人生の起死回生をかけた女の思いつきを起動力に物語は展開するが、ゲイを都合のいい存在としてとらえた作品でも、子育てをめぐる理想論的な内容でもない。ただ家族となる予感を秘めた人間関係を、映画はつぶさに真摯に見つめる。登場人物の感情の成り行きや熱いメッセージに寄りかかるのではなく、室内会話劇の醍醐味に向き合った終盤のシークエンスは監督のテクニックの向上と作家としての熟成を深く感じさせて、圧巻。虚飾を排した形相で登場する片岡礼子も、ラストで嗚咽する田辺誠一も、ともに観る者の共感と涙を誘う。

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