見たい度推移(赤線は公開日)


1930年、26歳という若さで自らの命を絶った童謡詩人・金子みすゞの半生を映画化。「地雷を踏んだらサヨウナラ」の五十嵐匠監督が、前作に続き、夭折の人物を丁寧に撮り上げた。金子みすゞ、本名テル。15歳で母の再婚とともに移住した下関で、本屋の店番をしながらペンネームで詩を投稿。天才詩人として羨望を集めつつも23歳で結婚、娘・ふさをもうけるが遊郭通いの絶えない夫から淋病をうつされてしまう。離婚後も病に臥せりがちなみすゞに、元夫は娘の親権を主張。そしてある日、彼女は一つの悲しい決断をする……。ピンと張り詰めたような静謐な映像が印象的。生きとし生けるものへの深い炯眼が身に染みる柔らかなみすゞの詩を、セリフに頼らず映像まるごとで体現したような手触りを残す作品だ。許されぬ愛、不幸な結婚など様々な思いを抱えながら何かを悟っていたようにも見える、みすゞの不思議な“たたずまい”を表現した田中美里の存在感も賞賛に値する。



