重臣と青年将校 陸海軍流血史

劇場公開日:

解説

張作霖爆死事件に始まり二・二六事件、五・一五事件等々のエピソードを織りこんだ歴史劇映画。「不如帰」の村山俊郎の脚本を、同じく「不如帰」の土居通芳が監督、「若君漫遊記 サタン城の魔王」の森田新が撮影した。宇津井健・中山昭二・細川俊夫・高倉みゆき・三ツ矢歌子等々のオールスター・キャストである。

1958年製作/79分/日本
劇場公開日:1958年

ストーリー

不況に喘ぐ日本にとって満州は経済・軍事両面の生命線と考えた田中義一首相は、満州に対し積極外交を進めていたが、張作霖の排日行動によって難航を極めていた。この田中外交を軟弱と見た陸軍の急進将校たちは関東軍の河本大佐をして張作霖を爆死させ満州の一挙占領を企てたが参謀長斎藤少将に妨げられた。張作霖爆死事件で内外の反対を受けた田中内閣は政権を放棄、代って内閣を組織した浜口雄幸は、中国との友好外交、軍縮政策を強行したため急進将校、右翼思想家の反感を買い、東京駅で狙撃された。昭和五年のことである。ところが、この機に乗じ橋本欣五郎中佐と右翼思想家・大川周明は、満州占領と軍政府樹立を計り、陸軍次官杉山元を通じ陸相宇垣一成へその具体案を提示、決起を要望した。が、宇垣陸相はこれを退け橋本中佐以下を満州や地方師団に転属させた。満州に転属を命ぜられた橋本中佐は、所期の目的完遂のため河本参謀に関東軍の協力を要請かくて関東軍は昭和六年九月、政府の不拡大方針を無視して柳条溝に中国軍と戦火を交え、戦いは満州全土に拡がった。橋本中佐は、さらに内地へ戻り、今度は国内改造を目ざして海軍の青年将校と結び荒木中将の担ぎ出しにかかった。しかし計画の中止を命ぜられ、彼自らも憲兵隊に逮捕された。この世にいう十月事件は未遂に終ったが、関東軍は満州の占領を終え、戦火は上海へと移った。しかし満州の確保で解決されるべき不況はさらに深刻化し農村は疲弊、一方では財閥、政治家が満州へと利権を求めて行った。こうした情勢に憤激した海軍青年将校は昭和七年五月一五日、牧野内大臣、犬養首相らを襲撃した。この海軍側の決起は陸軍の若手将校を刺激、相沢中佐が永田軍務局長を襲撃するという事件が起った。そしてこれを契機に昭和十一年二月二六日、安藤大尉ら陸軍若手将校による決起部隊の岡田首相、高橋蔵相、鈴木侍従長、渡辺教育総監、斎藤内府襲撃事件が起った。決起部隊には原隊復帰の勧告が下ったが、安藤大尉らは、これに反対したため遂に反乱軍の汚名を着せられ詔勅の渙発となった。“勅命下る、軍旗に手向うな”--決起部隊は呆然として原隊に復帰したが安藤大尉ら五人の首謀者は銃殺刑に処せられた。“国民よだまされるな、軍部を信用するな”この絶叫を最後に安藤大尉は死んでいったが、強力な実権を握った軍首脳部は、日中戦争を誘発、太平洋戦争から敗戦へと進んだ。

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