雪の断章 情熱

劇場公開日:

解説

ふたりの男性に囲まれて育ったみなし児の少女が、殺人事件に巻きこまれ、大人になっていく姿を描く。佐々木丸美原作の『雪の断章』の映画化で、脚本は「魔の刻」の田中陽造、監督は「台風クラブ」の相米慎二、撮影は「おはん」の五十畑幸勇がそれぞれ担当。主題歌は、斉藤由貴(「情熱」)。

1985年製作/100分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1985年12月21日

ストーリー

広瀬雄一は、7歳の少女伊織と出会い、彼女を自分のアパートへ連れ帰った。みなし児だった伊織は、那波家にひきとられたが、ひどいこき使われ方をされていた。人間不信に陥っていた彼女を、雄一はひきとるため那波家を訪ねる。東京に家のある雄一は、仕事で札幌に赴任しており、彼の面倒は家政婦のカネが見ていた。カネは反対するが、親友、津島大介の励ましもあって、雄一は伊織を育てる決心をする。十年の歳月がたち、伊織は17歳。雄一は伊織に北大を受けさせようとしていた。彼女の高校には、同じく北大を受けようとする那波家の次女、佐智子もいた。そして伊織の住む雄一のアパートに、那波家の長女、裕子が引っ越して来た。裕子の歓迎会がアパートの住人たちによって開かれ、見事な舞踊をみせた彼女は、一たん自室へ引きあげた。伊織がコーヒーを運び、再び裕子の部屋を訪れた時、裕子は死んでいた。青酸で殺されたことが検証され、伊織は重要容疑者として刑事の吉岡につきまとわれる。自室を警察に荒らされ、またカネから、雄一は伊織がひとりの女として成長する時を待っていると言われ、伊織は二重のショックを受ける。そして、雄一に“偽善者”という言葉を吐いてしまう。雄一のフィアンセだという細野恵子がアパートを訪れた。恵子は伊織が結婚の障害になっていると告げる。大介の誕生日が来た。大介の部屋に、彼に内緒で花束を持ち込んだ伊織が見たものは、殺人事件の真相をうかびあがらせた。伊織は家出し、尾行していた吉岡に補導された。彼女は真犯人を知っていると告げる。迎えに来た雄一は、北大だけは受験しろと言う。大介が伊織を函館へ誘い出した。函館は故郷であり、自分もみなし児であったことを告白する大介。春、伊織は北大に合格した。博多転勤となった大介は、伊織について来てくれと言う。伊織は頷いた。大介が九州へ発つ前日、吉岡が現われ、一生容疑者として汚名を背負って生きる伊織に、真犯人を告白するよう忠告した。翌日、大介が服毒自殺をしたと知らせがはいった。遺書の中で、大介は彼の両親が裕子の父親がもとで自殺を計り、そのための犯行だと告白していた。また、雄一を頼って生きろと伊織に言い残していた。伊織は雄一のもとから出る決心をするが、引き止められる。そして、雄一と伊織はお互いの気持を確認しあうのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第10回 日本アカデミー賞(1987年)

ノミネート

助演男優賞 世良公則
新人俳優賞 斉藤由貴
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映画レビュー

1.0やっぱりいいとこ無し

2021年5月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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またぞう

2.5情熱は雪の中に埋もれ…

2020年4月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

萌える

斉藤由貴の映画デビュー作となった相米慎二監督1985年の作品。

孤児だった少女が二人の男性に引き取られ成長し、やがて殺人事件に巻き込まれる…。
あらすじだけ聞くとドラマチックなミステリーのように思えるが、この監督がストレートに作る訳がない。

ミステリーより主人公の少女・伊織のドラマがメイン。それはまるで、斉藤由貴そのものに通じる。
当時トップアイドルだったが、そんな彼女から女優としての新たな面を引き出す。
劇中で伊織が少女から大人の女性へと成長していく様とリンク。
相米演出は非常に厳しい事でも知られ、それがまた伊織が直面する悲喜こもごものように感じた。

れっきとした斉藤由貴のアイドル映画として成り立ってる傍ら、哀ミステリー要素も足長おじさん的仄かなラブ要素も匂わせているのだが…、全体的に分かりづらい…。
相米演出の代名詞とでも言うべき長回しは元より、あのシーンやこのカットはどういう意味があるんだろう?…と、頭の中に「?」が何度か。
動機はさすがに分からなかったものの、犯人は登場人物が限られている故、何となく察しも…。

とにかく、斉藤由貴を見る作品。その魅力は勿論、映画デビューの19歳でタオル一枚巻いたシャワー上がり姿も披露。バイクに危険な体勢で乗るシーンや冬の川に入りハトを助けるシーンなど、堂々体当たりの演技。
他キャストでは、家政婦役の河内桃子が印象的。和服の似合う貞淑なイメージだが、あっけらかんとした役は何だか新鮮であった。

個人的には、う~ん…という感じ。
情熱は感じられず、早々と雪の中に埋もれてしまいそう…。

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近大
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