魔界転生(1981)

劇場公開日:

解説

天草四郎を中心に、細川ガラシャ夫人、宮本武蔵などが現世で果たせなかった夢、願望を満たすため黄泉の国から甦り徳川幕府をおびやかす。山田風太郎の原作の映画化で、脚本は「悪魔が来たりて笛を吹く(1979)」の野上龍雄、「忍者武芸帖 百地三太夫」の石川孝人、「復活の日」の深作欣二の共同執筆、監督も同作の深作欣二、撮影は「古都(1980)」の長谷川清がそれぞれ担当。

1981年製作/122分/日本
原題:Samurai Reincarnation
配給:東映
劇場公開日:1981年6月6日

ストーリー

寛永十五年、徳川幕府のキリスト教弾圧に端を発した島原の乱は、天草四郎時貞を中心に、二万人近い信者が惨殺された。その夜、四郎の首は雷鳴とともに甦った。怨みをはらそうとする四郎は、やはり、生前に裏切られたり夢を果たせなかった人々を集めて、幕府に復讐を企てた。細川ガラシャ夫人、宮本武蔵、宝蔵院胤舜、伊賀の霧丸、柳生但馬守宗矩たちが集まった。頻繁に起る不思議な事件を、柳生十兵衛は魔界から甦った化者たちの仕業とつきとめた。ガラシャは四代将軍家綱に接近し、お玉の方に扮して大奥に入ることに成功する。家綱はお玉の方の体に溺れ、次第に狂気じみていった。霧丸は若い少女と恋仲になり、悪に徹しきれず、脱走を図った。しかし、四郎はそんな霧丸を斬り殺してしまう。危機の迫っていることを悟った十兵衛は、おつうを養女にして山中に暮す刀匠、村正に魔物を斬れる妖刀の製作を依頼する。十兵衛はおつうの前で武蔵を斬り倒した。一方、江戸城はお玉と家鋼の部屋から出火した火に包まれていた。燃えさかる炎の中で、十兵衛は父、但馬守を激戦の末、斬り倒し、そして天草四郎と向い合った。顔、体に魔よけの文字を書いた十兵衛は四郎の首をはねた。四郎は自分の首を脇にかかえ、人間のいるかぎり、復讐を続けると炎の中に消えていった。

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映画レビュー

4.5伝奇ロマン‼️

2023年11月11日
スマートフォンから投稿

悲しい

怖い

興奮

天草四郎が甦り、あの世から死者を呼び戻して、幕府に戦いを挑む‼️対するは柳生十兵衛‼️山田風太郎さんの原作を深作欣二監督が伝奇ロマンとして作り上げた作品です‼️後にリメイクされた平山秀幸監督作品と比べると、フィルムの質が粗々しい‼️でも、その粗々しさが伝奇ロマンにミョーにハマってて、かなりリアルに観れる‼️とにかく天草四郎が呼び戻すのが柳生宗矩、宮本武蔵、宝蔵院胤舜、伊賀の霧丸といった時代小説や時代劇映画で有名なキャラクターたち‼️魔界の衆とは言っても、有名キャラが一堂に会し、斬り合う様はマーベルも真っ青のクロスオーバーですね‼️特に、まるで巌流島の決闘な武蔵VS十兵衛、炎に包まれた江戸城内での十兵衛VS宗矩、続く天草四郎VS十兵衛‼️全身に呪文を記した十兵衛のカッコ良さ‼️演じる千葉真一、一世一代の当たり役‼️とにかく「里見八犬伝」もそうですが、伝奇ロマンを撮らせて、深作監督の右に出るものはいないですね‼️

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活動写真愛好家

3.5千葉ちゃんかっこいい…!

2023年8月30日
iPhoneアプリから投稿

話はたぶんかなりはしょられてるんだろうし荒唐無稽なんで当初はマジメに観てなかったんだけど、やっぱり沢田研二、千葉真一、若山富三郎の魅力が水際立ってて最後まで観てしまった。

ラストの炎上する城内での殺陣はかっこいいんだが、けっこう炎がキャストに近いように見えて、大声でセリフ言ったりするだけでも喉とか大丈夫?って気になってしまい集中できなかった…
画面に陽炎入ってるしたぶん相当熱いよね、これ。怖。

実録やくざものを撮ってた深作欣二がこれを監督することになった経緯は解せないけど、俯瞰を多用するアングルとか、スタイルは一貫してる。ビリビリのアニメエフェクト(中野稔?)は今見ると牧歌的に感じるけど、全体的に特撮とか画面はしょぼさを感じなかった。

まだピチピチの真田広之を取りあうジュリーと千葉ちゃん…まごうことなき三角関係BL。
天草四郎をパワハラのない無惨さまと考えると、鬼滅の刃みたいでもある。
なお基本的に女性キャラの扱いは典型的なホモソ女性観なのでドイヒーです。これがスタンダードだったんだろうけど。

時代劇としては相当ふざけた部類だろうし、なにしろ80年代の角川映画、それでも昨今の大河ドラマと比べて、役者の身のこなし、存在感、セリフの言い回し、どれも説得力に格段の差があった。ほんとに時代劇の文化って断絶してしまったんだな…
最初やや半笑いだったのに、最終的にはいいものを観た、という気持ちに。角川春樹の高笑いが聴こえるようでちょっとヤダ。
意外とテンポよくて、ムダなシーンとかはない。そこが最近の邦画との差。
とにかく柳生十兵衛の千葉ちゃんが出てくると画面の空気が違う。願わくばもっとアクションが観たかった。
若山富三郎(但馬守)のキレもすごかったし、緒形拳(宮本武蔵)もちゃんと動けるんだなー

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ipxqi

2.0魑魅魍魎な魅力が詰め込まれた娯楽作品。

2023年3月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

「柳生一族の陰謀」のキャストが再度半分近く参加したオカルト時代劇。4度目の柳生十兵衛となる千葉真一のやりすぎ演技、沢田研二の大根ながら怪しさ満開の色気、佳那晃子の美しいヌード、若山富三郎の殺陣など魑魅魍魎な魅力が詰め込まれた娯楽作。前半はややもたつく感が否めないが、長尺の小説を過不足なく焦点を絞って解りやすく映像化。外連味の中にも情緒のある映像で見せる深作監督のセンスが印象的で、「柳生…」よりテンションは劣るが、如何にも70年代後半の時代を感じさせるダサさが逆に良い味で、娯楽作として今でも全然観れる。日本映画がまだ独自のギラつきを持っていた時代の快作。

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Y.タッカー

5.0ぞくぞくする…。

2022年7月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

萌える

閲覧注意。親が子どもに見せたくないような場面もあるので、一緒に見る人は選んだ方がいいかもしれない。

色物的だけれども、実は王道の、「これぞ映画」と言いたくなる作品。迫力と魅力にあふれている。

天下(社会)の転覆・動乱を狙うんなら、転生するメンバー間違えているんじゃ?と突っ込みたくなる。だが、手に汗握る展開になっており、このメンバーの方が正解と言いたくなる。すごい。

自己実現への追及。
社会的な己と、その社会的な己にふさわしくないと抑圧した願望。
その対比が凄まじい。
 敬虔な信者であったはずの己と、その思いを踏みにじられ復讐の鬼と化した己。
 大切にしていたものを踏みにじられたその恨み。
 清廉潔白なカトリック信者としての己と、夫との愛欲に没入したかった己。
 清廉潔白な僧である己と、性への欲望を持つ己。
 力・勝負への執着。
 子を慈しみ育てる己と、慈しんだ子さえも永遠のライバルとして対峙する己。
 ただの社会への恨みではなく、自身の内面に潜む蛇・鬼に焦点を当てたところがすごい。
 抑圧すればするほど、抑圧された思いは肥大化する。
 だから、社会的な己と欲望との葛藤が少ない霧丸が、新たに大切なものができた時、他の魔人たちとの間に差異が生じるのは当然の成り行きなのだろう。

そんな己の煩悩との対決を、絵巻のように、転生した人物のこれまでと結末がスピーディーなれど丁寧に、一人一人の見せ場を作り、迫力をもって描かれ、見ごたえのあるものになっている。

それを堪能させてくれる演技と演出。舞台美術と衣装。音楽。
 鬱蒼とした森の中、洞窟の中、夜etc.と画面は暗く、霧が立ち込めるシーンもあり、画像の悪い再生機器だと見づらいシーンもあるが、怪奇物としての雰囲気を煽ってくれる。

沢田さんのバター系美形が西洋系の悪魔の呪文を唱えるも、衣装は能衣装を基盤とした日本風。立ち振る舞いも純日本。そのコーディネートに酔いしれる。
沢田さんの高そうで低めの声がいい。

そして、佳那さんの艶。目が釘付けになる。それでいてガラシャの壮絶なまでの悲しさがガンガンに伝わってくる。ガラシャに骨抜きにされる将軍・松橋さんもそのグダグダさが凄すぎる。

そして霧丸の若さ、美しさ、初々しさ。

と、耽美な世界に酔いしれると、質実剛健な面々の登場。その配分が良い。

質実剛健とはいえ、皆自分の欲望に狂っていて、妖しい世界。
但馬守(若山さん)、武蔵(緒形さん)、胤舜(室田さん)、魔人ではないが村正(丹波さん)…重鎮のどっしりとした世界観と狂った様の混合。凄すぎる。
 松平伊豆守(成田さん)が普通に見える…。

そして、十兵衛(千葉さん)。いつもより、さらにワイルドに、王者の風格を漂わせ…。
 それでも、但馬守(若山さん)と対峙すると、老練と、中堅。その様に息を飲む。能にも通じる様式化された美を持って殺陣を繰り出す若山さん。質実剛健をそのまま体現する千葉さん。はあぁ。

天下転覆にこのメンバーでいいのかと冒頭に書いたが、
傾城と化したガラシャの住まう城での阿鼻叫喚の様はすさまじく、そこで繰り広げられる対決もすごい。

本当に燃え盛る火の中での撮影。
 映画界の至宝・若山氏、千葉氏、松橋氏をその中に立たせるだけでも驚愕だが、立たせるだけでなくあの殺陣・あの演技。女優の佳那さんにも炎の中で演技をさせる。そのうえで、役者として主演映画もありつつも本業は歌手で、日本の至宝として数多くのファンをもつ沢田氏をもその中に立たせる。
 もちろん、エキストラ、スタッフも…。
 どれだけ気合の入った映画なんだ。

こんな濃い場面ばかりだと食傷気味になるが、見せ場の一つ、武蔵VS十兵衛は海辺のロケ。自然相手というところが対決の展開に含みをもたせるが、海辺の解放感にも酔いしれる。

おつう(神崎さん)、お光(菊地さん)とガラシャ(佳那さん)の対比もいい。

そんなこんなの緩急。
結末がわかっていても、なおかつ何度も観たくなる。

さすがは深作監督。
絶句。
ひたすら脱帽して、この世界観に酔いしれるのみ。

(原作未読。リメイク版、Vシネマ未鑑賞)

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とみいじょん
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