風速40米

劇場公開日:

解説

お馴染み石原裕次郎のアクション・ドラマ。なかでも、颱風下の大アクションが売り物。雑誌『平凡』連載の松浦健郎の原作を、原作者自身が脚本化し、(松浦健郎の最近作には「血の岸壁」の共同脚本がある。)「霧の中の男」の蔵原惟繕が監督を、「死の壁の脱出」の横山実が撮影を、それぞれ担当した。主演は「素晴しき男性」のコンビ、石原裕次郎・北原三枝。ほかに、「運河」の渡辺美佐子、「知と愛の出発」の川地民夫。助演に、宇野重吉、山岡久乃、金子信雄とヴェテランを揃える。色彩はコニカラー。

1958年製作/100分/日本
原題:A Man Who Rode the Typhoon
配給:日活
劇場公開日:1958年8月12日

ストーリー

北アルプスの山小屋で、滝今日子は滝颯夫と知り合った。不良学生に襲われたのを、彼が救ってくれたのだ。颯夫は工科の大学生で、父は羽根田工務店の技師長だった。彼は父の会社に就職したかったが、父は何故か敵会社の和泉建設をすすめた。羽根田工務店の士門技師が墜落死した。父が結婚し、相手の連れ子が今日子だった。颯夫は和泉建設の試験の日、友人根津の姉・シャンソン歌手踏絵がパリから帰って来るのを知ると、羽田に迎えに行った。彼女の車に和泉建設社長・早田が同乗していたのを、彼は知らなかった。その夜、根津が訪ねて来て、早田と踏絵が関係あることを話した。士門技師が死んで以来、新ビル建設工事は遅れていた。資金も乏しかった。それなのに、羽根田工務店の株が昇り始めた。誰かが会社乗っ取りを策しているらしい。颯夫は和泉建設の就職を断りに踏絵のところへ行ったとき、父と早田社長とのつながりを知った。父は重役の椅子と引きかえに、羽根田の工事を遅らせ、会社乗っ取りの片捧を早田にかつがされていたのだ。踏絵も早田とグルだった。父は颯夫の言葉に耳を貸さなかった。今日子は踏絵に会い、颯夫を誘惑するなと頼んだ。工事はますます遅れた。父・敬次郎は颯夫に自分の立場を知らせようと、彼を伴って早田に会った。そのとき、敬次郎は自分が完全に利用されたことを知った。工事は期限に間に合わぬだろうし、株の買占めはほとんど終ったのだ。敬次郎は悪夢から醒め、突貫工事を始めた。颯夫、根津らも手伝った。踏絵は根津から颯夫と今日子のことを聞き、身を引いた。何も言わずに今日子の家へ風呂敷包みを置いて行った。中には早田の買占めた株式譲渡証が入っていた。--夜半から風が強まり、ついに風速四十米を越した。突貫工事を続ける颯夫たちを暴徒が襲った。が、颯夫らはビルを守り切った。新東京ビルは落成した。乱闘事件の黒幕・早田が逮捕され、士門技師暗殺事件も明るみに出た。踏絵は早田と手を切り、地方公演に旅立った。夏休みの最後の日を、颯夫は今日子と湘南で過した。嵐はもう過ぎたのだ。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.51958年昭和33年のトレンディードラマ

2020年8月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

こりゃあ面白い!傑作です!
石原裕次郎と北原三枝の魅力爆発です
裕次郎24歳、北原三枝25歳
二人が共演している映画の最高峰ではないでしょうか
「凄いタフガイね!」との台詞も冒頭に頂きます
主題歌はタイトルバックで早々流れますが、中盤の赤坂?のナイトクラブでのステージシーンがあります
これがまたイカしてるんです!

溌剌と精気漲る裕次郎をみるなら本作です
北原三枝も美しい!
小雪と綾瀬はるかをブレンドしたような愛嬌とクールな美女を両立させています
腰が細く、脚が長い!
ウエストは掛け値なしで60 センチを切っていると思います
この二人は28本も共演して、1960年には職場結婚に至ります
なんとなくその男女のケミストリーがシーンからほんのり立ち上っているように思われます

渡辺美佐子26歳、お色気担当です
彼女が演じる四郎の姉のシャンソン歌手根津踏絵は越路吹雪がモデルですね
隅田川沿いを弟役の川地民夫と散歩するシーンはまるでセーヌ川の河畔のように美しく撮れています
彼女の白いパリ風のドレスと帽子も素敵でした

工場現場と宇野重吉
本作から10年後の「黒部の太陽」への伏線とも言えます
冒頭の山岳シーン、あれば黒部方面だと劇中で明かされてもいます

田園調布のお屋敷や都心のマンションの内装、モダンデザインの洋風家具と輸入家電、高そうな洋食器、シャワールーム
デートの都心のまるでアメリカの様な一角の光景
ラストシーンのモーターボート
登場人物達の衣装、乗り回す自動車
冒頭の山岳レジャー
どれもこれも1958年昭和33年の日本には、夢のような世界だったと思います

あのマンションも今の目から観ると、家賃の安そうな古い賃貸マンション程度に見えます
しかし、当時の普通の庶民の生活は劇中でタクシー運転手の言うように「終戦このかたまだバラックですぜ」だったのです
今なら数億円もするようなタワーマンションというアイコンであったと思います
どれもこれも手の届かない憧れの世界なのです

またその世界観が素晴らしい統一感でまとめあげられています
おそらく水の江瀧子プロデューサーのセンスなのだと思います
裕次郎の衣装も彼女のセンスが反映しているのだと思われます
夕暮れのベランダのシーンで彼が着ているボートネックのサマーセーターなど当時誰も知らないようなアイテムでは無いでしょうか
音楽だって、ラジオから小さな音で流れるのは、ミルト・ジャクソンを思わせるビブラフォンのモダンジャズです
水の江瀧子プロデューサーが如何に偉大であったかを感じる作品でもあります
そもそも石原裕次郎を発掘したのは彼女なのです

1958年の田園調布駅前の光景にもビックリ
駅前広場の特徴的な扇形の石のベンチはそのまま
中央の水飲み場は形は変わっていますがその場所に今もあります
当時はバス停がそこにあったのですね
散髪屋さんはいまはKFCが在るところかと思います
素敵な洋風の駅舎は修復されて、いまもそのまま在ります

台風シーンはクライマックスの景気づけくらいの意味合いです
荒涼とした建設中の大型ビルの内部に吹き込む暴風雨
そこでの乱闘シーンはなかなか名シーンで、どこか後のリドリースコット監督風味のある映像です
ちょっと言い過ぎ?

憧れの世界
夢のある豊かな未来
期待に胸が膨らんだことと思います
団塊世代はまだ小学生
60年安保の全学連世代が高校を卒業した頃
このような生活を自分達も実現するのだ
できるはずだ!という自信と気負いが画面から吹き出ています
まるで風速40米もあるくらいに

そこが丁度30年後に大量に製作されるバブル期のトレンディードラマと決定的に違うのです

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あき240

2.0特撮

2019年1月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 石原裕次郎の父親役が宇野重吉。再婚相手の連れ子が北原三枝(裕次郎の妻)だ。助けた女の子が義理の妹だったため恋愛には発展しそうにもない?

 就職試験をボイコットしたのに、友人四郎(川地民生)の姉(渡辺)のおかげで合格してしまう。父も周りも父の会社よりも泉建設に入社しろと薦めてくる・・・なにかおかしい。と思っていたら、父が長年勤めてきた建設会社で謀反を起こそうとしていることが判明。しかし、正義感の強さから颯夫は父を説得し、現在の工事を完成させ、株を買い戻そうと努力するのだ。

 台風の特撮とアクション。完全な社会派だと思ったら、裕次郎の歌まで出てくるし、やっぱり娯楽作品・・・しかも最後の展開がしょぼかった。

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kossy
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