波浮の港

劇場公開日:

解説

小沢不二夫原作“おもかげ”より「丘は花ざかり(1963)」の才賀明が脚色、「若い東京の屋根の下」の斎藤武市が監督した文芸もの。撮影もコンビの横山実。

1963年製作/96分/日本
原題:Mother's Wedding Gown
配給:日活
劇場公開日:1963年9月21日

ストーリー

商船大学へ行っている隆一は、休暇に故郷の波浮の港に帰って来た。がある日住職をしている父親の隆澄に「父さん許婚者のある娘に惚れてしまったんだよ」とうちあけた。「相手の娘の気持はどうなんだ?」「僕を好いとるよ……勿論」瞑目した隆澄の口から意外なほど強い言葉がほとばしった。「よし! 奪いとれ! 奪いとるときには奪いとらなけりゃ、悔いを一生残すことになる!」そういう隆澄の脳裏には二十八年前の場景が浮かんでいた。まだ隆澄が隆一ぐらいの若さだった頃、隆澄はハブ旅館の娘キクを愛していた。がキクは旅館再興のため番頭の吾郎と政略結婚をさせられた。今隆一が愛しているのは、そのキクの娘明代だったのだ。瞳の美しいやさしい明代は母と同じ運命に流されようとしていた。商売仲間の息子宗太郎との縁談が進んでいたのだ。隆一はふとしたことで、宗太郎には肉体関係を結んだ恋人千鶴子のいることを知った。ある日宗太郎をつかまえて、そのだらしなさをののしったが、かえってそれが隆一の決意を固くした。人目をさけて逢うようになった二人に、幸福があたたかくつつんでいた。明代の母のキクも、二人が幸福になる事を念じつつ息をひきとった。キクの通夜の席で、あいもかわらず、宗太郎と盃をくみかわしているキクの夫吾郎の姿は、ひときわ人目をひいた。妻キクと隆澄との関係を知りつつ、ハブ旅館のために死にもの狂いで斗ってきた苦悩がありありと、していた。今はハブ旅館再建のためと泣き崩れる明代だったが、隆澄に説得された吾郎は「人間の真心を大切に、幸福な結婚を」と、明代を励ました。それは、自分の運命を歩かせたくないという強い父の愛情であった。

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