人間の條件 第3・4部

劇場公開日:

解説

第一部・第二部に続く五味川純平の同名小説の映画化。軍隊における主人公・梶の行動を描く。脚色・松山善三、小林正樹、監督・小林正樹、撮影・宮島義勇といずれも前編と同じスタッフ。

1959年製作/180分/日本
原題:Road to Erernity
配給:松竹
劇場公開日:1959年11月20日

ストーリー

◇第三部--厳寒の北満。関東軍の一部隊では、梶たち初年兵が連日厳しい訓練を受けていた。板内と吉田の上等兵は、なにかというと初年兵を殴った。美千子から、中隊長に、特殊工人斬首事件での梶の無罪を訴える手紙が来た。が、かえってそれは梶を不利な立場に追いこんだ。新城一等兵もにらまれていた。彼の兄が思想犯であったからだ。梶と新城は親しくなった。美千子が、老虎嶺から三十キロの道をやって来た。その夜、美千子は消燈ラッパを梶の胸の中で聞いた。行軍が行われ、梶の属する第三班からは、小原と佐々の二人の落伍者を出した。小原は、女郎の客引の真似を吉田から強制され、その後便所の中で自らの命を絶った。部隊は、ソ満国境に近い湿地帯に移動した。新城は板内と夜間動哨に出、板内が満人を射殺したため、新城は営倉入りを命ぜられた。その時、野火が起った。この騒ぎを見て、新城は脱走した。吉田がその後を追った。これを見てさらに梶が追った。梶と吉田は組み合い、二人は泥水の中にはまりこんだ。梶の耳には、戦友の呼ぶ声がかすかに聞えた--。◇第四部--梶が意識を取り戻したところは病院だった。吉田は病院に運ばれてから死んだ。やがて梶は、ソ連の山々を前方にひかえる国境線の青雲台地へ行った。そこで、梶は影山に再会した。彼は少尉に進級していた。梶は上等兵になった。彼が受持った初年兵の中には、二十歳そこそこの寺田二等兵がい、軍人の家庭で育った寺田は梶の言動に反抗した。梶はあい変らず古兵といざこざを演じ、これを心配した影山の計いで、土肥作業中隊に配属された。間もなく、青葉陣地は玉砕し、影山は戦死した。梶は前線に戻った。終日、台地に戦車壕を掘った。ソ連軍の戦車群が近づいた。迫る戦車に、梶は半身をのばして寺田を自分の穴にひきずりこんだ。一瞬、その背にキャタピラが地響いて通りすぎた。やがて、死んだ暗闇になった。「生きている者は出て来い、負傷者は助けてやる。答がなければ捨ててゆくぞ」と梶は叫んだ。答はなかった。梶は戦友を求めて暗闇の中へ消えて行った。

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映画レビュー

4.0利口馬鹿

2024年2月12日
iPhoneアプリから投稿

軍人時代に入って周りのクソぶりが釣り上がる。可哀想な田中邦衛。抗う中で非情の手段に自分も染まる。部下ができても善人であろうとする梶。しかし生死の境の中で自らの限界を見る。泡をふく。
白眉は妻を目に焼きつけるシーン。

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Kj

4.0単なる社会主義礼賛の反戦映画ではないことを終盤で証明していた

2019年10月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

次の台詞を聞いて大爆笑した
そして背筋が凍った

どっかに人間を解放する約束の地がある
国境の向こうにもっといい世界があるというんだ
それこそ人間を人間として扱ってくれる世界さ

なんという恐ろしいブラックジョークだろう!
脳天気にも程がある
しかし本人達は至って真面目に全人生をかけてこの台詞を言っているのだ

国境の向こうとはスターリン体制下のソ連の事なのだ
それがどれ程恐ろしい意味を持つことか21世紀の私達は知っている

しかし主人公達は本作で描かれる日本軍の軍隊生活などはスターリン体制下のソ連と比較すればむしろ天国と言うべき、人間性など微塵もない世界が国境の向こう側に展開されていたことを何も知らないのだ

当時の人々が如何に社会主義思想に夢を見ていたのか、空想的に理想化していたのかが良く分かるシーンだ
いや、未だにこの当時のままの考えで固定されている人々もまだまだ多くいるくらいだから、それは宗教的な迄に信じ込んでしまったものなのだろう
哀れだ
そのマインドセットで軍隊生活の日常を見た光景が本作では描かれる

第四部で国と国が武力を持って知力と体力の限りを尽くして、ぶつかり合う戦争においては、思想も人間性もなにもないのだ

国家というものは共産主義であろうと社会主義であろうと関係ない
国家戦略、軍事戦略の利害のみで動くのだ
共産主義国家であっても軍国主義であり帝国主義なのだ
むしろ共産主党独裁はファシズムと変わりはない
ソ連はそうであり、現代の中国も北朝鮮もまたそうであることを私達は知り尽くしているのだ

であるならば一人の人間として生き残るために必要なことは何か?
それは武器と戦う為のスキルを獲得することだ
各人にそれを持たせ訓練し、組織として機能できる規律を持たせる
それを修羅場に於いても活かせるように骨身まで叩き込まれた方が、実は本人に取っても良い、正しいことがハッキリしてしまうのだ

それが現実だ
本作は驚くべきことにそれを描いている

本作は単なる社会主義礼賛の反戦映画ではないことを終盤で証明していたのだ

終盤の戦闘シーンはそのスペクタクルさ、リアリティーに於いて、後年のベトナム戦争の現実を扱う米国映画の数々にも決して負けないものがある
日本映画でもこれ程のものが撮れたのだ

単なる反戦映画でしょ、と忌避していたらもったいないことだ

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あき240

4.5"人間とは何か"

2015年4月2日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
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松井の天井直撃ホームラン
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